第28話 Chapter28 最終話「誓い」1/2

Chapter28 最終話「誓い」1/2


 私と七海は長野県にいた。東京駅を6時16分の北陸新幹線『かがやき501号』で出発し、長野駅で『特急信濃4号』に乗り換えて松本駅に午前8時37分に到着した。松本駅からはアルピコ交通上高地線に乗って9時14分に新島々駅に着く。上高地行のバス乗り場はリュックを背負った登山客やハイカーで大行列だった。いつバスに乗れるのか見当もつかない。

「タケル、困ったの。こんなに混んでるなんて思わなかったの。時間が無いの」

「ああ、上高地が人気なのは知ってたけど、ここまで混んでるなんて思わなかったよ。リサーチ不足だ。すまない」

シーズンの上高地は物凄い人気で、前日から松本などの近辺の宿に泊まって朝一でバス乗り場に並ぶのが当たり前のようだった。

「謝らなくていいの、タケルのせいじゃないの。タケルはいろいろ調べてくれたの。切符の予約もしてくれたの。なんとかしてみるの。まずは状況を把握するの」

七海が困った顔をして行列の横を15分程ウロウロしていると、男性4人組が声を掛けて来た。なんと順番を譲ってくれると言うのだ。行列のかなり前の方だ。次のバスに乗れるかもしれない。服装からすると登山仲間のようで、30代くらいのグループだった。

「どうぞ、どうぞ、混んでて驚いたでしょ? 私達はしょっちゅう来てますし、途中の宿もとってるんでバスが5、6本遅れても大丈夫です。本番は明日以降の奥穂高攻めですから。上高地はいい所ですよ、せっかく来たんだから楽しんで下さい。お前ら、それでいよな?」

リーダー格の男が他の3人の男に促した。

「うん、いいよ」、「いいよいいよ」、「俺はかまわないよ」

3人の男達はリーダーに同意した。

「ありがとう、嬉しいの、感激なの。こんなに混んでると思ってなかったの、本当にありがとうございます」

七海は男達に深く頭を下げた。

「あの、良かったら記念写真撮りませんか、この娘、モデルなんですよ、写真集出したばっかりなんです。まだ新人ですけど、私はこの娘のマネージャーです、今日は撮影の下見なんです」

私は4人組にお礼がしたかった。気持ちのいい連中だ。男達から歓声が上がった。私は男達のデジカメを借りて何枚か記念写真を撮った。七海はポーズや表情を変えてサービスした。

「あの、名前教えて下さい! 写真集買いますよ、綺麗ですよね。今日はラッキーだ! モデルさんと写真が撮れるなんて。人には親切にしてみるもんだな! 俺、美人には弱いんだよ。こんな美人に困った顔されたら助けたくなっちゃうよな」

リーダー格の男が興奮しながら言った。

「私は天野七海なの。天の川の天に、野原の野、七つの海なの。いい名前なの」

七海は嬉しそうだ。

「名前、覚えましたよ、登山仲間に拡散します。絶対売れますよ、いろんなモデルいるけど、天野さん別格ですよ」

「俺も友達にTWITTOで拡散します、登山やってて良かった、モデル活動頑張って下さい、応援してます、本当に別格だよなぁ」

「写真集絶対買います、天野七海さんですよね? 記念写真ありがとうございました、嬉しいです。それにしてもカワイイですね、もうファンです、気をつけて楽しんで下さい」

男達はすっかり七海の虜だ。七海は全員と握手をした。男達は目を輝かせて、鼻の下を伸ばして喜んでいる。長野県でも七海の美貌と魅力が炸裂した。美人は本当に得だ。クレオパトラや小野小町、楊貴妃はその美貌で歴史を動かしたという。七海の美貌のおかげで待つことなくバスに乗れた。


 上高地に着いた時は午前11時を回っていた。私達に景勝地の景色を楽しむ余裕はなかった。上高地から3時間歩いて『岳沢小屋』を超えた地点で七海は登山道を外れて右に曲がった。『熊注意』の看板が出ている。

「七海、熊がいるみたいだぞ、多分月の輪熊だ」

「月の輪熊ならいい格闘訓練になるの。タケルに戦い方を教えてあげるの。私は格闘教官だったの」

訓練は辞退したい。大怪我をするのが目に見えている。下手すれば命を失う。熊に勝てる程強くなっても何のメリットも無い。宴会芸にも使えない。私は熊が現れない事を祈るしかなかった。


 時刻は15:00。もう4時間も山の中を歩いている。足が痛くてヘトヘトだが、下界に広がる景色と緑が素晴らしかった。登山経験の無い私には新鮮な感動だった。真っすぐ進めば『重太郎新道』という前穂高岳の山頂を目指す登山ルートであるが私には登れそうにない。思った以上に厳しい登山となった。ハイキング位の感覚でいた私は甘かった。宇宙船の隠してある場所は七海しか知らない。ネットの地図サイトの航空写真映像を見て七海がここだと示した場所が標高3000mを超える『穂高連峰』の前穂高岳の近くだった。   


 七海は岩場を黙々と登っていく。赤いチェックのシャツとブルーのチロリアンハットが灰色の岩場を進んで行く。私は這うようにして七海を追いかけて斜面を登る。傾斜がきつく、手を着かないと前に進めない。横を見ると景色が斜めになっていた。足元は石だらけでバスケットボールより大きなサイズの尖った石が一面にゴロゴロ転がっている。岩も多く、大きな岩を乗り越える時は背中の筋肉がつりそうになった。なんなんだここは? 日本にこんな場所があるなんて想像したことも無かった。街中とはえらい違いだ。傾斜のきつい雪渓は四つん這いになって七海の足に摑まりながら進んだ。必死だった。七海はピッケルを上手く使いながら雪渓を超えた。私は肩で大きく息をしながら、その場に座り込んだ。広大な渓谷を見下ろす広い山の斜面には私と七海の姿しかない。前方には標高3090mの前穂高岳が聳えている。私は大自然のパノラマに圧倒された。人間の存在は本当に小さい。ここが一体どこなのか見当もつかない。アウトドアショップの店員が言うように、初心者が来る所ではない。おまけに登山道を大きく外れている。前穂高岳の山頂や、さらに危険だという奥穂高岳はどんな感じなのだろう、想像も出来ない。登山は命懸けの趣味だ。

「タケル、大丈夫? 顔色がよくないの」

七海は左手に持った地図を見ながら現在位置を確認している。大きなリュックを背負い、右手にはピッケルを持っている。息一つ切らしていない。なんとも頼もしく凛々しい姿だ。男前すぎる。それでいて滅茶苦茶綺麗でカワイイ。赤いチェックのシャツにアイボリーのパンツに茶色のトレッキングシューズ、モスグリーンのリュックにブルーのチロリアンハット。似合い過ぎている、反則だ。


 私と七海は3日前に神保町のアウトドアショップで登山用の服やリュック、トレッキングシューズ、ピッケル、ロープを買った。ショップでも七海は店員達の目を釘付けにした。フロアの店員は入れ替わり立ち替わり七海にまとわりついた。

「あの、失礼ですが登山の経験はおありですか? お二人は山岳サークルか何かのお知り合いですか? どこのサークルですか?」

店員が私に尋ねてくる。その目は私と七海の関係を詮索するようだった。

「いえ、登山経験はありません。彼女と山デートをしようと思いまして、普通のデートは飽きたんで、新鮮なデートをしたいんですよ。彼女、カワイイでしょ?」

「はい、芸能人みたいだなって他の店員と話してたんですよ。お綺麗ですよね」

「モデルなんですよ! 写真集も出してるんです、『天野七海』っていうんですよ。年の差カップルなんでいろいろ大変なんです。彼女もこんなおっさんのどこがいいんでしょうね? あっはっは」

