第138話襲撃25
-皇居ー
ドカン!
「って~な。」
本気でぶつかりだした源兄と酒呑童子、最初のぶつかり合いは源兄が制した。
「なんだ、力も上がってるじゃねぇか。」
「まぁな。俺も時間がないからとっとと殺らせてもらうぞ。」
吹き飛ばされた酒呑童子が源兄に話し掛けるが源兄は無視して斬りかかった。対する酒呑童子は
「しょうがねぇな。」
と言うと身体を目一杯ねじり、
「喰らえや!」
源兄の斬撃にあわせて刀を殴りカウンターを喰らわせた。
ギシギシッ
「くっ!」
酒呑童子の拳と源兄の刀はどちらも壊れることはなく拳と刀のぶつかり合いとは思えない音を鳴らすと源兄が吹き飛んだ。
「続けて行くぞ!」
吹き飛んだ源兄に酒呑童子が追い付くと更に追撃として拳を振るったがこの拳は何とか源兄が受け流した。受け流された酒呑童子の拳はそのまま地面にぶつかりその衝撃で地響きが鳴り響いた。
「これは大変ですね。」
離れた場所から戦いを見ていた神父だったが周りへの影響を考えて急ぎ源兄と酒呑童子の周りに結界を貼るのだった。
「ん?結界かこれ?異国の術みたいだがあの術士の術か?」
拳を地面から離しながら貼られた結界について考察をする酒呑童子。そんな酒呑童子の背後にいきなり源兄が現れると思いっきり刀を振るった。
「おっと!あぶねぇな!首斬られるかと思ったぞ!」
ギリギリで源兄に気がついた酒呑童子は刀を躱したが頬が少し斬られていた。
「チッ!後少しだったか。」
酒呑童子を殺し損ねた源兄は舌打ちをしながらも酒呑童子に切りかかっていった。
「あぶねぇって!その刀だと俺でも斬られるんだって!」
そう言いながら距離を取る酒呑童子だったが
「逃がすか!」
と言いながら源兄が刀を振るうと斬撃が酒呑童子に向かい飛んでいったが
「そりゃ!」
と酒呑童子に弾き飛ばされ
ズン!
と神父が貼った結界に当たった。
「あの斬撃結界がなかったらそこらの術士でも斬ってたんじゃねえか?」
そう話す酒呑童子に
「余裕そうだな。これならどうだ!」
と追加で何発も斬撃を放つ源兄と
「さすがにあぶねぇって!」
斬撃を全て拳で受け止める酒呑童子。両者の力のぶつかり合いはどんどん激しさを増していった。
シュンシュンシュンシュン
ドドドドドドドドドドドド
ピシピシピシ
「不味い。結界が耐えれなくなってきた。」
両者のぶつかり合いによって神父が貼った結界が限界を迎え始めたその時急に両者の技が止まった。
「ハァハァ。さすがに無傷とはいかないようだな。」
「ハハ…。そっちだってもう限界だろ。」
技を撃たなくなった両者を見ると酒呑童子はうでを一つ切り落とされ目も潰されていた。
源兄も時おり飛んで来る拳の圧によって身体中が打撲状態であり肋骨もヒビが入り召喚した刀に力もかなり吸い取られていた。
「じゃあお互い最後の一発といくか。」
「切り刻んでやる。」
お互い覚悟を決めると、酒呑童子は腕をはやし中腰になると力を込め始めた。
源兄は刀で手首を切り出た血を刀に塗り始めた。
『う~ん。やっぱり旦那様の血は最高ね。これならあんな肉達磨簡単に斬れるわよ。』
「うるさい。集中させろ。」
お互いが最高の状態になるとまず酒呑童子が動いた。
「いくぞ!【星突き】(ほしづき)!」
酒呑童子が勢い良く付き出した拳はソニックムーブを出しながら源兄に迫った。
ピチャン
源兄に酒呑童子の拳が当たる寸前に水滴が落ちるような音が聞こえると酒呑童子の攻撃が止まった。
「可笑しいな。目も回復させた筈なのに片目が見えねぇ。」
「斬られたんだよ。足元見てみろ。」
「あ?」
源兄に斬られたという事が信じられずに足元を見ると自分の身体半分が血の池に沈んでいた。
「なんだこの血の量。俺の血じゃねぇぞ。」
「この刀の力だよ。技名は【血の世界】だ。能力は簡単、この刀を出した時にも言ったがこの刀は祀られていたから神性がある。この技では血の池がある場所にかぎり刀の持ち主が思うだけで全てのものを斬りたいように斬れると言うものだよ。」
「…バケモンだな。」
「これを使うと失神するがな。」
そういうやいなやバタリと倒れる源兄。そんな源兄に戦いを見ていた神父が駆け寄り
「大丈夫ですか!?」
と源兄の様子を見だした。
しばらくして
「ふぅ。何とか大丈夫だな。」
必死に源兄を調べて何とかなりそうだなと安心する神父に
「おう。コイツ大丈夫そうか。」
と斬られた身体を持ちながら酒呑童子が話し掛けてきた。
「な!?何故死んでないんですか!」
あわてて戦闘準備をしようとする神父だが
「大丈夫だ。俺は満足したからな。帰る。」
とすんなり斬られた身体をあわせて回復しながら酒呑童子がそういった。
「本当だ。今日は楽しかったしな。満足だ!良し!茨木ぃ!帰るぞ!」
驚く神父を尻目に酒呑童子がそう叫ぶと
「ハ!」
と倒した筈の茨木童子が酒呑童子の横に急に現れた。
「な!?貴方は私が倒した筈では…。」
「あんな簡単に鬼が死ぬか、アホが。酒呑童子様が楽しむために技と死んだふりをしたに決まってるだろ。」
驚く神父に茨木童子はそう毒ずきそんな茨木童子に神父が言葉を失っていると
「では帰るぞ!」
酒呑童子は茨木童子にそう呼び掛け門から堂々と出ていくのだった。
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