呪術巫女様、正義なう。~主を封印された巫女さんは、「正義」を見直すための旅に出るのでした!~
イズラ
#1「殺す者」
――
これは、平安から約1000年後――平成の物語である。
* * *
今朝も、少女は呪殺した――。
ある過疎地域の森奥に建つ『
電話・問い合わせでの予約はナシ。――直接依頼のみが、『呪詛サービス』の利用条件である。もちろん神社の存在を
「……ナゼわざわざ広めようとするのか。自分が死んでまで悪人を救いたいの……?」
独り言を呟きながら縁側沿いの廊下を歩くは、
「……『規約違反』って言ってる。自殺なら
居間の
――その瞬間、『黒いモノ』が彼女の肩に手をかけた――。
「え?」という声すら出ない。――有理処は硬直したまま、必死に思考を回転させる。
〈……そんなはずはない。『呪罰の
「――あなた、日﨑有理処さん?」
透き通った女性の声だった。
有理処はやっと体の向きを変え、その正体を
180cmほどの高身長。表情は微笑み。白い髪は腰まで伸び、前髪は均等に垂らしてあった。清楚さに対して服装はモダンであり、黒パーカーにジーパン、頭には黒いキャップを被っていた。
「…………カミサマ、ホトケサマ……?」
「ねぇ――、『呪詛サービス』って、――何?」
ニコニコとした表情からは、とんでもないほどの『殺気』が漏れ出ている。恐らく返答次第では、この場で斬首されることは確定だろう――。
「…………はい。……呪詛・呪殺の依頼を金銭によって承り、咒我神社に住まわる呪神様の力を使っているということ……」
有理処は慎重に事業内容を伝えるが、神はあまりピンときていないようだ。
「……つまり、古くから当神社で行われていた呪詛・呪殺を、慈善事業から営利事業に変えただけで……」
「……それがなんなのか?」という言葉を咄嗟に飲み込み、相手の返答を待つ。
神はしばらく腕を組んで考えていたが、やがて殺気を消すと、
「――へぇ……。じゃ、あなたが”直接”殺してる訳ではないのね?」
「……は、はい」
「――それなら、私にあなたを咎める権利はないわね」
「へ……?」
女性は軽く会釈をすると、縁側からひょいと飛び降り、すぐに消えてしまった。
「……いったい、なんだったのか? 分からない……」
と、その時――。突然、甲高い悲鳴が耳に飛び込んできた。――その声を聞き、有理処は間もなく走り出す。向かうは、神の住まう拝殿の部屋――。
「間違いなどはない! ”呪神様の声”だ……!――――」
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