私は店員を悔しがらせたかった。悪い趣味だ。

「モデルさんですか? そりゃ綺麗なはずだ」

鼻の下に髭をたくわえた店員は私と七海を交互に見て悔しそうな顔をしている。他の店員は天野七海の名前をメモしていた。いつの間にか店員が5人も集まっていた。

「どちらの山を登る予定ですか?」

別の店員が聞いてきた。

「穂高連峰かな、景色が綺麗みたいだし、『夜はテントでムフフ』ですよ」

店員達は顔を見合わせた。

「あの、初心者で穂高連峰はかなり危険だと思います。標高が3000m超えてる上に急傾斜と岩場が多い所です。体力と経験が必要です。先日も滑落事故がありました」

「奥穂高岳や西穂高岳はもの凄く危険な岩場がありあります。場所によってはクライミング技術が必要です。滑落したら命はありませんよ」

「失礼ですがこちらの女性には難易度が高いと思います。良かったら同行しますよ。山を舐めないほうがいいですよ。脅しじゃなくて死にますよ。いつ行かれるんですか? 宿は予約したんですか? 予約してないなら同行させて下さい」

店員達が口々に私達のプランに異を唱える。


 爽やかなイケメンで背が高い、いかにもスポーツマンといった感じの店員が同行すると言ってしつこく七海に話しかけている。七海は困った顔をして相手をしている。イケメン店員は七海に一目惚れをしたようだ。おそらくルックスに自信があるのだろう、七海にグイグイ迫っている。アクション俳優みたいで女性にモテそうだ。

「失礼ですがあの男性のどこがいいんですか? かなり年上で体力もなさそうです。くたびれた中年にしか見えません。お金持ちなんですか?」

イケメン店員は本当に失礼だった。私と七海が釣り合っていないことに納得がいかないようだ。私は敵愾心が沸き上がってきた。

「タケルはお金持ちじゃないの。体力もないし、イケメンでもないの。でも優しいの。それに真面目なの。それしかないけど真面目で優しいのが一番なの。いつも私を守ってくれるの。大切にしてくれるの。だからタケルが好きなの」

「はあ、優しいんですか。でも優しい男なんていくらでもいますよ。とにかく穂高連峰はお二人だけでは無理だと思います。危険です。顔は綺麗ですけど体力があるようには見えません、モデルさんですよね? 私が同行して『天野』さんを守ります。経験者が必要です。私はヒマラヤに登ったこともあります。マリンスポーツもやってます、ウィンドサーフィンです、良かったら今度見に来ませんか? 車出しますよ、ランクル300のZXです。帰りは美味しいイタリアンの店にでも寄りましょう、いい店を知ってます。それに軽井沢に別荘もあるんですよ、招待しますよ。父が企業経営者なんです。天野さんに何かプレゼントしたい」

イケメン店員はなにがなんでも同行したいようだ。完全に七海の虜になっている。だけど客をナンパしていいのか? マリンスポーツは関係ないだろ。車自慢も止めろ。日本人なら和食食え! 『天野』とか勝手に名前で呼ぶな! 俺がつけた名前だ。私はますます腹が立ってきた。モテない男の代表として、こいつだけには負けられない。でも何が勝てるんだろう? ヒマラヤにウィンドサーフィンにランクルにイタリア料理。別荘って完全にお坊ちゃまじゃないか。おまけにイケメンで高身長だ。今までに何人もの女性を墜としてきたのだろう。勝てる要素が見当たらない。七海にプレゼントを渡した事もない。

「大丈夫なの、体力なら自信があるの。プレゼントはいっぱいもらったの。『図鑑』や『服』や『タケルの使ってたパソコン』なの。それにイタリアンより鰻重がいいの、『私は鰻の味にはうるさいの!』」

