第十話 この先も……"私"と"コイツ"は変わらない
ふわ
ーー
何だろ…
ーー
ふわぁ
ーー
この感じ……
ーー
ふわぁぁーー
パッ!!!
「ユウ!!」
「!!」
私はトーカに呼ばれてハッとした…
「大丈夫か?」
「あ、ちょっと見惚れてた」
今私とトーカは近隣の公園でシャボン玉を吹いて遊んでいた。
「見惚れてたって…………え、俺?」
「シャボン玉」
「何だよー、そこは俺だろーが」
「アンタに見惚れることはないから安心しなよ♡」
私は笑顔でそう言った
「その笑顔はめっちゃ可愛いのになー……」
「はっ!?」
私は思わず動きを止めた。
もうこんなことで赤くなるのは数え切れない……
ふざけんなバカ…!!
「ん?どした?もうキャパオーバー?」
「アンタがキモいから驚いただけだわ」
「顔は嘘つけねーな(笑)」
グイッ!!
私は頬を膨らませながらトーカの頬を引っ張ってやろうと身を乗り出した。
「ちょっ!!落ち着けユウ!」
「うるさい」
私は少し強引に手を伸ばした。
「うおっ!!ちょっ!!倒れる……」
ぐらっ……
「「!!」」
ズシャッ!!
私達は長椅子から転げ落ちていた。
「あー………ユウ、大丈夫か?」
「」
「おいユウ…………ん?」
「……………」
「あ……………」
トーカの顔色がみるみる変わっていった……
だって……
今の拍子で……
私の胸を触っていたから。
「あ、あの…!!!ご、ごめっ………!!!」
トーカは必死に謝ろうとしていた
「…………ふふっ」
「!!」
突如、私が笑った。
「え?………ユウ?」
「別に"アンタ"に胸に触れられたことなんて"何度も"あるし今更怒ったりしないよ」
「え……俺そんなはしたないこと何度もやってた?」
「してるじゃん。抱き寄せてきたりでしょっちゅう体に当ててくるじゃん?」
「」
「まぁ、その恥ずかしさが罰としてあげるよ」
「な、なんか怖ぇ………」
「薫に言ったらどうなるかなー?こんな直に触っちゃってさー?」
「!!」
私は意地の悪い笑みを浮かべた。
「どうなのかなー?」
「お、お前今自分で気にしないって!!」
「話さないとは言ってないよ?」
「や、止めてくれ!!マジで止めてくれ…!!!」
「じゃあさ………
いい加減手を退けてくれない/////////?」
「え………あ…」
そう……
このやりとりの間、トーカの左手はずっと私の右胸を触っていた
ほんとに……ほんとーーに!!
トーカだからこうやって済ますけど他の人が一緒のことをしたら………
いや、つーか………
暫くして……
「………………」
「ねぇトーカ、なんか喋ってよ」
「え、あ……いや……」
「トーカ?」
「………………」
※
「」(ユウの胸ってやっぱ触り心地良かったよな………あ、いやいやいやいやいやいや!!!あー…ダメだ……意識するとマジでユウの顔が見れなくなる……ただでさえ、反則的に可愛いのにそんな女性らしさの部分まで考えたら………理性が抑えられなくなる!!!!マジやべぇ……!!!!)
ピシッ!
