第180話【総魔会議】8


 ーザラタン体内ー



【魔女】のヒルデが酔った結果普通では溶けない氷を出しながら暴れたが【聖騎士】のアレクと【ドルイド】のオーエンがヒルデを取り押さえ、その後月兎も加わり氷を溶かして回っていた。


「ふぅ。こんなものかな。」


 あらかたの氷を溶かしきりアレクがそう言いながらオーエンと月兎に近付いて来た。


「いやぁ。彼女の酒癖の悪さには参ったね。しかしオーエンは兎も角だけど君もヒルデの氷を溶かせるとはね。」

「確かにな。あの氷は溶けない氷だ。代表達もでも溶かすのは手間なハズだ。どうやったのかを聞いても?」


 アレクとオーエンは月兎がヒルデの出した氷を溶かしたことが気になったようで月兎になぜ溶かせたのか聞いてきた。


「あれは最近使えるようになった【呪毒】(じゅどく)です。自分に宿っている妖怪曰く「神をも殺せるとても危険な毒。」らしいです。もっとも最近使えるようになったのでまだ神を殺すレベルではないですけどね。」


 そう説明すると二人とも納得した様子で


「なるほど。」

「それなら納得だね。」


 と言った。


「意外ですね。」

「?何がだい?」

「いや、アレクさんは聖騎士なので神をも殺せるとか言うと邪悪判定されるかなと思ったんで。」


 月兎がそう思ったことをアレクに聞くとアレクは笑いながら


「そんなことはないよ。実際150年ぐらい前はそうだったらしいけど今となっては時代遅れさ。じゃないと【魔女】や【呪術師】と殺し合いになってしまうよ。大体神の中にも邪神や悪神がいるんだ、そういった神を静めるのも聖騎士の仕事だからね。」


 と答えた。


「そうなんですね。」

「さっきも言ったけど昔はかなり過激だったんだよ?それこそ【魔女】や【呪術師】、【ドルイド】や【インディアン】なんかとも戦ってた事もあるんだよ。実際いまだに「戦うべき!」って言っている勢力も【聖騎士団】の中にいるしね。」

「へぇ。」

「話すのも良いがそろそろヒルデを出すぞ。」


 月兎がアレクに聖騎士の話を聞いている傍らでオーエンはヒルデを氷漬けからだす準備をしてアレクと月兎に声をかけた。


「!いつでも大丈夫です!」

「大丈夫だよ。」


 二人が身構えたのを確認したオーエンが氷を解こうとすると


 ボッ!


 とヒルデの身体が燃えだしヒルデを包んだ氷がどんどん溶けていった。


「「「!!!」」」


 三人ともいつでも戦えるようにしていると


「あー。頭痛った、大丈夫よ。酔いはもう覚めてるから。」


 そういって身体を燃やしながら氷からでてきたヒルデは頭を抱えていた。


「相変わらず酔うのも覚めるのも早いね。」

「今回で四回目だぞ。いい加減酒を断て。」


 アレクとオーエンはヒルデの酔いが覚めているのを確認すると構えを解いてそうヒルデに話し掛けた。


(え!オーエンさん四回目って言った!?結構慣れてるなとは思ったけどそんなあばれてるんだ!?)


 月兎が一人ヒルデの酒癖の悪さに驚いている中ヒルデとアレク・オーエンは構わず会話を続けていた。


「悪かったわね。」

「まぁ慣れたものだよ。」

「だな。それに見ろ。やつらも察して離れてるだろ。」


 そういってオーエンが指を差した先には【呪術師】のウバダと【道士】のウーと【インディアン】のラコタが離れた場所で食事しながら談笑していた。


「なら彼らには謝らなくてい言わね。」

「かもしれないね。でも彼には謝りなよ。」


 そう話しながらアレクは月兎をヒルデの前に出した。


「彼ってひーちゃんの護衛でしょ?まさか私ひーちゃんに何かした?」

「お前が【エターナル・アイス】を巫女の側出したんだよ。彼はその氷を防いでお前を無力化した後に氷を溶かすのを手伝ってくれたんだ。」


 月兎がいることにヒルデが驚いているとオーエンが月兎がいる理由をヒルデに説明した。


「そうだったの…。ごめんなさいね。迷惑かけて。」

「い、いえ巫女様にも被害がなかったので大丈夫です。」

「そう。後でひーちゃんにも謝っておくわね。今はとりあえず少し休むわ。」


 そう言うとヒルデはフラフラしながら食事会場を後にするのだった。

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