第8話 朝の儀式がレベルアップ!? (ちょいエロ)
「······イヤです」
「なんで?」
「まだ信じきれていないし、本当だったとしても身体は本物の女の子なんでしょ? それなら裸を見られても襲われるってこともないだろうし、仲間としてできるだけ多くの時間を過ごしたいです。もっと仲良くなりたいんです」
女の子同士でも襲われるってあると思うけど······
「それに······男だったのなら、なんでそんなに胸が大きいんですか! 絶対に何か秘密が有るはずです。それがわかるまでは逃がしませんよ!」
「ええー!?」
「さぁ、大きさの秘密を教えてください!」
「大きさの秘密というわけじゃないけど、筋トレの知識なら有るよ。前世で愛読していた『タザン』という筋肉雑誌に、バストアップには土台となる大胸筋も鍛えたほうが良いと書いてあったよ。毎朝の筋トレ、俺と一緒にやってみる?」
「やります!」
「それじゃあ、まずは背筋を伸ばして胸を張り、肩を落としてひじを開く。そして胸の前で両手を合わせる。このポーズは合掌って言うんだけど、そのまま両手で押し合う。息は止めずにそのままフーって吐き続けてね。これを10回位やる」
フーー
フーー
フーー
「その次は、イスに座って少し脚を開いて、両手を太ももの外側に添える。両手は外から内に、両脚は内から外にそれぞれ力を入れて10秒キープ。 これを3回位やる」
ムムムムッ
フムムムッ
もれてくるエリーの声がなんか可愛い。
一緒にやる筋トレは楽しいな。
「俺は男だったから、バストアップに直結するような筋トレで覚えているのはこれくらいかな。筋肉は連動してるから、腹筋、背筋、腹斜筋、僧帽筋、三角筋も軽く刺激しておこう。足はこの世界の人はよく歩くから特別な事はしなくてもいいかな?」
ンムッ
フーフー
ん~~
ハァハァハァ
「よし、お疲れ様。今日はこれ位にしておこう。大事な事は、やり過ぎ注意ね。やり過ぎて脂肪が燃焼されると胸は縮む」
「!!!? 諸刃の剣! 危なかったです。こっそりたくさんやろうと思っていたのに······他には何かないんですか?」
「他にねぇ? 何かあったかな? あぁそうだ、好きな人に揉んでもらうと、胸が大きくなるなんて俗説があったなぁ」
「好きな人に揉んでもらう······」
おもむろに俺の前に立って胸を張るエリー。
「はい、お願いします!」
「は?」
「大きくしてください!」
「いやいやいや、ただの俗説だから!
「少しでも可能性が有るのなら、私はそこに賭けてみます!」
「えー! いや、好きな人にっていうのがミソなんだよ!? ホルモンが刺激されて、どうたらこうたら言ってたから」
「私は、ルイちゃんの事が大好きです! さあ!」
え? 良いの? マジで? 俺は男だって言ったよね? この場合の好きって『ライク』じゃなくて『ラブ』の事なんだけど······
いや、これはただの筋トレの一環だ。
そうだ、
そう、これは人助けでもある。
ある悩みを抱えた人の心を軽くする為の人助けだ。
疚しいことは何も無い。
なにもないのだ。
では、失礼をして。
おお、俺のとは全然感触が違うな。
でもこれはこれで凄くいいじゃないか。
まったく、エリーは何を悩んでいるのやら。
「んっ」
おっと、つい夢中でトレーニングに励んでしまった。
「はい、終わり」
「はい。ルイちゃんありがとう! これからは毎朝トレーニングしなきゃですね。頑張ればきっと私も······」
そう言いながら俺の胸を見るエリーの目がちょっと怖い。何か恨みでもあるのだろうか?
「元男として一応言っておくけど、男は胸だけで女の子を好きになるわけじゃないからね?」
「でも、男の人って胸ばかり見てきますよね?」
「うっ!? まあ、そういうところもあるかな」
「胸をチラ見して、がっかりしたような表情をする男の人のなんと多い事か!」
ごめんなさい。
全ての男に成り代わり謝っておきます。
「そういうわけなので、これからは毎朝お願いしますね」
「わかりました」
······いいのだろうか。
まあ深く考えるのはよそう。
反対したら多分怒られる。
こうして毎朝の儀式がレベルアップしてしまった。
宿から出ると、一般人を『かえるの歌』で万が一巻き込んでしまった時の為に、状態異常『カエル』を回復するアイテム『乙女のチッス』を大量買いしておく等、必要な物の買い出しをした。
最後にステータスをチェックして、俺達はクエスト進行のため、ナイヤチへと向かった。
ナイヤチでは激闘イベントが待ち構えているはずだ。
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朝の儀式はどこまでレベルアップしていくのか!?
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「ルイとエリーの今後はどうなるのっ・・・!」
と思っていただけましたら
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