第192話寄生
ー屋根裏ー
「グェェェェェェェェェ!!」
月兎に麻痺毒を飲まされたヤモリは苦しみながら口から大量のヒルのような生き物を吐き出した。
「なんだあれ!?」
「分かりません!」
ヒルを出したヤモリはぐったりとしてしまい動いて無かったがヤモリが吐いたヒルはもぞもぞと動いていた。
「なんかあのヒル大きくなってない?」
七奈美がそう言いながら指を指したので二人がそのヒルを見ると確かにどんどんと大きくなっていきそれと共にヒルから人間の上半身が現れた。
「キシシシシ。人間、良く俺をこのヤモリ野郎から出したじゃないか。」
床を這いずるようにズルズルと三人に近づきながらそう笑った。
「あなたがヤモリ様をこんなふうにしたの!?」
「あ?あぁおまえあのクソ人間の家族だろ?忌々しい。俺らの母たる蛭娘をそこのヤモリ野郎と一緒に殺しやがって。結局人間の方は死んだみたいだがヤモリ野郎は俺達が殺してやるよ。」
そう話すヒルに集中していた三人だったが気づけば他のヒル達も人間の上半身を生やしていた。
「いつの間にか囲まれてます!」
周りを見渡していた春奈がそう叫ぶのと同時にヒル達はズルズルと近づいてきた。
「そっちが数で来るならこっちも数で対抗してやる!」
月兎がそう言うと孫悟空の分身を出しヒル達に向かわせた。
「小賢しい真似を。ならば!」
あまり動きが早くない為どんどん刈り取られていくヒル達を見ながら始めにヒトが生えたヒルが忌々しそうにそういうと、倒されたヒルから血がどんどん流れでて一つにまとまっていった。
「一回集まれ!」
月兎がそう指示を出したので分身達が月兎達の近くに引くと始めにヒトが生えたヒルの元に血が集まりそのヒルを飲み込んでいった。
「あれ一体何なんですか?」
「分からないけどなるべく早めに倒した方が良さそうだね。」
不思議そうに眺める三人だったが七奈美の疑問にハッとした月兎がさっさと倒そうと分身を二体近づかせるが
シュッ!
ドス!
分身がヒルを飲み込んだ血に近づくと血からスゴい勢いの血が飛んできて分身を貫いてしまった。
「んな!?」
「そんな!?」
「きゃ!」
思わず声を出す三人だがそんな三人以外の男の声が聞こえてきた。
「変身中は殴っちゃいけないって知らないのか?」
月兎がこの声の出場所を探すとどうしてもあの血の方から聞こえてくる。これにまだまだ解決には時間がかかると月兎が思うといきなり血が1ヵ所に纏まる様に動き出した。
「一体何が!」
「わからないけど下がって!」
血が1ヵ所に纏まるのを今度はなにもせずに下がっていく月兎。すると血の中から完全にヒト型になった先ほどからしゃべっているヒルがいた。
「これが身体か…。かなり動かしやすいな。」
そう話しながらヒト型になったヒルは月兎達の方を見ると
「では改めて、蛭娘から生まれたから…蛭男とでも名乗っておこうと思う。君たちは?」
「いうわけ無いだろ!」
「まぁそうだろうな。どうだろうか君とその女は見逃すからこのヤモリとそこの小娘をこちらにくれないか?」
「ヒッ!」
「そんなことするかよ!!」
こちらにあいさつをした蛭男はいきなり七奈美を寄越せと言ってきたので月兎は断ると分身達を一斉に蛭男に向かわせた。
「効きませんよ。」
しかし分身の攻撃は蛭男が手から血を出しすべて受けきってしまった。
「どうしましょうか?」
「向こうが思ったより手強いな。」
そう話している間にも分身を出し攻撃をさせる月兎だったがすべて血を使い防がれてしまった。
「くそっ!…ならこうするしかないな。」
月兎がそう呟くと分身へ混ざって蛭男へ飛びかかっていった。
「おりゃ!食らえや!」
そう言いながら思いっきり殴った月兎だったが
ガチン!
と血で防がれてしまった。
「なんでこんな固いんだよ!」
そう文句を言いながら再び蛭男に飛びかかっていく月兎だが、
ズブリ!
「グッ、カハッ!」
「月兎さん!」
血の槍が躱しきれず遂に刺されてしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます