第69話 魔力数値
「ららっ! 乱道様」
キャロが口をパクパクさせながら、俺の方を見る。
顔面が白黒している。
もしかしてこの水晶を壊したことを焦ってるんだろうか?
あっ……そうか弁償しなくちゃいけない? この水晶の値段っていくらくらいするんだろうか?
キャロの焦りようからして、水晶の値段はべらぼうに高かったりして……ちょっと怖くなってきたぞ。
「キャロ! もしかしてこの水晶……べっ!? ふぐっ!?」
キャロが急に俺の腕を掴むと、グイッと引っ張り自分の方に俺の体を向けた。
「乱道様の魔力数値はAランク以上あるんですか!?」
「えっ!?」
急にAランク!? どう言うことだ? 割れたし測れなかったのに……そのせいでエセ王国の時は魔力なしだって言われて、奴隷紋まで入れられて散々だったんだぞ。
もしかして獣人国の魔力数値を測る魔道具はエセ王国の魔道具よりも優れているのかもな。
「その顔は、あるんですか!?」
キャロが俺の手をグイグイ引っ張る。
「いやぁ………確かにそれくらい……あるかも?」
「やっぱり!! この水晶は測りきれない魔力数値だと、白く光るんです。それが白く光って壊れたとなると……もしかしてS ランクあるとか? いやっ、そんなまさか……流石にそれはないですよね」
キャロが俺の魔力についてブツブツと一人で語っているのだが。俺に話しかけてるのか、自己解決しようとしてるのかどっちなんだろう?
「キャロ様……このお方は一体何者なんですか!? この数値はどう考えても尋常じゃないです。そんな凄い方が生産者ギルドで登録していいんでしょうか?」
「うん。だよね、僕もそう思うんだけど……」
二人が同時に俺の事を見てくる。これは……どう返事をしたら正解なんだ?
「あの……乱道様がお強いのは分かっていましたが、まさかこれほどとは……そんな方をを生産者ギルドに所属させていいんでしょうか?」
キャロの耳が下に下がり泣きそうな目で俺を見る。
そうか、エセ王国とは違って俺のことを心配しての行動だったんだな。
「もちろん、いいに決まってる。俺は冒険者として名を上げたいとか功績を上げたいとか思ってないからな。普通の暮らしがコイツらとできたら良いんだ」
俺はそう言って琥珀とキャロの頭を撫でた。
『らんどーちゃま!』
「らんちゃ」
「そうですか。乱道様は欲がないですね。では生産者ギルドで登録させていただきますね」
キャロはそう言うと受付の女性に指示を出し、俺のギルドカードを発行してくれた。
やっと俺の身分証ができた。
この世界に転生してなかなか長い道のりだったなとしみじみ思う。
ギルドカードには生産者ギルド、冒険者ギルド共通のランクがあって、Fランクからスタートしてギルドに貢献すると、E→D→C→B→Aっとランクが上がっていくシステムなんだとか。
最高ランクはSランクらしい。まだ生産者ギルドにはいないらしい。
貢献か……ってことは前に解体したワイバーンの素材ってのは、生産者ギルドに貢献することになるんじゃ。
「なぁキャロ? 魔物の素材をここに渡したら貢献になるか?」
「もちろんです! なかなか生産者ギルドに売ってくれる冒険者さんがいないので、大歓迎です! 買い取らせてください」
キャロが瞳を爛々とさせながら、俺を見る。
「どこに出したら良いんだ?」
「そうですねこのカウンターの上に」
そう言ってカウンターを指差すが、ワイバーンの骨とか色々でかいんだけどな。目の前のカウンターに全て乗らないうような気がするな……ってか確実にのらん。
「あのなキャロ、カウンターには置けそうにないから下に置くぞ」
「え? 乗らな?………!!!!!」
俺はアイテムボックスからドサドサとワイバーンの骨やら牙やら皮などの素材を出していく。
「ちょちょっちょちょーー~!!!!! 待ってください! こここここれってワイバーンの素材じゃ!?」
「んん? そうだが?」
俺がそう答えると、ギルド内が声で揺れるんじゃないかって程の驚きの声があちこちから湧き上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます