後天的貞操逆転世界の異端者〜ある日突然貞操観念が完全に逆転した世界でなぜか元のままだった俺、ギラギラした美少女達からロックオンされてしまう〜
第27話 俺もママ活とか頂き男子のレッテルは貼られたくないのでそれで大丈夫です
第27話 俺もママ活とか頂き男子のレッテルは貼られたくないのでそれで大丈夫です
「この間からやってる芦田さんと叶瀬ちゃんとの勉強会は上手く行ってるのか?」
「ああ、一応」
休み時間四時間目の準備をしている最中に彰人から話しかけられた俺はそう答えた。玲奈と叶瀬との放課後の勉強会はあの日以降も続いているわけだが何だかんだ順調だ。
相変わらずスパルタな叶瀬にボコボコにされた玲奈が泣きついてきて仕方なく俺が教えるという流れは変わらなかったが意外とこれが上手くいっていた。そのおかげで玲奈の英語力は多少マシになってきている。
「潤がハーレムになってて羨ましいよ」
「嘘つけ、一ミリもそんな事思ってないだろ」
「あっ、やっぱバレるか」
貞操逆転した今の世の中ではハーレムが嬉しい奴なんて普通はいないはずだ。調査によると今の男性はED並みに勃起しない上に性欲も著しく低い。それに対して女子は貞操逆転前の男子中学生並みの性欲となっている。
もし何かの間違いでハーレムなんて作ってしまった日には腹上死させられるかもしれないため、貞操逆転していない俺ですら勘弁して欲しい。
「分かってるとは思うけど手を出されないように注意しろよな」
「あの二人にそんな勇気なんてないと思うけど」
「ムラムラし過ぎて理性が吹っ飛ぶかもしれないだろ」
なるほど、確かに貞操逆転前もそんな事件はたびたび起こっていた気がする。性欲に支配された人間は時に信じられないほど愚かな行動をする事があるため油断は禁物かもしれない。
そんな事を考えているうちに雨宮先生が教室に入ってきた。そう言えば今日の四時間目は世界史の授業だったっけ。
「そろそろチャイムが鳴るから席につけ」
雨宮先生の言葉を聞いて皆んな席に座る。完全にいじられキャラとなっている雨宮先生だが何だかんだ皆んなから好かれているためクラスメイト達は素直に言う事を聞くのだ。
その後少ししてチャイムがなり四時間目の授業が始まる。今日も前回の授業に引き続き古代ローマ帝国に関する話が中心だ。
「ローマ帝国後期以降に皇帝権力が強まると宦官を高級官僚に用いる事が多くなったわけだが、これは何故か分かるか?」
「はい、エッチして子供が出来たら困るからです」
「……あながち間違ってない解答をされるのが一番反応に困るんだが」
「えっ、そうなの!?」
いつものように思いつきで発言する暁さんだったが雨宮先生の言葉を聞いて驚いたような表情になった。
「おいおい、分かってて言ったんじゃないのか」
「詩乃ちゃんごめん、完全にいつものノリだった」
「だから詩乃ちゃんと呼ぶな、宦官が去勢された男性の官吏という事は中国史の授業の時にも説明をしていたと思うが……」
雨宮先生は宦官がなぜ高級官僚に用いられるようになったのかを説明し始める。ちなみに解説によると生殖能力のない宦官を高級官僚に任命する事で世襲を防ぐという狙いがあったためらしい。
「てか、今と違って貞操逆転してないのにわざわざ去勢したい男の人なんていたんですか?」
「それも中国史の時に確か説明してただろ、刑罰で宦官になるパターンもあるが権力者になりたくて自分から去勢する奴も一定数いたんだよ。刑罰ならともかく自分から進んで宦官になるという感覚は正直私には全く理解できないがな」
「確かに詩乃ちゃんはエッチな事好きそうだもんね」
「こ、こら人聞きの悪い事を言うな」
結局雨宮先生は暁さんからいじられていた。それからあっという間に授業時間が終わり昼休みの時間がやってくる。
「あっ、雨宮先生。運のを手伝いますよ」
「本当か? 一人だとキツかったからめちゃくちゃ助かる」
今日は期末テスト前最後の世界史の授業だったため問題集やノートなど提出物が多かった。これを一人で運ぶのは大変な事が目に見えていたためヘルプを申し出たのだ。俺はノートの束を持つと雨宮先生とともに歩き始める。
「手伝って貰って悪いな」
「いえいえ、それにちょうど雨宮先生に話もあったので」
「私に話しか?」
「ええ、この前のタクシー代をまだ返して貰ってなかったので督促したかったんですよ」
「……ああ、完全に忘れてた」
俺の言葉を聞いた雨宮先生は分かりやすく表情を歪めていた。多分この間の事は雨宮先生にとっても記憶から消し去りたいレベルの黒歴史に違いない。
「誰かに現金を渡すところを見られると変な噂になりかねないからMoney Payで送金でも大丈夫か?」
「俺もママ活とか頂き男子のレッテルは貼られたくないのでそれで大丈夫です」
パパ活や頂き女子が死滅した代わりにママ活や頂き男子が主流になっているらしいが、言うまでもなく世間のイメージは悪いため誤解されたくなかった。
それにキャッシュレス決済サービスアプリの一つであるMoney Payはよく使っているためそれで問題もない。
「じゃあMoney Payと紐づけてる電話番号を教えてくれ」
「俺の電話番号を悪用しないでくださいね」
「そんな事するわけないだろ!?」
雨宮先生は全身全霊で否定してきた。まあ、そんな事をしてしまった日には雨宮先生が社会的に死ぬ事は避けられないため当然か。
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