第191話家守の妖怪
ー屋根裏ー
物陰から大きくなりながらイモリの妖怪が姿を現すと七奈美が近づきながら
「ヤモリ様。今日は私と契約して貰うために来ました。」
そう言いながら跪いた。それを黙って見ていたヤモリだったがゆっくりと七奈美に近づき
「!?危ない!」
いきなりイモリが七奈美に噛みつこうとしたので月兎が孫悟空の分身を使いイモリを受け止めた。
「大丈夫か七奈美ちゃん!」
「は、はい!でもどうして…。」
「分からないけど下がって!」
更に一体分身を出し二体体制でイモリの相手を月兎がしていると
「…ない!月兎さん!階段がなくなってます!」
と春奈が叫んだ。
「なんで階段がなくなってるんだ!?」
「分かりません!」
春奈と月兎が無くなった階段を探していると七奈美が
「そういえば前お父さんがヤモリは元々家を守る妖怪だって言ってた。もしかしたら家を守るために私達を逃がさないようにしているのかも。」
と言い出した。
「じゃあ倒さないとここから出られないって事なのか!?」
「それは駄目です!そんなことをしたら契約が出来なくなってしまいます!」
「じゃあいったいどうすれば…!」
月兎達がヤモリを倒すか倒さないかを言い争っていると
ドカン!
ヤモリが孫悟空の分身を吹き飛ばした。
「くそ!!」
月兎は更に十体の分身をだしヤモリに向かわせたが
ゴゴゴゴゴゴ
「なんだ!?」
「い、家が揺れてる!?」
いきなり家が揺れだし屋根裏がどんどん大きくなっていった。
「これは何なんですか!?」
「多分ヤモリの術です!」
そう話している間にも屋根裏は大きくなっていき更に床から柱が生え分身を縛ばってしまった。
「これじゃあいくら分身を出しても縛られちまう!なら…。」
月兎は左腕に破月を纏わせるとヤモリに飛びかかった。するとヤモリが
「ギャァァァァァァァァ!」
と叫び姿を消した。
「んな!?何処にいきやがった!?」
月兎がヤモリを探していると
『あるじ様危ない!』
そう孫悟空がさけびながら分身をだし月兎を突き飛ばした。
「ぐっ!何が…マジか。」
分身に突き飛ばされた月兎が分身の方を見ると天井に張り付いたヤモリが舌を伸ばして分身を絡めとり
バクン!
と食べてしまった。
「月兎さん!大丈夫ですか!?」
「大丈夫だから何かこの場所から出れる方法がないか探してくれ!」
月兎に駆け寄ろうとした二人を制止しヤモリを睨み付ける月兎だったがヤモリはまた姿をスーッと消した。
「くそ!何処に行きやがったんだ。」
月兎は何とかしてヤモリを探そうとしたがいくら探しても分からず何回も攻撃を受けそうになったがその度に分身により何とか庇われていた。
「何か無いか!ヤツが見えるようになる何かが!」
この状況をどうにかしようと周りを見渡す月兎だがどうしようもなかった。
「…やむ終えないか。」
月兎がそう呟くと遂に毒で攻撃を始めた。
「いつまでも逃げるだけだと思うなよ!?」
「ギャ?」
「毒飛爪!」
毒を左腕に貯めた月兎はその毒をヤモリに向かって放った。
ズバッ!
「ギャ!」
飛んで来た毒を避けようとしたヤモリだったが急に反撃がきた為避けきれず足に食らってしまった。
「ギャァァァ!」
「よし!」
これで機動力を奪えたと思った月兎はヤモリに駆け寄ると
「くらえ!」
今度は左腕でヤモリを殴り付けた。
「まだまだ!」
次はヤモリが開けた大きな口の中に毒液を放った。
「これでどうだ!」
月兎がヤモリから離れて様子を見ていると
「シュー、シュー。」
ヤモリはこちらをにらみながら一歩も動かなかった。
「月兎さん、どうですか?」
「何とか動きは止めました。だけど様子がおかしいんですよ。」
「様子がおかしい?」
月兎にそう言われた春奈と七奈美がヤモリを見ると
「グッグッ。」
と必死にえずいていた。
「なんであんな風に?」
「一応毒を飲ませたんですけど痺れ毒だからこんな反応はないはずなんですけど。」
そう言いながら見ていると
「グェェェェェェェェェ!!」
ヤモリの口から大量のヒルのような生き物が出てきのだった。
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