「!!」
「何考えてんのよ」
私はトーカの頭に手刀を送った。
「…………な、何でもない……ん、何でもない!!!」
トーカは大きめな声で話した。
「あ、そ………」
そう言ってフーーと私は吹き具を吹いてシャボン玉を作った
「」
私、伊織夕葉は思っていた。
バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカー!!!!!!!!トーカのバカー!!!!何であそこで私の胸を触るんだよ///////////////!!!!!いや、偶々だとしてもあんな人が通るかも知れないところでさ!!!!うわー!!!!!恥ずかしいのを隠してあんな意味不なこと言っちゃったしさ!!!!!恥ずかしいに決まってんじゃん!!!!いくら彼氏って言ったってそりゃあ恥ずかしいだろ!!!!あーーー………逆にキモかったかな………どうしよう………そろそろポーカーフェイスも辛くなってきた………
だって……
私は吹いてシャボン玉を作ってるトーカを見た。
だって………
嬉しかったんだもん……
私のことで一杯になって恥ずかしがったトーカが私を女性と見てくれていて…………とても嬉しかったんだもん/////////
そして私達2人は暫く無言で吹くこと更に数分……
「なぁ、ユウ」
「ん?」
トーカが私に話しかけてきた。
「何?」
「お前、シャボン玉は数秒の人生とかって言ってたじゃん」
「あー………言ったね」
「お前は割れないシャボン玉のことはどう思うんだ?」
「え?」
私はトーカに聞かれたことに少し驚いた
「ほら、なんかあんじゃん。割れなかったり触れたりするやつがさ」
「それは人工的な手で細工されてるやつだから論外だよ」
「あ、でも寒い地域とかでもシャボン玉が凍ったりしたら割れなくなるじゃん」
「あれは自然現象でしょ?私が言っていることとはまた意味が違ってくると思うけど…」
あ、いや…
「でも……」
「でも」
「!」
「それもまた面白いかもね」
私は考えた末に吹きながら答えた……
「自然と数秒で割れるのが"普通のシャボン玉"だけど色々と手を加えられて"延命が出来るシャボン玉"……なんか現代の医療やAIみたいだよね」
「……………」
「昔は本当にただ割れることだけしかなかったシャボン玉だけど今は治療されることにより割れずらかったり割れなかったり……それって時代が先に行くほど生まれてくるものじゃん?」
「…………そうだな」
「それに割れる割れないに関わらず、人が入れたりするこたをするようになったのだって時代が進むごとに生まれたカテゴリーだもんね」
「あー……」
「……………あ、でも」
私はふと思った。
「シャボン玉ってどんな吹き方や作られ方になっても【丸い】ってのは絶対変わらないよね」
「あ…言われてみれば…」
「まぁ、正確に言えば"絶対丸みを帯びている"ってことかな」
「地面や壁にくっついて半円見たくなってるのもあるしな」
「そうそう。だから、どんな風に作られようと形が変わらないのがシャボン玉の特徴なんだろうな……つまり、今の時代の風潮みたいだよね」
「え?」
「世界はどんどん変わっていくのに争いは止まらないし貧困層だって存在するし、犯罪だって起きてる………偉そうなことは言えないけどさ………どんな風に時代が変わっていっても変わらないものも存在する……そう思っちゃった」
「……………」
「それで、アンタの言ったことについての答え」
「!」
「割れないものは新しく変わろうと努力をしている……強く生きるために頑張っている努力家なシャボン玉ってとこかな」
「なんか、無理矢理な理由だな……」
「アンタがそもそも無理矢理な理由で持ってきたんでしょーが」
「…………まぁでも…………
変わらないために努力しているってことでもあるかな……」
「え?」
私はトーカが言ったことに思わず声を上げていた。
「だってそうだろ?自分の人生を続けようと"終わるという変わり"を努力して変わらないようにしてるとも言えない?」
「…………なんか色々と無理矢理感が凄いけど………一理あるかもね」
「だろー?」
トーカは笑った。
「……………じゃあさ…」
「ん?」
「どんなに時代が変わろうとトーカは………
トーカはそのままでいてね」
「え………」
「つまり変わらないでってこと」
「」
「ずっと……私の隣にいて欲しい………////////////」
「」
「////////////…………」
カアァァァァァァ!!!!!!
トーカは激しく顔を赤くしていた。
まぁ、私も赤くなりまくってたんだけど……
でも本当に……
本当に私はトーカとの関係が変わらないでほしいと思っている……
ずっと……ね!
完
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