第10話 本当は、
「それではまた明日、お疲れっした〜」
そう最後に言い残し、俺は海に身を投げた……じゃなくて配信を終えた。
ちなみに今日やったのはヴィクロとは別のゲームだ。毎回ヴィクロもいいけど、たまには別のをね。
「……やっば、もう8時過ぎか」
配信はほんとに時間が溶ける。気付けば夜の8が過ぎ、カーテンをめくると外はもう真っ暗だ。
「……やばい眠くなってきた。顔洗お」
睡眠欲が急増したけどまだ寝る訳にはいかない。ちょっと顔を洗って気合いを入れ直そう。なんの気合いだ?自分でも分からない。
「……まじで覚えてないんだよなぁ、あの御守り」
階段を降りながらふと頭をよぎったのは、今日学校で判明した、
一応母親に聞いてみたが、「知らん!」という、元気と威勢の良い返事が帰ってきた。やっぱあてにならんあの人。
「……
それにしても、碧木まだ帰ってきてないのか。部活で遅くなるって言ってたけど、ほんと頑張ってるよなあの子も。
自分とは大違いの同居人に感心しつつ、洗面所の扉を開けた。
「あ、
「……へ?」
そこに居たのは、黒のキャミソールとショーパンを着た、お風呂上がりの碧木だった。鍛えられた体は程よい肉付きで、スタイルいいですよってのを隠しきれていない。まじでどこまで完璧なんだよこの人は。
「ん?あ、二十日のえっち〜」
はい、これは何も言い訳出来ないです。まじですんません。
◇◆
「レディの着替えを覗くなんて、お前も中々だな。ナイスファイトだラッキースケベ!」
碧木が帰ってきたということで、全員で夜ご飯を食べる。案の定、母親はにやにやしながら弄ってきた。ナイスファイトって声掛けは果たして正解なのか?
「ははは、ちらって覗いたら配信してたから声掛けなかったんだ〜!ごめんね、ただいまをすぐ言えなくて!」
「……全然大丈夫。こっちこそごめんね?」
「私なんも気にしてない!」
ありがとう碧木。君の優しさに俺は救われたよ。正直ぶん殴られても仕方無いって思ってました。
「……じゃ、お風呂入ってくる。俺の部屋紹介は後でね」
「はーい!待ってる!」
俺は先に食べ終わり、先程の事件現場である洗面所へと足を運んだ。今度からノックしなきゃね。
◇◆
「世麗ちゃん、無理しないでいいんだぞ!多分普通に恥ずかしかったでしょ?」
二十日の母親と世麗の2人きりとなったリビングでは、再び二十日母がにやにやしながら碧木に話しかけていた。碧木はギクッと体を震わせ、照れながら笑っている。
「……私がちっちゃい頃、祭りでお世話になった子が二十日に似てて。だから、なんか恥ずかしいというか。普通なら本当に何とも思わないんです」
顔全体を赤くしながら、それを隠すように俯いて話す碧木。その様子を見て、二十日母は不思議そうに口を開いた。
「あぁ、それ多分二十日だよ?御守り一緒だったってやつでしょ?」
「……はい。……え?え!?で、でも
驚きを隠せない碧木に、二十日母はさらに話を続けた。
「あぁ、あの時はもしかして?くらいだったから適当に返事したけど、さっきアルバム見て確信したから大丈夫!」
その言葉を聞き、誰よりもそのアルバムを見たくなったのは碧木だろう。
「二十日は小1の時の祭りで、女の子と2人で写ってる写真があるよ!多分、世麗ちゃんじゃないかな?」
「その写真のこと、二十日は知ってるんですか?」
「いや、多分知らないよ。後でこっそり持ってくるけどその前に!」
碧木が「持ってくる」という言葉に期待した瞬間、二十日母はまたにやりと笑みを浮かべ、条件を口にした。
「その祭りで何があったのか、二十日?になんでお世話になったのか、聞かせてくれる?」
「はい。ちょっと長くなりますけど、全部話します!」
なぜか気合いを入れ直し、背筋を伸ばして元気よく声を発した碧木。二十日母は、彼女がその写真を見たいからというのもあるだろうが、照れと恥ずかしさを隠していることも直ぐに見抜いていた。
――そして碧木は、やはり御守りの事について何か知っていたのだ。なぜそれを二十日に言わなかったのか、10年前の祭りで何があったのか。真相は、碧木本人の口から語られた。
◇◆あとがき
まず、更新予定時間を自身の都合で大幅に遅延させてしまったことを心よりお詫び申し上げます。ほんとに申し訳ないです!
ノープロットで前日〜当日に話を書いて、毎日更新していますので、たまにこういう事が発生します。ご了承下さい!
明日明後日までは更新時間遅延が発生する可能性が高いので、お手数お掛けしますが、近況ノートやXをご確認ください!
これからも、「VTuberとして数千万稼ぐ陰キャ学生俺が、最強ゲーマーとして名高い陽キャ美少女と同居を始めた話。」、略して「ぶいせん(V千)」をよろしくお願い致します!
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