第25話 あーあ、まさか幼馴染をよりにもよって担任に寝取られるとは思わなかったな

 昼休みが終わった後は特に何事もなく時間は過ぎ放課後になった。いよいよ今日の放課後からテスト週間という事で朝よりも皆んな気が重そうだ。俺と玲奈は教室を出て靴箱で待っていた叶瀬と合流する。


「華菜ちゃんが一緒なのはあんまり嬉しく無いけどよろしくね」


「私も玲奈先輩なんかに勉強を教えたら馬鹿が移りそうなので正直気乗りしませんが頑張ります」


「こらこら、いきなり喧嘩するな」


 もう既に色々と心配な俺だったがきっとなるようにしかならない。しばらく三人で適当に会話しながら歩き続け俺の家の前に到着した。


「ここが先輩の家なんですね」


「ああ、叶瀬は来るの初めてだったよな」


「ですね、そもそもそんな機会がなかったですし」


 確かに普通は異性の後輩を家に招くような機会なんてそうそう無い。そんな事を思っていると玲奈がニヤニヤしながら口を開く。


「ただの後輩の華菜ちゃんと違って私は潤のかけがえのない幼馴染だからもう飽きるくらいここには来てるよ」


「別に回数は重要じゃないと思いますけど?」


「そうそう、泊まった事もあったっけ」


 ここぞとばかりに得意げな顔でマウントを取り始める玲奈に叶瀬は唇を噛んでいる。玲奈はあんまり叶瀬を煽るな。


「子供の頃はよく来てた気がするけど小学校を卒業するまでの話でそれ以降はほとんど来なかっただろ」


「あれっ、そうだっけ?」


 俺のツッコミを聞いた玲奈はとぼけた顔でそうつぶやいた。よくある話だが中学生になって思春期に突入した事をきっかけに玲奈とは一時期疎遠になっていた時期がある。

 そう言えばちょうどそのタイミングで叶瀬と仲良くなったんだっけ。結局玲奈とは中学三年生で再び話すようになったがその頃はもう叶瀬が俺にべったりだったため小学生の頃ほど頻繁には絡んで来なくなった。

 だから玲奈とはまた疎遠になるかもしれないと思っていたが貞操逆転した影響で尋常じゃないくらいグイグイ来るようになったためその可能性は極めて低いだろう。それから家の中に入った俺は二人を部屋まで案内する。


「ここが俺の部屋だ、とりあえず適当に座ってくれ」


「お邪魔します」


「潤の部屋に来るのは本当に久しぶりな気がする」


 俺の部屋に二人がいる光景は凄まじい違和感がある。日常の中に非日常が入り込んだような気分だ。ちなみに最初玲奈と叶瀬は今日の勉強会は自分の家が良いなどと抜かしていた。

 だがそれを全力で拒否したため俺の部屋になったのだ。女子である玲奈や叶瀬の家に行ったら何をされるか分からないため当然だろう。

 貞操逆転した世の中になってしまった今、女子の部屋にホイホイついて行く事はサファリパークで車から降りるくらいには危険だ。そんな事を考えていると叶瀬が意外そうな表情で口を開く。


「男子の部屋って結構散らかってるイメージがありましたけど先輩の部屋は綺麗なんですね」


「潤は昔からめちゃくちゃ綺麗好きだから」


「ああ、俺は雨宮先生みたいな汚部屋に生息する住民とは違うぞ」


 思った事をそのままポロッと口にした俺だったが、すぐに自分がとんでもない失言をしてしまった事に気付く。


「……ねえ、なんで雨宮先生の部屋事情を知ってるの?」


「……まさか先輩、処女を拗らせた雨宮先生からお持ち帰りされました?」


 当然二人は先ほどの失言を聞き逃すはずもなく俺に対する激しい追求が始まってしまった。


「し、職員室の雨宮先生の机の上が荒れているのを見てそう思っただけで……」


「それだけで汚部屋に生息する住人ってはっきり断定するのは無理がありますよ……もしかして私を残して一人で卒業したんですか?」


「あーあ、まさか幼馴染をよりにもよって担任に寝取られるとは思わなかったな。とりあえず教育委員会と警察には通報しとかないと」


 玲奈も叶瀬も好き勝手言い始めたためこのまま放置するのはまずい。一刻も早く誤解を解かなければならないだろう。


「確かに俺は部屋に行ったけど日曜日の真昼間から酒に酔っ払って一人で帰れなくなった雨宮先生を仕方なく送っただけだぞ」


「えっ、あの人何やってるんですか……」


「うん、普通にドン引きなんだけど」


 俺の言葉を聞いた二人はあからさまに呆れたような表情になった。


「いやいや、今のはあっさり信じるのかよ」


「だって雨宮先生だし」


「ですね、全く違和感ありません」


 どうやら雨宮先生は玲奈と叶瀬から酔っ払って家に帰れなくなるようなどうしようもない大人だと思われているらしい。

 冗談抜きでクールキャラだと思っているのは雨宮先生本人だけな気がする。まあ、でも雨宮先生の人望の無さのおかげでひとまずこの場を乗り切れたため結果オーライだ。

 そう思う俺だったがよくよく考えれば今回の件はそもそも雨宮先生が原因だった。じゃあやっぱり雨宮先生が全部悪い。


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作者の代表作品である

【何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件】

のリメイクを始めました↓

https://kakuyomu.jp/works/16818093078728657839


旧版は★1700を超えているそこそこ人気の作品となっているため良ければお願いします〜

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