七海は突然、片手で逆立ちを始めた。七海の服装は私とお揃いのフランス軍のフィールドシャツとチノパンだった。フィールシャツがめくれて腹部が見えている。くびれた腰に店員達が見入っている。七海は逆立ちしたまま片手でピョンピョン跳ねた。

逆立ちを終えると左足を前に突き出し、右足だけで片足スクワットを高速で初めた。

「片手で懸垂もできるの、30回くらいかな」

七海はさらっと言う。

「凄いですね、驚きました。レンジャー隊員みたいです。何かスポーツされてたんですか?」

髭の店員が目を丸くしている。

「スポーツはやったことがないの。でも軍人だったの。訓練で1万メートルの山に無酸素で登ったことがあるの。トレイルランニングみたいなのなら300Km走ったこともあるの。時速40Kmだと」

「七海、もういい!」

私は慌てて割って入った。七海のイカれた身体能力は常人には理解できない。虚言癖だと思われてしまう。地球に1万メートルの山は存在しない。

「体力はあるの。だから『夜はテントでムフフ』なの! キャハ」

七海は本当に無邪気でカワイイ。店員達は押し黙っていた。イケメン店員は悔しそうな顔をして私を睨んでいる。ざまあみろ、イケメン・ナンパ・ヒマヤラ野郎。


 二人分の服、リュック、トレッキングシューズ、ピッケルなど色々買ったので会計は結構な金額になった。髭の店員がブルーのチロリアンハットをサービスしてくれた。私はカードで払おうと思って財布からカードを取り出した。

「今回は私が誘ったから私が払うの、昨日パート代が入ったから大丈夫なの。払いたいの。タケルにはいつも払ってもらってばっかりなの。一緒に住んでるのに家賃もまだ払ってないの。だから払うのが嬉しいの、働いた甲斐があるの」

買い物の代金は、七海が嬉しそうに笑顔で、現金で払ってくれた。給料袋と書かれた封筒から慣れない手つきで微笑みながらお札を取り出す姿が健気だ。私は猛烈に嬉しかった。七海は本当に素晴らしい女性だ! イケメン店員は物凄く悔しそうにしていた。信じられないものを見るような目で七海を見ていた。ざまあみろ、グイグイナンパ野郎! 男は顔だけじゃないんだよ、俺と七海は一緒に暮らしてるんだよ。こんな美女と毎日枕を並べて寝てるんだよ! 宇宙人だけど・・・・・・


 上から下まで服装と装備が新品の私たちはどうみても超初心者だが七海の動きは機敏で無駄がなかった。超美形の山ガールだ。アウトドア雑誌の表紙になってもおかしくない。ここに来るまでも、観光客や登山者が七海の美貌に目を奪われていた。自然の中でも七海の美しさは輝いている。上高地で七海は頼み込まれて団体客の集合記念写真に参加させられた。明らかに初心者の格好の七海にガイドを申し出る山男が何人もいた。七海は笑顔で断っていた。みんな七海の顔を熱く見つめていた。大自然の中で山男達をナンパに走らせる七海の魅力は凄まじい。「山男、良く聞~けよ、七海にゃ惚れるなよ~♪」


 「悪い、少し休ませてくれ」

私は情けない声を出して岩場に大の字になった。背中にゴツゴツした岩が当たって痛い。息が上がり、これ以上足が前に出そうに無い。汗も止まらない。吐き気と頭痛もひどい。標高は2000mを超えているはずだ。青い空を白い雲が気持ちよさそうに流れて行く。雲が羨ましかった。七海は背負っているリュックをいったん降ろして、体の前に掛けた。

「タケル、背中に乗って。時間が無いの、背負って行くの」

「恥ずかしいよ。さすがに重いだろ、それに急斜面だ、危ない」

女性に背負ってもらうのは男として情けなかった。しかし体力の限界だった。

「大丈夫なの、誰もいないの。気にしないくていいの、背筋力は3トン以上あるの。だから『朝飯前の河童の屁』なの。残念だけど『七海の屁』じゃないの」

私はその言葉を聞いて、遠慮するのを止めて七海に負ぶさる事にした。河童の屁はイヤだが『七海の屁』なら、いくら嗅いでも苦にならないと思った。七海のおんぶは多少上下に揺れるが安定していた。手は七海が前にかけたリュックを噛んでいた。

