第140話襲撃26


 -皇居ー


 ドカン!ドカン!


 少し前から戦いが始まった九尾と天海・和尚であったが九尾は周りの建物や瓦礫を動物へ変え攻撃や防御をし天海・和尚は天海が頭上に貯めた巨大な水球から水や氷をだし攻撃をし和尚が持っている巨大な数珠を使い防御をおこなっていた。


 ズズズズズ


 天海が出した水の龍を九尾が瓦礫から出した大量のネズミが逆に飲み込むのを確認しながら近くに建っているビルに九尾が触れるとビルは巨大な牛に変化した。


「モーーーーー!!!」


 ビルが変化した牛は空気を振るわすほどに鳴くと真っ直ぐ天海へ突進をした。しかしそんな牛の前に和尚は現れると数珠を腕に巻き付け


「ふん!!!」

 ドカァン!


 と突進してくる牛を殴り付けた。すると牛は突進を止めバタン!と倒れてしまった。


「貴方ホントに坊主なの?坊主はもっと貧弱な印象なんだけど?」


 牛が倒されたのを黙ってみていた九尾がそう和尚に話し掛ける。


「ワシはお経を唱える様な坊主の家系ではなく僧兵の家系ですからな。お経を唱えるよりこうやって身体を動かす方が得意なんですよ。」


 そう九尾の疑問に答えながら腕から数珠を外す和尚。


「その数珠だってただの数珠じゃないでしょ?」

「お?分かりますかな?この数珠は【煩悩の数珠】です。犯罪を犯し死刑となった犯罪者の墓から生えた木から作った数珠でしてな?生前の犯罪者の欲望や煩悩の大きさに比例してこの数珠も大きく重くなるのですよ。」

「それって呪われてない?」

「ワシは徳が高いのでの。問題なしじゃ。」


 一気に持っている数珠が邪悪そうに見えた九尾だったがそう二人が話していると


「楽しそうに話している所悪いけどいくわよ。」


 そう天海が言うと同時に大量の水が九尾にふりかかった。


「危ないわね。」


 九尾は急いで避けたが大量の水は九尾の逃げた先へ追いかけてきたので九尾は瓦礫を羊にかえ水を防いだ。


「メ~~~~~!!」


 最初はうまく防いでいた羊だったが何故か苦痛にうめきだした。


「これは…酸?」

「ええ。これは【鯨王の胃袋】(げいおうのいぶくろ)万物を溶かす強烈な酸よ。」


 いつの間にか天海の頭上の水は巨大な鯨の姿になっていた。


「さあ、吸い込みなさい。」


 天海がそう言うと頭上の鯨は勢い良く吸い込み始めた。


「メ~~~~~!!」


 九尾が出した羊は抵抗したが直ぐに吸い込まれていき鯨に飲まれると一瞬で溶けてしまった。


「…これは私でも危ないわね。」


 自分ですら傷が付くと感じた九尾はビルを龍に変え天海を襲わせた。


「これはワシでも止めれますかな?」


 そう弱気なことを言う和尚だったが龍の前に出ると


「ヌゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!」


 と龍を止めようとした。しかし


「グハッッッッッッ!!!」


 と吹き飛ばされてしまった。


「全く。」

「ぬお!」


 吹き飛ばされた和尚が地面に激突する直前に和尚と地面の間に水が入り込み和尚をキャッチした。


「ありがとうございます。しかし大丈夫ですかな?」

「大丈夫よ。さすがに無傷とはいかないけどね。」


 和尚がお礼を言いながら天海に聞くと天海はそう言いながら鯨をみるとかなり身体が削られた鯨と鱗から煙が立ち消耗していることが分かる龍が睨み合っていた。龍は


「ガァァァァァァ!!」


 と吠えると炎をだすと鯨は


「ーーーーーー!」


 と吠えながら水をだし龍が出した炎を消し去った。しかし龍は次に空から雷を鯨に降らせた。


 ドゴン!


「ーーー。」


 全身が水で出来た鯨にはかなり効くかと思われたが鯨は雷が当たる部分だけを氷に変え雷を防いだ。


「かなりやるわねソレ。」


 龍の頭の上に現れた九尾がそう天海に話し掛けると


「貴方の龍もね。」


 と天海が返した。


「貴方達の相手はめんどくさそうだから先に封印を解く事にするわね。」


 九尾がそう言うと龍が空に上がっていき九尾の声が響いた。


「妖怪達よ!私はここで特級の相手が忙しいので貴方達が封印を解きなさい!」


 それを聞いた天海は


「させるわけがないでしょ。」


 と言った。すると鯨の口から霧がどんどんと吐かれていき辺りが霧だらけになった。

 空から降りてきた九尾が


「なによこれ。」


 と聞くと


「これは【鯨王の吐息】(げいおうのといき)よ。方向感覚を狂わす霧ってわけね。これで妖怪達が攻めることは出来ないわね。」


 と返された。


「余計なことを。」


 そう九尾が怒るのを見ながら


「和尚。貴方は妖怪達を倒して回ってちょうだい。貴方は迷わない様にするから。」


 と和尚に指示を出す天海。


「大丈夫ですかな?」

「大丈夫よ。九尾の手の内は分かったから。」


 天海を心配する和尚だったが天海にそう返されたので妖怪達を倒しにいった。


「あら?一人で大丈夫なのかしら?」

「えぇ。なんとかなりそうなので。」

「ふざけんなよ小娘が!」

「あら?小娘なんて何百年も言われてないから嬉しいわ。」


 こうして妖怪と人間、女と女の戦いが再び始まるのだった。

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