第139話襲撃25


 -皇居ー


「はぁ。結局私以外死ぬか帰るかしちゃったじゃない。どうするのよ。」

「あのぅ。酒呑童子様が帰られるとの事なので我々も帰りたいのですが…。」

「何を言ってるんですか?帰すわけ無いでしょ?」

「で、ですよね~。」


 ぬらりひょんが死に陰神刑部と酒呑童子が帰った頃、皇居の外から全体の戦況を百々目鬼を使い見ていた九尾がそう愚痴ると酒呑童子の部下である百々目鬼が帰ろうとしたが九尾の圧によって帰れなかった。


「五人いる特級と五人いる協会幹部のうち二人は異界に取り残され二人が腕と足を失った状態で眠らされて一人はもう戦えず一人は基本的には無傷ね…。酒呑童子と陰神刑部にもぬらりひょんみたいに刺し違える位の覚悟が無いのかしら?」

「さ、さぁ?私のような雑魚にはあなた方大妖怪の考えることは分かりかねます。」

「貴方だって私たち並みの力があるくせに良く言うわ。」


 百々目鬼をいじりながら今後どう攻めようか考えていると周りに配置していた妖怪達が騒ぎ出した。


「あら?お客さんが来たみたいね。」

「お、お客さん?」


 何が起こったのかすぐに分かった九尾が騒がしい方を見ながらそう呟くので百々目鬼もなにが起こっているのか目を向かわせてみると


「んな!?」


 大量の水がまるで意思を持ったかのように動き妖怪を飲み込み殺して回っていた。


「これは一体?」

「特級よ。守るだけじゃなくて攻勢にも出たようね。」


 特級が来ると分かり百々目鬼が狼狽えていると


「貴方は下がって良いわよ。」


 と九尾に言われたので直ぐに下がっていった。


「じゃあ私も戦いに行こうかしらね。」


 そう九尾が独り言を言い歩きだすと特級の襲来で統制を失っていた妖怪達が大人しくなり九尾に道を開けていった。

 九尾が騒ぎの元につくと、


「まだまだよ!ほぉら!また一体倒したわよ!」

「天海様、例え妖怪でも命は命。殺すことに快楽を感じてはいけませんよ。」


 大量の水を手足のように扱っている天海と一つ一つが人間の頭程ある数珠で妖怪の頭を砕き首を絞める和尚がいた。


「分かってるわよ。それにもう目当ての九尾が来たわよ。」

「ん?おぉ。そうですな。」


 二人は九尾が来たのを確認すると妖怪達への攻撃を一旦止めた。


「待たせたわね。」

「そうでもなかったわ。おもてなしもあったしね。」

「少々手荒ではありましたがな。」


 そう三人で話しているなか九尾は周りにいる妖怪にアイコンタクトを送り妖怪達を遠くに移動させた。


「逃がさなくても今は手をださないわよ?」

「どうせ私たちは戦うのよ?邪魔はいない方が良いわ。」

「部下を邪魔とは…まぁ我々の戦いには少々力不足ですがな。」


 そう話している三人だったが戦闘は急に始まった。まず九尾が強く足踏みをすると九尾の横にあったビルが巨大な狼になり天海と和尚に飛びかかった。


「任せますよ。」

「はっ!」


 狼が迫っているなか天海がそう言うと和尚は返事をしながら天海の前に出た。


「ガゥ!!!」


 和尚に噛みつこうとした狼だったが


「むん!」


 と狼を躱すと手に持った数珠で狼の首を絞めた。

 はじめは


「ガゥ!!!ガゥゥ!!!」


 と激しく抵抗していたがそのうち


「キャン!キャゥゥゥン!」


 と言いながら力尽きていった。力尽きた狼のはボロボロとくずれビルに戻っていった。


「まぁさすがにこれじゃあ殺せないわよね。」


 狼が殺られたと言うのに全くこたえていない九尾が二人にそう話し掛けたが


「じゃあ次はこっちね。」


 と言った天海は操っていた水をいつの間にか自身の頭上て巨大な球体にしそこから氷の矢を何本も放った。


「すごい数。」


 しかし放たれた九尾は冷静にそう言うと先ほどボロボロになったビルにふぅと息を吹き掛けた。すると、ボロボロになったビルの欠片が一つ一つ鳥になり氷の矢に向かって飛び自ら刺さり九尾を守った。


「そっちも中々やるじゃない。」

「そう簡単にはやられないわよ。」


 こうして九尾と天海・和尚の戦いが始まるのだった。

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