第6話 上位2名、ご対面
「……うっそ、それ跳ね返すの?」
「甘いね〜!」
今現在、
「……あっぶな!……うお!?」
「きゃはは!そっから攻撃出来んの!?」
あぐらをかきコントローラーを持ったまま、後ろのクッションに笑いながら倒れ込む
俺も結構感情は豊かなのよ?陰キャと言えど。
「……
「そりゃそうじゃん!1位だもん!」
なるほど、だから強いのか。
「……って、は!?」
衝撃的な言葉を聞き急いで起き上がる。危ない危ない。しれっと言うから、聞き逃すところだった。
「あはは!いい反応するじゃ〜ん!」
「……そりゃそうでしょ、隣に『_ZERO』が居るんだぞ」
「あら!ご存知で?」
「……あったりまえだ」
いつか超えてみせると思っていた相手だ、知らないはずが無い。俺は目を瞑りちょっとだけ考え、ヴィクロのアカウントを変える。
「あれ?『
起き上がった碧木は、画面を指差し声を出した。ふっふっふ、気付いたか。
「……どうも。全国リーディング2位の……」
「やっぱり!VTuberの『ボタン』でしょ、
俺が言い終わる前に、碧木が目を輝かせ叫びながら、顔を近付けて来た。自分の顔面が心臓を撃ち抜く破壊力を持ってることに、気付いてないのかな?この子。ぐはぁ。
――てか、それよりも。
「……き、気付いてたの?」
「当たり前でしょ!二十日とボタンのプレイスタイル激似だし、声めっちゃ似てるからもしかしてとか思ってたし!てか、なんなら配信見てるし!ファンだし!」
おう、思った以上にがっつり気付かれてたみたい。ネタバラシはまた今度とか思ってた自分が恥ずかしい。てか、やっぱり勢いが凄いこの子。
「……配信まで見てくれてたんだ。なんかありがと」
「いえいえ!実は配信アプリ時代から見てます!てか、ゲーム始めるきっかけ君だよ!」
なんですって?配信アプリ時代からとなると、かなりの古参だぞ。しかも、碧木がゲームを始めるきっかけがまさかの俺?
「最初はボタンの配信見て参考にして練習したんだよ!」
「……まじか、それで日本一になれるって凄いね」
心の中で苦笑いを浮かべた。どうやらあの怪物プレイヤー「_ZERO」を産み出したのは俺っぽい。
そこからは色んな質問をされたし、逆にこっちからも質問をした。ゲームや配信の事、たまにちょっと寄り道してただの世間話も。あっという間の時間だった。
「え、じゃあ私、推しと一緒に住んでるって事じゃん!」
「……そうなるね。……てか、そろそろ寝ないとだね。明日も学校……」
と、言いかけたところで思い出した。そうだ、碧木は同じ学校で同じクラスだ。部屋は違えど一緒に住むということは、行きも帰りも同じ道なのだ。
(同じ家から出てくる所を高校の奴らに見られたら、碧木に迷惑が掛かるんじゃ……)
胸中に嫌な予感を渦巻かせながら、碧木の方を見た。
「一緒に登校、楽しみだね!二十日!」
思考を放棄させる笑顔を浮かべる碧木。ちょっと揶揄うような雰囲気も混ざったその表情は、まさに小悪魔だ。だめだ、可愛すぎる。
(……考えすぎか)
朗報だ。こんな陰キャにも優しくしてくれる陽キャ美少女は、実在していた。
こうして、寝る直前には明日俺の部屋を探索をするという約束を交わし、激動の同居1日目は終わりを迎えた。
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