"私のしたいこと""コイツのしたいこと"



 キーンコーンカーンコーン……




 「はい、今日で試験終りょー。みんなお疲れー……と言っても勉強は出来るだけ毎日やっとくよーにー、では、号令」



 

 私とトーカの担任の教師、前田憲人(まえだのりと)先生が気だるげに少し雑な感じで話し号令に入った。





 「きりーつ、れいっ」





 と、日直が言い挨拶が終わった。





 













 「いやー、マジでテスト期間だるかったなー勉強勉強ばっかでよー」

 「言うほどアンタ、勉強してた?」

 「してたじゃん!!」

 「そう?」

 「うわ、ユウはそんなこと言うんだ……ひどーい」



 私、伊織夕葉いおりゆうはは彼氏の香月燈火かづきとおかと一緒に家に帰っていた。




 「まぁ、何でもいいんだけどさ、トーカはこの後予定ある?」

 「ん?あるだろ。テスト終わったんだからお前とグダグダすんだろ?」

 「ま………まぁ、そうだけど……」




 コイツは何で済ました顔で普通にこんなことが言えんのよ……



 あ、言い忘れたけど今日はテストが午前だけだったので午後は何も予定がない日だった。




 「それじゃあさ……私のしたいことにちょっと付き合ってよ」

 「ん?」










 と言う訳で……








 私はトーカとある場所に出かけた



 出かけた先は……










 





 「なぁユウ」

 「ん?」

 「お前がしたいことって……」

 「そっ。







  プリクラ」





 



 私とトーカはゲームセンターに来ていた。

 



 「ユウもやっぱ女子だったな…」

 「何を当たり前のことを言ってるの?」




 私は笑顔でトーカを見た。




 「あ、あー……いや………ん……別に……」

 




 トーカは曖昧な反応をしていた。





 「いやー、プリクラ撮るの初めてだもん」




 いや恥ずかしい話、私は全くプリクラを撮ったことがない……


 

 なので密かに憧れていた。



 トーカはめっちゃ撮ってるけど…



 「でも珍しいよなー、お前がプリクラ撮りたいだなんてよ」

 「折角だし思いついたからさ」

 「まぁ、じゃあ撮るか」




 トーカは軽い感じで了承してくれた。

 と言う訳で私とトーカはプリクラ機の近くにいる。







 「さて、どう撮る?」




 トーカが私に聞いてきた。




 「え?撮り方なんてあんの?」

 「まぁ、何でもいいけどいろいろとあんじゃん?」



 あぁ、確かにあるな……



 「例えばどんなのがいいかな?」



 私はトーカに質問した。



 「え…………俺に聞く?」

 「アンタ常連じゃん。そりゃあ聞くよ」

 「………………………」



 トーカはしばらく考えていた。



 「よし。それじゃあ……………」










 カシャっ!!











 「どうよこれは!!」

 「」






 私達は【片手繋ぎ&ハグ】という感じで写真を撮った。



 つまり、肩の方の腕はお互いの背中に回しもう片方は手を繋ぐと言う感じの写真だ。




 「カップルには欠かせないポーズだろ?」

 「そ、そういうもんなのか……」





 私は少し恥ずかしかったがトーカの言う通りにしていた。




 「やっぱユウってめちゃめちゃ良い香りするよなー。それに体はとても優しい感触だしー、本当に可愛いわー」

 「こ、声のボリューム下げろ……!!」

 




 こんな素で言われるのは今に始まったことじゃないけど……やっぱ恥ずかしいんだよ!!







 カシャっ!!






 次は【私の頭にトーカが手を乗せる】と言う感じのポーズを取った。




 

 「やっぱユウは背が高いと言っても俺には及ばないよなー(笑)」



 ムッ




 「アンタって身長いくつくらい?」

 「179cm」

 「ムカつく」

 「え(笑)?」



 私達はそんなしょうもないやり取りをしていた。




 そして……






 「ユウのほっぺめっちゃ柔らかいな」

 「やめろ変態、セクハラだぞ」

 「ちょっ、言い過ぎ…」




 私とトーカは……




 「トーカ重かった」

 「え、そう?」

 「もうちょい力加減考えてよ」



 いろんな写真を…



 「あーほらほら!!もう時間が!!」

 「え?」





 カシャっ!!!!






 撮りまくった。












 しばらくして、







 フードコートにて……







 「いやー、良い写真撮れたんじゃないのこれー」




 トーカはヘラヘラ笑っていた




 「………まぁ、そうだね……楽しかった」

 「でも、ユウと撮った最後のあの写真はやっぱ俺達らしかったな」



 その撮った写真とは……




 私がトーカの左肩に右肩を乗せてよりかかりトーカは左に重心を倒しながら親指をポッケに入れるという感じの写真だった。



 まぁ、なんて言うかカッコつけた写真だ。




 「あれが私達だから別に何も変ではないでしょ」

 「おう。カッコ良かった!!」

 



 トーカは笑顔で返してきた……



 何だよ


 

 コイツの笑顔に私は何でいつも……!!!





 「ユウ?」

 「何でもない」




 そう言いながら私はお冷を飲んだ。




 「じゃあ、次は何がしたい?」

 「え………」

 「なんか他にしたいことないの?」

 「え、あ………考えてなかった」

 「あ、じゃあプリクラが撮りたかっただけだった訳ね」

 「段取り悪くてごめん……」





 私は謝っていた。



 まぁ……自分から誘っといてこれは流石に勝手すぎだろと思ったからだ……





 「そんな律儀に謝んなって(笑)」

 「…………………」

 「それじゃあ次は俺のしたいことに付き合ってもらおうかなー」

 「え、何?」

 「ちょっとつい来てよ」




 そう言ってトーカは立ち上がった。

 

 どこへ行くんだ?










 












 「はいとーちゃーく」

 「」








 私達は家の近くの公園に立ち寄っていた





 「え……ここで何する訳?」

 「まぁ、待てよ……」





 そう言ってトーカはカバンをガサゴソ漁っていた



 そして……



 


 「あ………」

 「ちょっと2人で吹かない?」




 ニッと笑い取り出したものは……


 よく売ってる小さいシャボン玉セットだった。


 それを2セット。



 「いやー、なんかお前から"あのポエム"を聞いたら自然としたくなってよー。どうだ?やらないか?」



 

 そう無邪気にトーカは聞いてきた。




 「まぁ、いいよ」




 私はクスっと笑って返した。

 



 「でも意外。アンタがそんなことをしたいと思うなんてさ」

 「えー?そうかー?別におかしいことではないと思うけどなー」

 「おかしいとは言ってないよ。ただ子供っぽいなとは思っただけ」

 「だって俺達まだ子供じゃん」

 「もうすぐ成人だけどね」

 「はいはい!!そんな先の話は後!!今は楽しく遊びましょうか!!」

 「ふふっ……しょうがない。付き合ってやるか!!」

 「そうだ!!その息だ!!」






 私達はお互い笑い合いながらシャボン玉を吹き始めた。






 完


 ※多分このお話は続くかもしれません

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