第26話 水着姿
「……結構人居る」
平日とは思えないほどの賑わいを見せるプールに、俺は驚きと不安が溢れていた。
そりゃそうだ。普段は自分の部屋に1人なんだから、こんな場所での人混みはやっぱり慣れない。
「授業以外で水着姿の
「……自分が1番びっくりしてるよ」
「ラッシュガードだからあんま分からんけど、
「たしかにそれは思った!」
「なんかスポーツしてたん?」
「……あんまり覚えてないけど、実は……」
嘘ついて隠すのもあれだし、過去の事を話したら凄いリアクションだった。
「記憶喪失ね……」
神妙な面持ちでこっちを見てくる大岡。記憶喪失と言うと、大体めちゃくちゃ心配される。仕方ない事なんだろうけど、あんまり好きじゃないんだよな。
「え、でも今生きてるからいいやん」
「それな、池添は変わらず池添なんだし!」
「てか、今の池添しか知らないし俺ら!」
おっと、なんか思ってた反応と違った。
「大岡達は一味違うぜ?楽しめそうだろ?」
礼紋の言葉に、微笑みながら頷いた。珍しいみたいな表情でこっち見てくる。いや、俺だってたまには表情豊かになるよ?
「お待たせ!」
その声に反応し先に振り向いた俺以外男子陣は、言葉を失っていていた。え?今から後ろ向くの怖いんだが。
「……!」
そこに居たのは、人間界に舞い降り黒主体の可愛い水着を纏った天使……では無くて
「どう?似合ってるかな?」
「……う、うん。めっちゃ可愛いよ」
この反応で合ってるか分からないけど、似合ってるのは事実だしめちゃくちゃ可愛い。
「なぁ礼紋、あの2人やけに仲良くねぇか?いつか付き合いそうじゃね?」
「……さぁな。まぁ、3年になるくらいには付き合ってそうだけど」
礼紋にあとで聞いたところ、そんな事を大岡に言われたそうだ。そうだよな、同居してる事知らないんだよな大岡達は。
「ひゅーひゅー」
「……!?ちょっと
碧木の後ろから現れた彗星達女子陣が、からかいながらやって来た。当然のように、みんなスタイル良いの凄いな。
「……ん?」
「二十日、どしたの?」
いや、なんか視線を感じた。誰かに見られてる気がしたけど、多分気のせいだろう。
「おーい、俺ら先にウォータースライダー行くぞ」
「あ、私も行きたい!」
「いいね、れーくん私らも行くわ」
全員がウォータースライダーに行くと言うことで、特に視線については気にせず俺もついて行った。
そういや俺、碧木と彗星以外の女子2人と1回も喋って無くね?
◇◆
「……あれって、もしかして?」
二十日達が居る所からすこし離れた場所で、彼らの姿を見つめている少女。腰あたりまで伸びる紫色の髪が特徴的な彼女は、二十日の姿を見てそう呟いた。
「
「あ、うん!」
友達に咲と名前を呼ばれた少女。ちらちらと二十日の方を見た後に、友達のあとを追い走り出した。
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