第205話ミイラ取りがミイラになる7
ー密猟者・リーダーサイドー
「おい!遅すぎないか!?」
護衛隊から言われた通り車に乗り護衛隊を待っていた密猟者達のリーダーだが護衛隊が帰ってこないことにイライラしだしていた。
「そんな焦ったって何も変わりませんよ~。」
「うるさい!大体なんでお前は護衛達と一緒に行かなかったんだ!」
イライラしているリーダーをなだめようとする虫使いだったがリーダーが落ち着く事はなく更に怒りをつのらせるだけだった。
「どうしたものか…ん?」
打つ手無しと思いながら車の外を眺めていた虫使いであったが、何かに気付くといきなり車から降りた。
「あ!おい!何処に行く気だ!」
車から降りた虫使いにリーダーはそう言いながら車から降りて着いていった。
「聞いてるのか!?なんで車から出た!」
「黙って!」
「んな…。」
虫使いに追い付いたリーダーが怒鳴り声をあげていたが虫使いに怒られ言葉を失ってしまった。
「………ふぅ。リーダー今すぐ逃げますよ。」
しばらくすると虫使いはリーダーの手をとり車に急いで乗り込んだ。
「早く出せ!」
虫使いは車に乗り込むとそう言い、運転手は急いでキャンプ地を後にした。
「どういう事だ!説明しろ!」
「…護衛達が全滅しました。」
「なっ…。」
虫使いの剣幕に大人しくなったリーダーは落ち着きながら質問をしだした。
「なんでお前はそれが分かったんだ。」
「実は彼らにこの子をつけていたんですよ。何かあった時用にね。そうしたらこの子だけ飛んで帰ってきて護衛達が全滅したことを教えてくれたんです。」
虫使いが急いで逃げ出した理由を話しながら手をリーダーの前に出すとそこには蚊が乗っていた。
「しかし慌てることはないだろう。なんでそこまで慌てるんだ?」
「どうやら奴らの中に分身できるヤツがいるらしので早く逃げなくてはいけないんですよ。」
そう話しながら虫使いは車の後ろから何本もビンを出し、その中に入っている蜂を車の窓を開け外に放った。
「これで時間は稼げるはずです。早く逃げましょう。」
「そうだな。」
蜂を出すのをリーダーも手伝いだし大量の蜂が外に出ていくなか
「誰かが居ます!」
運転手がいきなり声をあげた。
「!!奴らです!どうしましょう?」
「そのまま轢いてしまえ!」
「わ、分かりました!」
虫使いがリーダーに指示を仰ぐとリーダーは運転手に轢き殺すように指示をだした。
すると、運転手は言われたままにアクセルを踏み前に出てきた人物を轢こうとした。そしてリーダー達の車と急に現れた人物が接触する寸前
ドカン!!
なんと謎の人物はジャンプをし手に持った棒で運転手をフロントガラスごと突き殺した。
「ゴフッ!」
心臓を突かれた運転手は口から血を流すとそのまま亡くなり謎の人物が車から脱出すると近くの木に車がぶつかった。
「危うく逃げられる所でした。」
そう謎の人物ーー孫悟空の分身は言いながら月兎達がこの場にくるのを待っていると
ブンブンブンブンブンブンブン
車の中からどんどんと蜂や蚊や蟻が出てきた。
「これは厄介ですね。」
分身が手強さを感じていると車の扉がガン!と開き中から二人の人物が出てきた。
「はぁ。全く、危なかったです。」
気絶したリーダーを抱えながら出てきたのは虫使いであり分身を見つけると
「いけ。」
分身に向かって虫をけしかけた。最初は抵抗をしていた分身だったがどんどんと終わりがない虫の波にのみ込まれ死んでしまった。
「何とか倒せましたか。じゃあ逃げましょうかね。」
リーダーを抱えながら逃げようとしる虫使いだったが周りから足音が聞こえ始めた。
「これはぁ…。逃げられないかもしれないな。」
そう虫使いは呟いたあと虫達を足音の先に放った。
「虫がこんなに!?」
「どうするのよ!?」
「一旦引くしか無いのか。」
密猟者達のリーダーを追いかけていた月兎達だったがいきなり地面を隠すほどの数の蟻や大量の蜂や蚊が襲いかかってきたのだった。
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