サラリーマン戦闘記～世間に秘密で陰陽系の副業してます。～

第182話たまにはゆっくり

　ー会社ー

【総魔会議】の次の日月兎は会社に出社していた。

｢すいません先輩。資料チェックしてくれましたか？｣

｢あぁ。上手くできてたと思うよ。このまま続けてくれて大丈夫だよ。｣

｢はい！｣

　課長補佐に出世してしまった月兎は自分の仕事だけではなく後輩たちの仕事も監督しなくてはいけなかった。

｢先輩、お昼いきませんか？｣

｢ふぅー。もうそんな時間か。…よし、行くか。｣

｢奢ってくださいね！｣

｢それが狙いか。｣

　月兎が仕事をしていると後輩のまどかがやってきてお昼に誘ってきたので月兎は一緒にお昼にすることにした。

｢ここです！新しくできたフレンチなんですけど美味しいって評判なんですよ？｣

｢高そうだな。｣

｢ランチなら大丈夫ですって、行きましょう！｣

｢はぁ。しょうがないか。｣

　まどかに連れられてフレンチに入っていく月兎。メニューを見ると普通の店よりかなりお高めな値段設定だった。

｢おい、やっぱちょっと高いって。｣

｢でも先輩出世してるしお金ありますよね？｣

｢出世ったってたかが知れてるぞ？｣

｢でも先輩ってお金持ってますよね？だって出世するちょっと前から身なりがかなり良くなりましたもんね？スーツとか高いやつですもん。｣

（気付いてたのか～～。）

　ランチの値段が高いことに文句を言った月兎だったがまどかに副収入を得ている事に気付かれてしまっていた。

（お金が入ったから一度買ってみたかった高級オーダーメイドスーツ買ってみたんだけどまさかバレるとはな。課長とかなら気付かれても分かるけど良くまどかが気付いたな。まぁ妖怪退治だってのはバレてないから良いか。）

｢分かったよ。でもなるべく安いのにしてくれよ。｣

｢やった！え～と、じゃあCセットにしよ！｣

｢おい！一番高いじゃないか！｣

｢良いじゃないですか♪、すいませ～ん！｣

｢あ！おい！｣

　遠慮なく一番高いのを頼もうとするまどかを止めようとした月兎だったが止めるまもなく店員に注文されてしまった。

｢先輩はどうしますか？｣

｢ん～。じゃあこっちもCセットで。｣

｢ランチのCセットがお二つですね。かしこまりました。｣

　メニューに迷った月兎は結局まどかと同じセットを頼んだ。

　しばらくすると料理が来たので食べ始めた二人、

｢ん！これおいしいですね。｣

｢確かに美味しいな。｣

｢また来ますか。｣

｢俺の奢りじゃなきゃな。｣

｢だめか～。｣

　料理を食べ終わった二人は会社に戻った。

｢月兎君！すまないけど社長室に来てくれるかな？｣

｢分かりました。｣

（なんだろう？）

　会社に戻ると課長に社長室に行くように言われる月兎。疑問を感じながら社長室へ向かった。

　コンコンコン

｢中村　月兎です。社長に呼ばれて参りました。｣

『入ってくれ。』

｢失礼します。｣

　ガチャ

　月兎が入ると社長室には社長と始めて見る人がいた。

｢良く来てくれたね中村君。｣

｢社長この方は？｣

｢あぁ。この方は宝樹院製薬の森社長だ。実は君を呼んだ件にも関わってらっしゃてね。とりあえず座りたまえ。｣

｢失礼します。｣

　月兎が座ったのを確認した社長は月兎に呼んだ理由を話し始めた。

｢実は今度うちと宝樹院製薬で世界中をまわる研修を計画していてね。うちから出す人を君にしたいんだ。｣

｢自分ですか？｣

　いきなりの大きい案件に月兎が驚いていると森社長が

｢うちの会長肝いりのものでね。ヨーロッパやアフリカ・アメリカ・中国など各地をまわるんだよ。｣

　と言った。

（会長ってことは協会が関わってるのか？…今言った地域は【総魔会議】の代表達の拠点か。てことは会議ででてた研修と関わってるって事か。）

　わざわざ自分に話が来たことから協会関係だと察した月兎は参加することにした。

｢分かりました。自分で良ければぜひ参加したいです。｣

　それを聞いた社長は

｢そうか！いや～助かったよ。｣

　と言いしばらく三人で喋った後に月兎は社長室を後にした。

（今日この後協会で詳しい話を聞かなきゃな。）

　早く協会に行くために残業ができないように仕事に集中する月兎だった。