第六話 彼氏に"どんな反応をするか"の実験をされた……



 今日は幼馴染の彼氏、香月燈火かづきとおかに実験されていた話です






 朝の行き、



 「おっはー!ユウ!!今日も元気そうだな!!お前の顔ってヒスタミン効果があるよな!!」

 「」



 朝休み、



 「宿題あるの教えてくれてありがとう!!やっぱユウって頼りなるわ!!」

 「」



 昼休み……



 「うまっ!!やっぱユウの作った卵焼きはマジ最高!!」

 「」





 そして放課後……



 

 「なぁなぁ、ユウ」

 「………何?」

 「お前ってめちゃめちゃ可愛いよな」

 

 「」


 「それに凄いいい香りもするしスタイルもめっちゃいいし長い黒髪も綺麗だし、正直清楚美人って感じがして俺は好きだわ」

 「」

 「それに頭もいいし、スポーツだって出来る。で、優しい。何で友達が少ないのか分からないくらいハイスペックだよな」

 「………………」

 「マジで好きだよ」

 「ねぇ」

 「ん?」



 


 「マジでキモいよ」





 今日の学校での一日……

 私は急に幼馴染の彼氏、香月燈火かづきとおや…からベタ褒めされていた


 なのでこの一言を返した





 







 「やっぱ最近暑くなってきたなー」



 トーカはそう言いながらアイスの実を食べていた……

 私達はある公園に立ち寄って木製の長椅子に座っている。



 「…………………」

 「あ、お前にもあげるよ。ほら」

 「ありがとう」



 そう言って私は実を受け取り、口に入れる。



 「あ、おいしっ」

 


 思わず言ってしまった。

 まぁ、今の暑い気温の中冷たいものを口に入れると美味しいと感じるのはごく自然なこと……だと思う……

 それより……



 「ねぇ、トーカ」

 「ん?」

 「今日の露骨な褒め言葉は何?」



 私は気になった疑問をトーカにぶつけた。



 「え?本当のことを言っただけだよ?」



 そうキョトンとする顔を私は無視しながら……


 

 「なんか私で実験しようとしている?」



 こう聞いた。



 「えー?んー………」



 そうトーカは少し何を言うか悩んでいる。



 「やっぱ何かあるんだね」



 私はジト目をぶつけた。


 

 「え、あ、いや……別に何かある訳ではねーよ?ただ……少し試したいことがあったから……」

 「ほら。私で何か実験しようとしたんでしょ。殴るよ?」



 私は頬を膨らませながらトーカの頬を引っ張ってやろうと身を乗り出して手をトーカの顔の方に伸ばした。



 「ま、まぁまぁ!!聞いてくれよ!!!」



 トーカは私を収めようとした。



 「………じゃあ、私に理解できるように説明して」



 スッと私は身を引く。



 「まぁ、簡単に言うのは難しいから長くなるけどいいか?」

 「いいよ。とりあえず説明して」

 「……………えーとさ、種類が違う動物はさ、その言語を伝え合うことが難しいじゃん?」



 トーカはこう切り出す。

 何の脈絡も無さすぎて少し驚いた。



 「そうだね」

 「でも、長く接したり同じ言語を繰り返し言ったり表現することによってその言語を覚えることが出来るじゃん?」

 「確かに」

 「例えば犬と"飼い主の人"だったら犬にお手を言い続けたらその犬はいつもいるその飼い主の言うことを覚えて言うことを聞くようになったりする」

 「あー……まぁね」

 「だけどやっぱ生き物って種類が違うと複雑な言語は覚えることが出来ないじゃん?」

 「あ、確かに。でも人は言語が違っても長くその違う言語の環境にいるとその複雑な言語もしっかり聞けるようになったり喋れたりするよね」




 まぁ本人の努力次第でもあるから一概にはいえないけど

 



 「そうそう!!でもそれって同じ種族のヒト科の人間じゃん?」

 「確かに確かに。分かる分かる」

 「だから、生き物でも同種族じゃないとやっぱ複雑な言語を理解し合うのは難しいと思うんだよな」




 トーカにしては中々筋の通ったことを言うな……




 「でもその"当たり前のこと"が何なの?」

 「あー、それでここからなんだよ」




 あ、今の前置きか。




 「えーとさ、それでも種類が違う生き物でもさ、なんか喜んだり嬉しそうだったりするのって理解できる……分かる?」

 「あー、分かるよ」




 確かにな…




 「えーと例を出すと、俺達は日本人のヒト科じゃん?まぁ、さっき説明したけど同じヒト科の外国人…例えば英語圏の人とかが嬉しそうにしているなって事は言葉が通じなくても理解できるじゃん?それって、言語以外の手段で理解してるってことでもある」

