第203話ミイラ取りがミイラになる5
ー密猟者・護衛部隊ー
(異常無し。更に先に進む。)
(了解。)
リーダーを説得し密猟者達の救助或いは抹殺をするために、リーダーにはキャンプ地へ居て貰うことにした護衛部隊は、先ほどまでの密猟者達とはうって変わって素早い移動やハンドサインなど見るからに熟練者だった。
(!異常あり!進路方向に人影あり!)
(直ぐに抹殺しろ!)
(了解!)
捕まった密猟者達の元へ向かう途中に人影を見た斥候が後ろを走る護衛隊長に報告をすると抹殺の命令が下った。
(悪く思うなよ。)
命令を下された護衛隊員は一気に加速すると音もなく人影に肉薄し手に持ったナイフで首の辺りを斬ろうとした。しかし人影は寸前のところで躱し殺し損ねてしまった。
(あとちょっとだったのに…なんだ!?)
人影を仕留め損ねた護衛隊員が躱した人影をよく見ると何と猿の顔をしていた。
それを護衛隊員が呆気にとられながら見つめていると
(おい!どうしたんだ?仕留めたのか!!!)
(いえ!人影なんですが顔が猿です!)
(何をいってるんだそんなわけ無いだろ!…おい!聞いてるのか!おい!…殺られたようだ。)
護衛隊員の報告を聞いた護衛隊長は何かの間違いだと思いもう一度聞いたが返事が返ってこないため今度は二人の護衛を向かわせた。
(グハッ!)
「次に備えますか。」
二人の護衛隊員が向かってくるなか今まさに捕まえた護衛を始末した孫悟空の分身は次の襲撃に備えていると
シュン!シュン!シュン!
いきなり森の中から石が飛んできて分身の身体を貫いた。
「ゴフッ!思ったより早かったですね。」
ドサッ!
急襲で分身を仕留めた二人は護衛隊長に死んだ護衛が言っていた事が事実であることを連絡した。
(目標沈黙。ですが前の隊員が言っていたことは合っていました。顔が猿です。)
(まずはよくやった。それは恐らくこの地のパトロール隊員ではない者か或いはそういった能力かもしれない。周りに気を付けろ。)
((了解!))
隊員から貰った情報をかんがみてこれからはゆっくりと進むことにした。
「これが言っていた猿顔です。」
戦闘があった場所まで着いた隊長は倒されている分身をみるとやはり猿の顔をしていた。
「うぅむ。見たことがない生物だな。一応持ち帰るか。」
その珍しさからリーダーのために死体を持ち帰ろうと隊長が死体を触ると
ぷくぅーーーーーーーーーーーー
どんどんしたいが膨らんでいき不味いと感じた隊長が
「退避ー!」
と叫ぶが時すでに遅しパンパンに膨れた死体は
パン!!!
と爆破し、中の物が全ての隊員・隊長に降りかかった。
「なんだこれは!」
「クセッ!内臓でも飛び散ったのか!」
いきなり液体がかかり少し慌てた護衛隊だったがしばらくたっても誰も異常が起こらないため皆安心すると再び歩きだした。
「そろそろのはずです。」
「分かった。」
目的地付近につき、護衛隊が安心するなか隊長は誰かが隠れながらこちらを探っている気配に気が付き
「何処に隠れてやがる!出てこい!」
と急に辺りに大声を出した。
(何やってるんですか!)
護衛隊のメンバーは焦りながら目的地が近いのに大声を出した隊長を止めようとしたが続けて
「全員戦闘態勢!」
と言うと護衛隊の皆が急いで武器を構えた。
そんな戦う気満々の密猟者達を見て諦めが着いたのか、
「バレましたか。」
「伊達に隊長やってないね。」
「こうなっては姿を表そう。」
そう話しながら三人の人物が木の影から現れた。
そんな三人を見た隊長は、この地で密猟するために調べた資料により二人は分かったがもう一人の事が分からなかった。
「お前とお前はわかる。ボブとナタリーだ。だがその男は知らない誰だ?」
木の影から現れた三人を見ながら隊長がそう言うと
「あ~。え~っと日本からきました月兎です。」
名前をしられていなかった月兎は名乗って良いのかボブをチラチラ見ながらそう名乗ったのだった。
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