これだけで私がトーカを大好きな理由は十分だ






 「なぁユウ!」

 「声大きい……何?」




 ある日の教室にて…



 私はトーカに呼ばれた。





 「ユウはさ…………バスケはお好きですか?」

 「……………いきなり何?」

 「質問質問(笑)」

 「別に好きでもなければ嫌いでもないって所」

 「おーー…………」

 「で、何なの?」

 「え?」

 「そんないきなりバスケについて聞いてきてどうしたの?」

 「あーいや……ユウは好きなんかなってさ」

 「……まぁ、さっき言った通りだから」

 「そっかーー………」

 



 トーカはいつも唐突に聞いてくる。


 だからどう答えればいいかよく分からない時が多い……




 「ほら、ユウ」

 「ん?」

 「あーーん」

 「……ありがとね」



 パクっ




 私はトーカからグミをいただいた。



 こうやって優しい所もあるし、










 「……………私って本当に最低だよね……」

 「………とりあえず落ち着けよ」

 「だってそうじゃん……」

 「……………」




 スッ





 こうやって私が"辛い時"には一緒にいて手を黙って握ってくれたりもする………



 あ、何でこんな状況だったのかはいずれ話すかも。





 偶に…






 「なぁ、ユウのバストいくつくらい?」

 「殴るよ?」







 こうしてトーカとは付き合って一年になるが付き合う前からいろいろと世話になっている。



 とても良いやつで……








 大好きなやつだ/////////
















 そして付き合って間もない頃、ちょっとした事件が起きた……





 そんな話を今回はしようと思う。





















 「ねぇねぇ君ー」

 「俺らと少し遊ばない?」

 「一緒にボーリングでも行こうよ」



 私はある日の休日の夕暮れにナンパされていた。

 


 理由はただ、1人でショッピングしようと都会に出ていろいろと回る間に少し道に迷い人気が少ない場所を歩いていたからだ。



 あー、やっちゃったよ……



 本当に私としたことが……



 防犯ブザー忘れてきちゃったし。



 でも午後3時には帰るって"親"には言ったから今、6時半頃だし心配してるかも………






 「ねぇ、聞いてる?」




 3人組の1人のモブAが話しかけてくる。



 後の奴らもモブB、モブCとするわ。





 「あ、すみません。私、これから彼氏とデートなので」

 



 「「「!!!」」」




 「と言う訳でそこ、退いてもらいます?」



 ガシッ



 「!!」

 


 「嘘ついちゃいけないよなー。そもそも彼氏とデートだったら長い時間こんな人気が少ないとこうろついてないでしょ(笑)」




 と、モブBが笑いながら私を触ってきた。



 コイツら…つけてきたのか…



 じゃあ……






 「おい」

 


 「「「!!!」」」

 



 「てめーら……セクハラと強要罪で訴えてもいいんだぞ?」



 

 私は少し語気を強めて凄んだ。




 「こんな女子高生1人を誘うのに3人でくる意気地なし共と一緒に遊びたいとは思わねーから」



 「「「………」」」



 「早くそこ退いてくれない?」





 パシンっっ!!!!

 




 「」



 「おい。こっちが下手に出てるからって調子乗んじゃねーぞ」



 私はモブAに平手打ちをされた……


 

 「………何の抵抗もしない女子1人に暴力………とことん終わってるな」




 私も未熟なことについ火がついてしまって思わず煽っていた。




 「「「」」」




 そこからは……





 「オラっ!!」

 「生意気なんだよメス豚がぁ(笑)」

 「俺たちのどこに意気地がねーって?」




 ドガッ!



 ズドッ!



 ガスッ!!




 少しの間、暴力に晒された。







 「はぁ……はぁ……………」

 




 "この時の私"は逃げようにも土地勘がなかったので土地勘のありそうなコイツらの思う壺になるとも思いどうしようもなさそうなのでただ殴られていた。

 そもそも、大声出すとか他にもやりようはあったかもしれないがこの時は思いつかなかった……





 やっぱ人って少し焦ると思うように動かないんだな……






 「はぁ………はぁ……アンタら……捕まるよ?こんなことで人生を棒に振りたいの?」




 「別にいいよ(笑)。これからすることをやれば大抵の子は話さなくなるだろうし」






 そうモブBが"意味深な発言"をしながら私に近寄ろうとしてきた。




 あ、コイツら……



 

 やっば……流石にどうにかしないとヤバい……




 私は少し怖くなっていた…





 「さてさて………じゃあ、今回は"何回"かな?」




 ニヤリと笑いながらモブ共が近寄ってくる…




 「」



 ガシッ!!!



 「ぐっ……!!」

 「行かせないよ(笑)?」



 その時逃げようと体を少し動かした時、ニタニタ笑いながらモブBが私を壁際に押さえつける……




 ヤバい……




 もう抵抗しようにも痛みで体が思うように動かない……





 

 「ちく……しょ……!!」


 





 私は思い切り大声出そうとした……













 「おい」







 時だった。







 「「「!!!」」」

 「あ………」






 「お前ら……何してんの?」








 1人の男子がやってきた……




 そう……






 「……………ユウ……」




 私の名前を呼んだのは…










 「トーカ……」










 そう、付き合ったばかりのトーカだった。






 「何君ー」




 モブAがヘラヘラしながらトーカに話しかける…




 「なになにー?君もこれからやることに混ざりた……」





 ズドンっ!!!!




 「!!!」

 「…………は?」

 「何だよ……お前ぇ……!!!」






 トーカは私を押さえつけていたモブBに飛び蹴りをして吹っ飛ばした。






 「トーカ……」

 「大丈夫か?ユウ、少し待ってろ…」



 そう私に囁くとトーカは私から離れて残りの2人に目をやった。




 「おいお前ら……覚悟は出来てる……よね(笑)?」




 2人のモブ共にそう言った。




 「君1人来た所で何も変わんねーと思うんだけど?」




 モブAはそうニヤけながら言う……




 「どういう意味……」





 ガンッ!!!





 「…………ガッ……!」

 「トーカ!!!!!」





 トーカはさっき吹っ飛ばしたモブBからメリケンサックのついた右腕でボディブローをされた。





 「て、テメぇ……ぐっ…!!」





 トーカは思わず膝をつく。





 「あらあら痛そー痛……そー!!!」



 ドガッ!!!



 モブAは殺したくなる笑みを浮かべながらトーカの顔を蹴り抜いた。



 「ガッ…!!!」




 トーカは倒れた……




 「正義の仮面をした自称ヒーローがマジで癪にさわんだよねー………お前……








 死ねよ」




 ガッ!!!!!




 「おっ!!?」




 トーカの顔を更に踏み抜こうとしたモブAを私は吹き飛ばした…



 「止めろよ!!!!」



 私はトーカに覆い被さった……




 「ユウ……!!」




 その時の私は……



 





 「……………もうイラつくからお前ら2人ともボコすわ」

 「サンセー」

 「じゃあ、俺は男の方をやるわー」




 そうモブ共が私達に近づいた時……





 「バーカ……テメーらがおしまいなんだよ…」

 「え?」




 ボソっとトーカが何か呟いた…



 すると……







 「お前ら何やってんだぁ!!!!!!!」





 「「「!!!!?」」」






 そこへ警察の方々が走ってきていた。




 「はっ!!?何でここに……!!!…あ」




 モブAは状況判断に遅れて思わずトーカの方を見た……





 「これが奥の手だよ」





 トーカはそうまた呟いた……



 




 そしてモブ共は捕まった。












 私達も病院に送られて治療を受けたり、警察の事情聴取を受けたりして親に保護された……



 そして……







 







 「ねぇ、トーカ……」

 「ん?」





 私は事件が終わって暫くしてからトーカに話を聞いていた。





 「どうして私の居場所が分かったの?」

 「付き合った記念にお互い位置アプリ入れてたじゃん?それでだよ。お前、午後3時に帰るって言っときながら連絡もよこさず何時間過ぎても帰ってこないからってお前の親御さんから連絡を受けたんだよ」

 「………………」

 「そして、スマホ見たら近くまで来たのになんの入る場所もない細道から位置情報が全く動いてないしな。だから警察に連絡したんだよ。あん時はしくったなー、もっと早く連絡すべきだったな(笑)つーかお前1人でもやろうと思えばあんなゴミ共……」








 「何で笑うの?」







 「え………?」


 「トーカは死にたかったの?」


 「は…?それはどういう意味……」

 「あんな危ない奴らに…お…襲われて………」




 


 ポタ…






 「ユウ………」

 「そもそも私があんな危ない所に1人でいたのが原因なんだよ………どうして………どうしてトーカが痛い目にあうの?おかしいよ……








  おかしいっ……!!!!」








 私はもう吐き出さずにはいられなかった……



 



 「どうしてトーカが……トーカ……がっ……!!!」






 ポタ……ポタポタ……






 


 「ユウちゃん」

 「!!!」



 

 トーカが私の愛称で呼んだ……




 「ユウちゃんも危ない目に遭ってたでしょ?それを助けない訳ないじゃん」

 「………………」

 









 「ユウちゃんが大好きだったから俺は思考が止まっちゃってただけ。人って夢中なものには目がないって言うけどそれが俺にとってユウちゃんなだけ」









 ギュッ





 そういってトーカは私を抱き寄せた……







 「……………ぐっ……!……………うわあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」











 私はもうトーカに抱きついて泣いていた。





 本当にトーカは優しいし気遣いができる………




 それに私を好きと言ってくれた。





 私がトーカを大好きになる理由はこれだけで十分だ……













 そんな私とトーカが付き合ったばかりの時に起きた事件の話だった。








 完

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