第216話サンダーバードの巣7
ーサンダーバードの巣・みどりサイドー
「ここから南に十キロ先は?」
「う~んと鳥が五羽います。」
「西に九キロ。」
「おっきな岩があります。」
「うん。オッケー。じゃあ休憩しようか。」
「ハァハァ。はい。」
パトロール隊員の拠点となる家の中でジョーンとの修行をつづけているみどりは植物との対話速度がかなり上がっていた。
「ふぅ。」
椅子に座りながら水分補給をしているみどりにお菓子のクッキーを差し出しながらジョーンが
「どう?慣れたかな?」
と聞いてきた。
「そうですね~。結構慣れてはきてますけどまだ連続で話してると頭痛くなってきます。」
「俺も昔はそうだったよ。俺たちみたいな脳への負担が凄いから鍛えていくしかないんだよ。」
いまだ完全に会話の切り替えができないことをみどりがジョーンに伝えるとどうやら昔のジョーンもおなじであるようだった。
「脳って鍛えられるんですか?」
「まぁ勉強と一緒だよ。やり続ける事で慣れるというかできるようになっていくんだよ。あとは工夫ができるようになってくよ。」
「工夫?」
「うん。俺だったら前に見せた虫型の監視用のトーテムポールだけど何千といるから常に映像が送られてくると脳が焼ききれちゃうから普段は停止してて何か動きがあれば静止画が送られて来るようになってるんだ。それで密猟者だったら映像に切り替えて監視するんだ。」
「なるほど、プログラミングみたいなんだ。」
ジョーンに聞いた工夫の仕方を聞いたみどりは自分だったらどんなことができるか考えていた。
「私だったら植物との関わりかたを変えるぐらいかな。」
「関わりかた?」
「植物は結構まったりしてたりしてるから常日頃から話し掛けたりコミュニケーションを取るのが円滑な会話の秘訣なんだよ。」
「ほぅ。そうなんだ。」
休憩中しばしみどりとジョーンはお互いの能力について話し合った後、再び修行に戻った。
「東に七キロ!」
「川があります。」
「西に三キロ!」
「盆地があります。」
「北にニキロ!」
「あーっと…あっ!月兎がいるみたいです!マイケルさんも!」
「ん?…本当だ。ここで。修行してるのか。」
修行を再開したみどりがジョーンから指示された場所を見ていると月兎とマイケルを見つけた。
月兎はどうやら三日月と共にマイケルの相棒であるグリンから出る突風に逆らう修行をしているようだった。そんな月兎を見るためにジョーンが鳥型のトーテムポールを放ち何かの装置をもってくると家の壁に修行中の月兎が写し出された。
「へぇ。中々スジが良いんじゃない?彼。」
「そうですか?」
「あぁ。見ると三日月が自身の意思で月兎を守ろうとしてる。もし月兎が三日月から嫌われてたら危ない目にあっても命令がないかぎり助けたりなんかしないはずだよ。」
「へぇ~。」
ジョーンとみどりが話しながら月兎の修行を見ていると月兎は三日月の上に乗り三日月は火をジェットのようにしてだんだんグリンに近づきだした。
「おっ!考えたな。火のジェット。三日月がガス欠になるのかグリンに攻撃を食らわせるのが先かどっちかな?」
「どっちかな~。」
みどりとジョーンが見守るなかとうとう三日月がガス欠になりそうになると最後とばかりに三日月が青くなった炎を口からグリンに向けて放った。
「お!!…あ~惜しいな。これはいったと思ったんだけどな。」
「ですね!にしてもまさか三日月が口から炎を出せるとは。」
「原理的にはさっきまで出してた炎のジェットとおなじだね。ただあれより数倍は圧縮されてるよ。だから火力も上がって火が青くなったんだ。」
「へぇ。なるほど。」
月兎の修行を見た後、再び自分の修行へ戻ったみどりはほどなくしてその日の修行を終えた。
「今日はここまでにしよう。」
「終わった~~~!」
「今日から修行の宿題としてみどりの植物との会話についての新しい工夫を実践できるように欲しいんだ。」
「分かりました!」
「良し!じゃあ俺は夕飯作ってくるよ。」
修行を終えジョーンから出された宿題にさっそくはいるみどりだった。
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