第31話 七海ショートストーリー:1

   七海ショートストーリーは本編とはまったく関係ありません。もしも七海

   がやらかしたら、のコーナーです。


『七海 VS 警視庁交通機動隊』


「こちら交機7、女性が環状1号線を時速120Kmで走行中」

「こちら本部、交機7何を言ってるんだ? 寝ぼけているのか?」

「こちら交機6、走行中の女性を確認、追跡する」

「こちら本部、交機6、状況を詳しく報告しろ」

「こちら交機6、信じられませんが、女性が馬のような格好で時速120キロで走っています、背中には男性らしき人間を乗せています」

「こちら交機11、こちらも走行女性を確認、信じられませんが事実です、しかも美人です」

「こちら本部、第2中隊は箱崎に集合、交機6、交機7、交機11、合流して該当車両を追跡、確保せよ」

「こちら交機7、対象は車両にあらず、人間です」

「こちら本部、とにかく確保せよ」

七海は走行中の一般車両を縫うようにかわしながら首都高速環状一号線を走っている。その後ろを白バイ3台が甲高いサイレンを鳴らしながら追いかけている。

「キャハハ、楽しいの、機動力は私の方が上なの」

「七海、止まるんだ、謝る、俺が悪かった」

「だめなの、浮気は許さないの!」

「新人アイドルの写真集買っただけだろ!」

「許せないの、浮気なの! それに店長にもらったジャンボ肉シュウマイ、私が寝てる間にタケルが全部食べたの」

「それも謝るから止まってくれ、白バイとパトカーが追いかけてくる、凄い数だ」

「捕まってもいいの? 犯罪だよ」

「それは困る、七海、逃げ切れ!」

「うん、わかった。ターボチャージャーを使うの!」

七海は加速した。500m先にはバリケードと10台のパトカーが停まって道路を塞いでいる。

「タケル、しっかり掴まるの、あれを飛び越えるの」

私の生涯はここで終わるのかもしれない。


<警視庁交通機動隊会議室>

「課長、走行女性について確保して身柄を提供するよう防衛省の調査室より依頼がありました」

「防衛省? 何でだ」

「よく分かりませんが、防衛省案件ということです。『走行女性』について何か心当たりがあるのかもしれません。公安部からも問い合わせがきています」

「わかった、とにかく確保しろ」


「タケル、しっかり掴まるの!」

私は七海にしがみついた。七海はバリケードをジャンプした。

「キャハハー、楽勝なの、地球はいい所なのーー」

「うげっ、怖えーー」


「こちら第2中隊、走行女性はバリケードを飛び越え、環状1号線より9号深川線に侵入、推定速度は時速140Km」

「こちら本部、千葉県警へ引継ぎを含めた連絡を行う、引き続き追跡せよ」

警視庁、陸上自衛隊、報道のペリコプターが首都高上空を飛び始めた。

どうなるの――――? 明日は朝一で大事な会議があるだよ。


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