「タケル、もっとしっかり掴まるの、抱き着いてもいいの、急斜面なの」

七海の言葉に甘えてクロスした手で七海の脇の下を掴んだ。リュクの隙間に押し込んだ腕の内側が七海の胸に食い込んだ。素晴らし形と弾力だった。

「キャハッ、くすぐったいの。でも、なんか嬉しいの。タケルと一体なの」

歩行速度は急斜面の岩場を登っているとは思えない程速かった。七海はさらに急な岩だらけのガレ場を登り始めた。目の前は濃灰色一色の世界だった。傾斜が一気にきつくなる。濃灰色と青空の色が対照的だった。ほぼ垂直の崖がぶつかった。高さは30mはあるだろう。


 「この上なの、先に登ってロープで引き上げるから待ってて欲しいの」

そう言うと七海はリュックからロープを出して私の体をロープで縛った。さすがに特殊部隊にいた軍人だ、手慣れている。七海はほぼ垂直の崖をロープ無しで登り始めた。見事なダイアゴナルのムーブだった。私も一時期ボルダリングにハマっていたことがあるので七海のしなやかなムーブに見とれた。私に繋がったロープは七海の背中のリュックに結び付けられている。崖を登り切った七海の姿が見えなくなった。しばらくして私は七海に吊り上げられた。下を見ると股間がスーとした。いわゆる玉ヒュンだ。やがて崖の上まで引っ張り上げられた。崖の上は開けた岩場になっていた。50mほど先はまた垂直な崖になっており、その上もまた同じような構造になっていた。


 「間違いないの。ここなの。脳波で宇宙船を操作してみるの」

そう言うと七海は奥へ歩き始めた。

「凄い所だな、岩と石しかない」

見たことのない景色は異世界のように見えた。灰色の岩場にやたらと青い空に白い雲。

「MM378もこんな感じだけど岩の色は赤い感じなの。火星に近い感じなの。山岳訓練はもっときついの」

視界にうっすらと大きな物体が現れ始めた、半透明でくすんだ鏡のような物体は大型バスを7~8台くらいの横に繋げたような長方形だった。側面は岩場をぼんやり映してるようだった。

「光学迷彩なの、いま入り口を開けるの」

半透明でくすんだ鏡のような物体の横側にある小さな四角い入り口が開いた。

「着いて来て」

七海は入り口から入っていった。私もそれに続いた。


 中に入ると10畳くらいスペースがあった。壁にはいくつもモニターがあり、宇宙空間と思わしき映像を映し出していた。七海は操縦席と思われる場所に座ってコントロールパネルを操作しいている。スイッチとメーター類が沢山並んでいた。私は隣の席に座って宇宙船の内部を見回した。全体的に白で統一されており、照明も明るかった。

「大丈夫みたい、エネルギーも80%以上残ってるし損傷個所も無いの。センサーの感度も良好なの。良かった、これなら飛べるの」

七海は安心したような声で言った。

「しかし凄いな、これが宇宙船か」

私は感動していた。地球人で最初に宇宙船に乗ったのは私かも知れない。海上自衛隊のイベントで護衛艦に乗った時より何百倍も嬉しかった。七海と出会わなければこんな経験はできなかっただろう。

「奥にあるのが退避カプセルなの。地球に来る時はあの中で3ヵ月間眠ってたの」

奥には酸素カプセルのような物体が2台置かれていた。七海がその中で3ヵ月眠って地球に来たかと思うと感慨深かった。

「タケル、念のために暗くなるまで待つの」

「わかった、東京の日の入りの時間まで待とう」

私は腕時計を見た。午後18時だった。この季節の東京の日の入りは19時頃だ。

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