第34話 戦い

『乱道様! 私の力を感じることができますか?』

「……何となくだがな?」


 日本刀となった我路の柄を握りしめると、腕から肩にかけて纏わりつくように、蒼い炎の様なものが絡みつき、とぐろを巻いている。


 ……これが我路のエネルギーか? 


『では私を抜刀してくれますか? 力が解放されるはずです』


 我路が刀を鞘から抜刀してくれと言う。

 刀から凄い力を感じ、俺に抜刀できるのか不安になるが、右手に力を込め、思いっきり鞘から引き抜いた。


「うおっ!?」

 

 何だこれは!? 刀身が何倍にも伸びて行く。

 これは一体どう言う原理なんだ?

 抜刀した刀は、俺の身長の三倍を超える長さまで伸びた。

 なのに……なんの重さも全く感じない。


『では乱道様? 行きますよ』


「おう!」


 次の瞬間、俺の体が勝手に動く。何だこれ!?

 我路が操っているのか?

 勢いよく向かってくるドラゴンを、ひらりと飛んで交わすと、刀はドラゴンの首を捕らえる。


「えっ?」

 

 刀がカチリっと納刀された。


 次の瞬間。


 ドラゴンの首が大きな体から離れ落ち、俺の目の前にドラゴンの顔が転がる。


 ちょっと待ってくれ!? 何をやったんだ? 

 自分の体なのに、何が起こったのか理解できていない。

 ドラゴンの突進を飛んで交わしたっと思ったら、刀が鞘に戻っていた。

 

『下等生物などに、我が力を使う程もなかったですね』


 嘘だろ? コイツの力はこんなにも強いのか?


「なあああああああああああああああああ!?」


 虚しく転がるドラゴンの頭を見て絶叫する男達。

 おいおいさっきの勢いはどこに行ったんだ?


『さぁ。もう一体も殺りますか』

 

 我路がそう言うと、瞬きをする間もない時間の間に。

 もう一体のドラゴンの頭が、ゴロンっと転がった。


「ヒィヤアアアアアアアアアアアッ!!!!」


 瞬殺されたトラゴンの死骸を見て

 偉そうに言っていた男達は、驚愕し大声で叫ぶ。


 なんせドラゴンが、ほんの数秒で倒されたんだ。

 そりゃそうなるわな。

 俺だって正直、我路が何をやったのか理解出来ていない。


『大した事なかったですね』


 我路がいつの間にがイケオジ姿に戻り、何事も無かったかのように微笑む。

 大した事あったぞ? お前の力がヤバすぎただけだ。


「おい? 俺をどうにかするんじゃ無かったのか? もうドラゴンはいねーぞ?」


 俺は震える男達を煽る。


 捕まえて、稲荷の事など聞かねーとな。

 

 俺は腰を抜かしている男達に向かって歩いていく。

 男達を捕まえようとした次の瞬間。


 また男達が現れた時と同じように、空気が揺れる。


「へ?……消えた?」


 さっきまで目の前にいた筈なのに、男達は姿を忽然と消した。

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