第211話サンダーバードの巣2
ーサンダーバードの巣ー
月兎達とマイケル達の自己紹介を見届けたラコタは帰っていき、マイケル達は月兎達にサンダーバードの巣の説明を始めた。
「ここの詳しい話しは聞いてるか?」
「いえ。ここがサンダーバードの巣と言われている位しかわからないです。」
「そうか。ここは名前の通りサンダーバードという幻獣が巣にしている場所なんだ。」
「サンダーバードですか?」
「あぁ。本当ならサンダーバードの巣でしかないここにパトロール隊員を置いているのもおかしな話しなんだが昔サンダーバードの密猟が流行ってね。今では数多くあったサンダーバードの巣もここにしかなくサンダーバードの頭数も少なくてね。密猟されないために我らパトロール隊員がいるんだよ。」
そう説明を受けた月兎も気になった事を質問しだした。
「そうなんですね。今サンダーバードは何匹いるんですか?」
「今は五十匹位だな。これでも増えたんだ。昔は帽子の飾りなんかのために乱獲されて二十匹位しかいなかったからな。」
そうマイケルが話している中エリックがサンダーバードを写した写真を見せてくれた。
「キレイ!」
「だろう?まぁだから乱獲されてしまったんだがサンダーバードが飛んでいる姿は圧巻だよ。」
サンダーバードの写真を見たみどりがサンダーバードの姿に見惚れているとエリックも話しに入ってきた。四人でしばらくサンダーバードの写真を見ながら話しているとジョーンがやって来て
「話してるのは良いけど新しい密猟者が来たぞ。」
と言った。するとさっきまでニコニコしていたマイケルとエリックの二人は真面目な顔をしながら動き出した。
「先に出るぞ。」
「水呑場の方向だ。」
「了解。」
ジョーンに密猟者のいる方向を聞いたマイケルは家の外に出ると瞬く間に空へ飛び立っていった。
「ジョーン。場所は?」
月兎とみどりが右往左往しているといつの間にか弓を手に持ったエリックも家の外にでて空に向かって弓を構えた。
「水呑場の方向だ。そこから西に逃げてる。車に乗ってるな。」
「分かった。」
ジョーンから方向・逃走経路・逃走手段を聞いたエリックは少し考え込むと
「…ここだな。」
と呟き矢を放った。
「良し。後はマイケルに任せよう。」
矢を放ったエリックはそう言うと弓を片付けだした。
「大丈夫なんですか?」
「ん?ああ。大丈夫だよ。私ははずさないからね。」
月兎の心配をよそにエリックはそう笑いながら言った。すると途中から静かにしていたみどりが
「あ、あたった。」
と呟いた。それを聞いていたジョーンが
「君も遠距離の情報を知る事ができるのか。だからラコタさんも君を俺やエリックさんに任せるのか。」
そう言った。しばらくすると遠くから車を掴んだマイケルが飛んで来た。
ガシャン!
「ただいま!」
にこやかに帰ってきたマイケルが持っていた車の中を月兎が見ると中で三人の男が抱き合いながら震えていた。
(そりゃあ車で空を飛べばこうなるか。)
月兎が男達をみているとマイケルが近付いてきて車の扉を開けると
「出てこい。」
震える男達を車の外に出し運んでいった。
「あの。」
「どうした?」
「今捕まえた密猟者とさっき捕まえた密猟者って別のグループなんですか?」
家には入った月兎はエリックにそう聞いた。余りにも直ぐ密猟者が侵入して来たため同じグループなのではないかと思ったからだった。そんな月兎の質問を聞いたエリックは
「違うグループだろうね。」
と言った。
「なんでそう言えるんですか?」
そう月兎が聞くと
「密猟の質が違ったからな。さっきの密猟者はバイクに乗っていた。恐らく奴らはこのあたりや巣に侵入して抜け落ちているサンダーバードの羽を盗もうとしていたから素早いバイクできていたんだろう。たいして今捕まえた密猟者は車できていたし車には小さな檻があった。恐らく子供のサンダーバードを盗もうとしていたんだな。このように落ちている羽を狙う奴らとサンダーバード本体を狙う奴らだったため違うグループだと言えるな。」
「なるほど。」
そうエリックはちゃんと説明をしてくれるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます