第181話【総魔会議】9


 ーザラタン体内ー


 フラフラとした足取りでヒルデが食事会場を後にした後離れた場所で話していた三人が近付いて来た。


「全く相変わらずだね。ヒルデも。」

「まぁまぁ。騒がしいのは嫌いではありませんよ。」

「うむ!だが元気すぎるのもな。特に我々は力を持っているんだそう簡単に暴れるのもな。」


 そう上から【道士】のウー、【呪術師】のウバダ、【インディアン】のラコタが言うとウバダは月兎の元に近付いて来た。


「君は巫女の護衛だね?」

「は、はい。」


 ウバダがはじめて話し掛けてきたので驚き緊張しながら返事をするとウバダは月兎の肩をガシッ!とつかみ、


「あの毒はなんだね!?とても素晴らしい呪だったよ!!いや~我々【呪術師】も毒と呪いをミックスする事はあったがあそこまで完璧かつ強力なものは見たことがない!一体どうやったんだい!?」


 と月兎に詰め寄った。


「え、え~と。」


 月兎が行きなり詰め寄られ驚いていると


「ウバダさん。うちの護衛を困らせないでください。」


 と巫女が孫悟空の分身に運ばれながら月兎を庇った。


「おや、これはすいません。」


 そう言いながら肩から手を離したウバダに月兎はほっとしながらウバダに【呪毒】について


「すいません。あれは宿っている妖怪の毒なので自分は良く分からないんです。」


 と説明した。


「そうですか。できれば詳しく知りたかったんですが残念です。」


 月兎の話を聞いたウバダはそう言いながら肩を落とした。


「全く。アンタは相変わらず気になることがあると周りが見えなくなるんだね。」

「うむ。それがウバダらしいがな。」


 そう項垂れるウバダを見ながら話すウーとラコタ。

 すると今度はウーが月兎に近付くと


「ところで私も聞きたいんだが、アンタはどうやって孫悟空を従えてるんだい?」


 と聞いてきた。


「孫悟空は召喚して宿って貰いました。最初は三猿と言う三匹の猿にされていたんですけど八岐大蛇との戦いの最中孫悟空になってくれました。」

「そうなのかい。」

「それについては私の方でも調べたんですが三猿は四猿とも言われていたみたいですよ。その四匹目は論語が由来となる【せ猿】(せざる)って呼ばれていて非礼を差していたみたいです。非礼って孫悟空みたいだと思いません?彼今は真面目ですけど。」


 月兎がウーに孫悟空のことを話しているとそれを聞いていた巫女がそっとそう付け加えてきた。


「なるほど。ヒントはあったんだね。」


 そうウーが納得していると今度はラコタが


「君は【宿し】の術士なんだってね?会ってみたかったんだ!我ら【インディアン】も動物や神聖な生き物達と共に戦うのでね、勝手に親近感を感じていたんだ。」


 そういって手を差し出してきた。月兎がその手を取るとラコタは勢い良く握手をすると


「巫女よ。今はかなり術士が減って大変だろう。我々も昔かなり数を減らし危機的状況だったが今は持ち直した。気を強く持っているんだぞ。」

「ありがとうございます。」


 巫女を励ました。その後護衛も混ざり和やかに食事会をし問題も起こらず【総魔会議】は無事終わった。


 ー日本ー


「では、明日の夜に協会よりますね。」

「はい。また。」

「アンタも大変だね。」


 日本に帰ってきた月兎は巫女達と一旦別れて家に帰ると自身の代わりに会社に通っていた忍者と情報交換をし軽く寝ると会社へ向かった。


「先輩。おはようございます。」

「まどかちゃん。おはよう。」


 会社へ着くとまず後輩のまどかちゃんが挨拶をしてきた。


「すいません!課長補佐!頼まれていた資料纏めてきました!」

「ありがとう。そこに置いておいて。」

「はい!」

「いや~。流石課長補佐。かっくい~。」

「いじるなよ。ほら、まどかちゃんも仕事頼むよ。」

「は~い。」


 実は月兎。八岐大蛇との戦いにより術士の数が減ったことにより術士専任になろうとしたのだが急遽課長補佐へ昇進する事になり辞めるに辞めれなくなってしまったのだった。

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