第204話ミイラ取りがミイラになる6
ー生命の池ー
月兎から自己紹介を受けた護衛隊長だったが
「フッ。日本人か。それは分からないわけだ。だが日本人だからといってこちらは手加減しないからな!行け!」
構わないと言わんばかりに部下をけしかけ自身は捕まった密猟者達の元へ行こうとした。
シュン!シュン!シュン!
隊長にその場を任された部下達は月兎達を足止めする為に戦闘態勢をとり先ほど分身を倒した部下が地面に落ちている石を浮かばせ月兎に飛ばした。
ガキン!ガキン!ガキン!
「ちょ、ちょっといきなり!?」
飛ばされた石はまっすぐ月兎へ向かっていくが月兎は緋熊の戦斧を出すと身体の前にだし石を受け止めた。更に、
「何で生きているんだ…?」
すでに密猟者達の元へ行こうとした隊長や部下達を囲うように孫悟空の分身が配置されていた。
「あーそれは自分の…こっちでは何て言うんですかね?ペット?部下?相棒?式神じゃないしな…。まぁ自分が関係してますね。」
猿顔が生きている事に驚いている護衛隊に斧を下ろしながらそう月兎は言った。
「それに自分ばっかりに集中してて大丈夫なんですか?」
「一体何を。」
「うわーーーーーー!!!」
「!!」
驚いていて止まっていた護衛隊に月兎が更にそう言うと次の瞬間タイミングを計っていたナタリーの相棒シャドーが空から落ちてきて護衛隊員を一人空へさらっていった。
「!?貴様!」
「油断する方が悪いんだよ?」
隊長はナタリーを見ながら怒鳴るがナタリーは笑いながら隊長を煽った。
「~~~~~~!!!お前ら!アイツら全員ぶち殺すぞ!」
部下を殺られ、更に煽られた隊長はぶちギレそう指示を出した。
「来るぞ。」
「切れやす過ぎない?」
「それは切れますって。」
指示を出された隊員達は一斉に三人に攻撃を始めた。
シュン!シュン!
ゴウ!!
ゴゴゴゴ!
石が火が地面が三人へ攻撃を始めたが
「しっ!!」シュン!シュン!
「よいしょ~!」ブワッ!
「ふん!!」ドカッ!
ボブが弓で石を落とし、ナタリーはシャドーが掴んでいた護衛隊員で火を防ぎ、月兎は盛り上がりながら近づいてきた地面を斧で叩き潰した。
「月兎ってそんな力強いんだ?今度薪割り手伝ってよ。」
「いや、それよりナタリーさん怖すぎですよ。肉壁とか。なるべく殺さないはずですよね?」
「い~のよ。奴ら犯罪者だし。」
「…集中しろナタリー。」
隊員達の攻撃を全て防がれたため、隊員や隊長が驚いている中リラックスしながらそう話す三人を見た護衛隊達はもしかしたらヤバイ奴らと出会ってしまったのかと感じながらも再び襲いかかる事にした。
「いくら防げても周りに火をつければ!」
さっき火を放った隊員がそう言いながら全く三人がいない方へ火を放つも
ゴウ!
「んな!?」
分身が自身の身を火の前に出し火事を防いだ。そして
「!くそ!突っ込んでくるぞ!」
「どうする!?」
「殺すぞ!」
護衛隊の方へ全身火まみれのまま突っ込んできた為、急いで一人が斬撃を放って首を飛ばした。
「あんた!火事になったらどうしてくれんの!?」
「本当だ。」
首を斬り飛ばし安心していた護衛隊にナタリーとボブはそう言うと今度は二人して弓矢を放ちだした。
「防げ!」
「分かりました!」
隊長の命令により先ほど地面を動かしていた隊員が壁を作り矢を防いだが
「こちらの動きが見えなくなるのは悪手では!!」
壁へ駆け寄った月兎が左腕を破月と融合させ、右手の斧で壁を破壊すると護衛隊に向け毒の霧を噴射した。
「ゴホッ!ゴホッ!…ガハッ!」
何とか護衛隊達は躱そうとしたが、壁を出していた隊員は壁に近付いていたため躱しきれず霧を吸ってしまい倒れ込み他の隊員達も避ける事に集中した為に分身達に取り押さえられてしまった。
「おい!大丈夫か!?」
「死にはしませんよ。捕まえたいので。」
毒にやられ倒れた隊員に唯一分身を避け駆け寄る隊長。そんな隊長にそう言う月兎だったが隊長は
「くそっ!なんでこうも一方的にやられるんだ!」
と悔しがり月兎の話を聞いてなかった。
「ふふふ。それはね~「それは。」ちょっと!」
笑いながら種明かしをしようとするナタリーだったがそれを遮ってボブが解説を始めた。
「それは最初にあの分身を倒した時に飛び散ったモノが感覚を麻痺させる毒だったからだ。」
「ど、毒?」
「あぁ。だからお前達は最初から負ける戦いをしてたんだよ。」
「…そうだったのか。」
ボブの解説を聞いた護衛隊達は心が折れ素直に三人に捕まるのだった。
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