第27話 闘技場でざまぁ

「この下から闘技場に下りる事が出来ます」


 サラサが扉を開き、説明をしながら階段を先に下りていく。


「この闘技場でランクアップ検定があったり、剣や魔法の訓練なども行われています」

「へぇ~。そんな場所がギルド内にあるんだな」

「はい。冒険者の方のために作られた闘技場ですので」


 その闘技場で、俺を笑い者にしようとしているギルマス。ろくな奴じゃねーな。


 階段を降りると、ドーム状の広い場所があった。思っていたよりもはるかに広い。

 地面は土か……奥に並んでいる丸いのは的か?

 二階からこっちを見下ろせる場所があり、俺を馬鹿にした冒険者達は、そこでニヤニヤと嫌らしく笑いながら、俺を見ている。


「やっと来たか。魔力なし君」

「ギルドマスター失礼ですよ?」


 サラサがギルマスをキッと睨む。


 ギルマスの横には、黒いローブを纏った男が立っている。

 あれか? 俺に下民紋を入れる魔法師さんってか?

 そんなの入れさせねーけどな。


「さぁ? ここに立って魔法とやらを見せてもらおうか」


 ギルマスがこっちに来いと手招きしてくる。


「乱道様! 頑張ってくださいね」

「サラサありがとな。まぁ頑張ってくるわ」


 ギルマスが立っている場所まで歩いて行くと「今からこの魔法師が見本を見せるので、同じように出来たなら認めてやろう」と言いやがった。


 はぁ? 魔法を使えたらって言ってなかったか? 魔法師と同じことをいきなり出来るわけねーだろ!

 そんなに俺の事をバカにしたいのかよ。ったく暇な奴らだな。


「同じ事って何をするんだよ?」


 そう質問すると、ギルマスは不敵な笑みを浮かべる。


「魔法師クルトンよ。みせてやれ」


「分かりました。ギルマスも酷いお人だ。こんな事できますかね?」


 クルトンとやらが俺をチラっと見て鼻で笑った後、手に持っていた杖を掲げた。


「天空を満たす光よ、我に集いその力を解き放て!」


《サンダラ》


 稲妻が遠くに並ぶ丸い的に当たり、二つに割れた。


「ふっ……こんなもんですかね」


 それを二階で見ていた男達から、歓声が上がる。

「すげえ!!」「さすが魔法師様だ!」


 そんなに驚くほど凄かったか? あんな恥っずかしい詠唱をして、あの程度の威力だぞ?

 あれくらいなら俺も出来そうな気がする。


「さぁ? やってみせろ」


 ギルマスの顔が、お前には無理だろうがな? っと言っているようだ。


 俺は無造作に頭を掻いた後、背伸びをして気合を入れた。


「あのさ? あそこにある的全て壊しても良いのか?」

「なっ? さっき一つ壊したから、残りは九個残っている。それをお前が全て壊すってか?」


 ギルマスがわざと大声でバカにする。


「あははっ出来るならやって見せてくださいよ。楽しみにしてますよ?」


 クルトンが俺をバカにしたように嘲笑う。まぁ黙って見てろ。


「ギャハハッ! 頭おかしくなったんじゃねーか?」

「全部って一個も壊せませんの間違いだろ?」

 

 ……二階の雑魚どもも、うるせえな。

 

「ほら! さっさと見せろ」


 ギルマスが早くしろと煽ってくる。


 そんな慌てなくても見せてやりますよ! 雷魔法なら、熊獣人で試したばっかだからな!


《サンダー》


 俺がそう唱えると、さっきの雷の何十倍もある雷が的に向かって飛んでいく。


 次の瞬間。闘技場が大きく揺れ、轟音が響く。

 

 全ての的が灰となり消えさった。


「「「「「「えっ!?」」」」」」


 闘技場にいる全ての者達が、目を見開きあんぐりと口を開け、間抜けな顔で固まっていた。


 ざまぁ。




 

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