 「表情や仕草、体の動き……後はスマホの翻訳機と言った"ヒト科ならではの手段"とかでってことでね」

 「そうそう!!」

 「あ、なんかアンタが言いたい事が分かった気がする」

 「あ、マジ?でも最後まで聞いてほしい」

 「はいはい」




 それで私はトーカの話に聞き耳を立てた




 「で、ヒト科はそれが出来るのは分かったとしてそれでも"魚とか鳥とか"が嬉しそうにしてるのって理解するのを難しいって思っちゃうのになんか理解できたりもするのも分かる?」

 「なんかそろりそろり近寄ってきたり、激しく動いたり、体を預けてきたりと外国人の方みたく体の表現でそう感じる……




 …と言うか"そう思い込んで勝手に決めちゃう"ってことだよね?」





 「そうそう!!何だよ!ユウってマジで言いたい事理解してくれるな」

 「ありがとう。それで?」




 私は話を続けさせた




 「後は、その自分より理解している同じ種類の人が『この子はこう言ってるんだよー?』ってペットとかの他種族の子の通訳してくれると本当にそう見えてきたりもするよね」

 「言えてるね」

 



 

 中々"良い話"するな…





 「で、ここでだよ」

  


 トーカは語気を強めた



 「それで喜んでくれてると理解してくれたら嬉しいって思うじゃん?」

 「だね」

 「怒ってたり、悲しそうだったり、分からなそうだったりするとその行動をやめて嬉しそうにしていた行動をよくするようになる……でしょ?」

 「……………」

 「犬とかでもさ、なんか一言……『おっぱい』って言ったら嬉しそうに近寄って『はぁはぁ』って反応してくれたりもあるじゃん?」

 「例え方に品がねーわ」



 私は冷めた目で見つめた



 「!!………と、ともかく!!違う種族で嬉しそうにしてくれる反応は何度もやりたくなっちゃうってこと!!」

 「……………」

 「ユウ?」

 「質問なんだけどさ……いや、質問するまでもない事なんだろうけど……つまりは……」

 

 「そうだ!!今の高校生になったユウがどんなことをされたり言われたり、すると嬉しそうな顔をするかってことを調べていた!!」


 「……………ツッコミどころが多いから"また"絞って質問するけど……何で今更になってそんな実験しようと思ったの?」

 「え、だってユウが可愛いから」

 

 「真面目に答えなさい」



 私はギロリと睨む



 「…………ただ単に今のユウのことを知りたいと思ったからだよ」



 トーカは素っ気ない感じで言った



 「知りたいって……ほぼいつも一緒にいるのに?」

 「いや、いるつっても学校だと"偶にの昼休み"とかでしか会わないし後は行きか帰りかとかでしか一緒にいないし……」

 


 いやいや、一緒のクラスで今日は全休み時間もほぼ一緒にいただろ……



 「まぁいいや、それで?私でそんな"どんなことしたら喜ぶか?"の実験をして何か確証は得られたの?」




 今日は"ほぼ真顔"だったろうから絶対無駄な時間だったんだろうな




 「えー………んーー…」



 ほら、悩んでる



 「いやさ……"全部一緒の反応"だから分からなかったわ」



 ね?



 「でしょ?そんな"私の真顔"のとこ見てたって何にもなんないでしょ………」


 

 「え?真顔?」



 「ん?」



 あれ?なんか反応が違う……





 「いやいや、全部……










 "少し顔を赤らめた笑顔"だったよ?」



 

 「」

 「素っ気ない態度なのに凄い嬉しそうだったから俺も思わず今日のお前と会ってる時間は全てお前に構いたくなっちゃったんだよな」



 そう笑顔でトーカは言ってきた



 「…………」




 ブアッ!!!!




 「………っっ////////////!!!」




 私は突如体中が熱くなった……



 あ、マジか……



 全て"逆だった"ってことね………



 そういえば今日は手洗い場の鏡も見てなかった…



 あー……




 「それで?いい実験は出来た?」

 「おう!俺は楽しかったよ。だから次は"お前から何か"やってくれるか?」



 そうニコッとトーカは笑った



 「まぁ、いつかな」



 私はそう答えながら、トーカが持ってる溶けかけたアイスの実が入った袋に手を入れた



 あー……



 マジで"迂闊"だわ……



 でも……喜んでくれたのは






 嬉しいな



 「!」



 トーカが私を凝視していた


 

 あ、なんか私の表情が変わったのかな(笑)?



 だって……



 













 照れた顔してるんだもん♡






 完

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