生まれながらに
湖を歩く、歩いて歩いて、木々を超えて僕は少女を見つけた。少女に手を振ると珍しく振替してくれる子だったみたいで僕も笑って、少女も笑って。その瞬間僕の脳内には妹の声、やめてパパ、助けて、嫌、お兄ちゃん、助けてお兄ちゃんと言う声が響いてしゃがみ込む。妹はもういないのに最後の声だけ消えない。大丈夫?と少女は覗き込んでくる、小さな体をしなやかにくねらせてあどけない目を向ける。かわいい。はっとして後退り、やはり僕にもクソ親父の血が流れている。小児性愛者で猟奇殺人者の穢れた血が。無垢であればあるほどムクムクと性欲と泣かしたい支配したい欲が溢れ出してくる。ごめんなさいと言って僕は蠱惑的なそれに謝まる。僕にはもう少女しか見えていない、湖なんて白いキャンパスにしか見えない。まだ離れないで僕を見る、見て、笑っているようで僕は馬鹿にされたように感じて口を開いて何か言おうとするたびに汚泥、悪口がそれになって溢れてくる妄想に囚われて、性欲と怒りに板挟みにされてしまう。食べてしまいたい。比喩ではなく本当に、妹も美味しかった。だから、血走った目を少女に向け、腕を掴む。身長は134cmくらいだろうか、痩せている。ヒラヒラとカーテンみたいなワンピースが僕の目には水面の波にみえて、うっとりする。あいかわらず物好きな少女は離れないで僕を実験動物のネズミか何かと勘違いしているのか、しゃがむ僕の背中に登ってみたり肩車のために首に跨ったりする。その度に陰茎がそそり立つのを見て僕は死にたくなる。少女は構わずそのドロワーズを僕の体のあちこちに触れさせては僕の興味を惹こうとする。僕は耐えられなくなり欲に舵を切る。
抱っこをすれば笑う、まだ僕らは何も話していないのになんだか家族だったような気がしておんぶをする。そのまま雑木林を抜けてあどけなく笑う少女が眠った頃、僕は公衆トイレに向かう。幸いここはそこそこの大きさの湖前公園だったのでそこら中にトイレはあった。平時ならば景色を乱す煩わしい便所もこんな時には便利なものだ。
ひんやりとした床にそおっとおろしてもまだ眠っている。僕は頭痛がするほどの自己嫌悪を性欲でひた隠しにしながら眠る少女の下着を剥ぎ取った。花が咲いていた。鏡に映るのは僕の顔、とぼけた顔をしている。便器の臭気と僕から出る男の発情している時の息ばかりが部屋を埋める。僕はお待ちかねの陰茎がぷるぶる揺れるのを見ていた。手も揺れる、震える。小さなそれには上手いこと入って行かない気がしたがそうでもなかった。暖かい。幻だったのではないか、そうだこれは夢だ。朝がくれば下着にシミを作るくらいで済む、と納得し僕は陰茎を喜ばせる動きをした。血がたらり垂れてタイルを濡らす。構わず僕は自分の絶頂の糸を手繰り寄せようと、上下する。気持ちよくなって、少女はやっと目覚め恐怖を浮かべるでもなく、一瞬困ったような顔をしたあと笑った。涙は少し浮かんでいたがそれは寝起きのためだろう。
僕はますます意味がわからなくなって夢の信憑性を強め、少女を激しく床に叩きつけ続けた。鼻から口からも血が垂れ、タイルは赤く飛沫をあげた。やっと目を覚ましたのか少女らしい引き攣った表情をした。ので僕はしっくりきて絶頂の最後の一段を登った。どくどくと脈打つ陰茎がふいふいと縮んでいく。それに合わせて少女も衰弱したように床にうなだれる。床によだれがたれる。
僕はハッとして自分の鼓動が早くなっていくのに気づき、これが夢ではないことに気づく。鏡には真っ青の僕の顔、床には半分失神して失禁する少女がへばりついている。僕は土下座をする。ゆるしてくださいと泣き喚きながら、その間も心とは反対に僕の陰茎はそそり立つ。
やっと意識をはっきりさせて立ち上がった少女の足を掴み、僕はどうしようとも考えずに馬乗りになり、助けて、パパ、ママと叫ぶ少女の首を絞めた。だんだんと赤くなったあとすっと色が抜けてしまった。そしてもう笑ってくれなくなった。僕は何をしているんだろとわからなくなって泣いた。妹の声は上書きされて、少女の声になった。そもそも妹なんていない気がした、父すらもいないんじゃないか?そうだ、そうだとトイレから出て横たわる死体の目を見ながら、日を浴びしゃっきりとした頭で児童養護施設で育ったことを思い出した。
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