第188話また移動


 ーアメリカ軍基地ー


「君たちにやって貰いたいことは多岐にわたるが主に子供達への戦闘に対する心構えを語って欲しいのと聖域パトロールだ。」


 アメリカでの任務についてラコタから説明を受けた月兎とみどりは気になったことをラコタに聞いた。


「子供達への話しとは?」

「どのような敵と戦ってきたのかや、戦うに際しての心構えを子供達に教えて欲しいんだ。異国の戦士の話しは子供達への刺激になるだろうからな。」

「なるほど。では聖域のパトロールは?」

「うむ。【総魔会議】でも話したがアメリカでは霊的な地やサンダーバード等の伝説の生き物が暮らす地を聖域として我々【インディアン】や軍が守っているんだが密猟者が後をたたないでね。パトロールをして防いでいるんだが人手不足でね、君たちにはそのパトロールに参加して欲しいんだ。」

「つまり人との戦闘と言うことですね。」

「あぁ。出来るかな?」

「分かりました。」

「よろしい。では今日は移動で疲れただろうからうちの村に来なさい。家を貸すから早く休むと良い。」

「ありがとうございます。」


 こうしてアメリカでのやることを説明して貰った後月兎とみどりはラコタと共に基地を後にし、ラコタの村に着くと空き家に案内されそこでしばらく共同生活をすることになった。


「ふぅー。今日は移動が多いね?」

「初日だからな。しかもアメリカはでかいから移動も時間がかかるぞ。」


 案内された家で休憩をしながらそう話す二人。すると、


 コンコンコン


「みどりちゃん出てよ。」

「はぁ。なんで私が。」

「たのむよ。」

「…。はーい。」


 ガチャ


「あ、ラコタさん。」

「二人とも直ぐで悪いが家でこれから二人の歓迎会をしようと思ったんでな。どうだ来るか?」

「はい!いきます!」


 ラコタは部屋へ入ると食事に誘ってきて、それにみどりは直ぐに参加することにした。


「月兎君はどうする?」

「では伺わせて貰います。」


 こうしてラコタの家にやって来た月兎達、ラコタの家族はラコタ・妻・子供が二人・犬が二匹の計四人と二頭の家族となっていた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「犬達と子供達仲が良いですね。」


 食事を終わらせると月兎は犬達と遊んでいる子供達を横目で見ながらそうラコタへ言った。


「あの犬達と我が子は赤ん坊の頃から一緒にいるからな。それにはじめての契約でもあるからな。」


 犬と子供について話す中で気になった単語があった月兎は


「契約とは?」

「あぁ、月兎君はインディアンについてなにを知っているかな?」

「えっと動物の霊やトーテムポールで戦うんですよね。」

「その通り。そして多くのインディアンは生まれた時に共にペットを飼い、そのペットが亡くなるとそのペットを霊として呼び契約するのが今の主流なんだ。」

「なるほど。」

「契約された動物の霊は契約したインディアンが魔獣等を倒せばその分成長していくんだよ。」


 そう話しながらラコタは自身が呼び出したオオカミの頭を撫でた。


(なんか俺が破月としたのと似てるな。)


 そう月兎が考えているとそれまで子供達と一緒に遊んでいたみどりが戻ってきて、


「明日もありますし今日は帰りますか。」


 といわれたのでラコタに許可を貰い帰ることにした。


「明日子供達の所に連れていく。パトロールはもう少しアメリカに慣れてからにするぞ。」

「ありがとうございます。では。」


 家に着くと二人は日本の協会へ連絡をした。


「もしもし。宝樹院様ですか?」

『あぁ。そうだ。』

「おとーさん。見えてる?」

『見えているよ。』


 月兎とみどりがアメリカにいる間の連絡や報告は宝樹院家がすることになっていたため連絡をすると現宝樹院家当主が電話にでた。


「すいません。」

『別に良い。でそっちはどんな任務につくんだ。』

「えーっと子供達へ戦闘とは何かを伝えるという任務と聖域のパトロールが任務だそうです。先ずは様子を見てなれてきてから聖域のパトロールだそうです。」

『なるほどな確かに【インディア】は数が少ないといってもそれ位の余裕はあるか。こっちは最初からどんどん戦場に出しているよ。』

「あまり苛めちゃ駄目だからね?」

『分かっているよ。』


 その後もしばらく話をした三人だったが明日に備えて早く寝る事にしたのだった。

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