第136話襲撃23
ー皇居ー
「ふぅ。こちらは無事に終わりましたが問題はあちらですよね。」
茨木童子を倒した神父がそう呟きながら酒呑童子と戦っている源兄を見ると
バコン!
キン!
スッ!
バコン!
と目にも止まらぬ早さで戦っていた。
「これは援護も大変ですね。まずは他の術士達を回復させますか。」
二人の戦いを見た神父はそう言うと術士達の元へ向かっていくのだった。
一方酒呑童子と源兄の戦いはどんどん激しさを増していった。
「ハハハハ!…ん?茨木のやつ殺られたか!」
「ハァハァ。周りの餓鬼達もあらかたかた片付いたみたいだな。どうだ?こちらの勝ちで良いだろ。」
今まで激しく戦いを繰り広げていたがお互い周りの戦況が落ち着いて来たため少し離れ話し始めたが、酒呑童子が特に傷付いていないのと対照的に源兄は既にボロボロであった。
「何をいってるんだ?これからが楽しいのだろうが!この場にいる術士は全員俺の相手してくれるってことだろ!?」
そう言いながら源兄に再び飛びかかる酒呑童子。源兄はそんな酒呑童子の攻撃を受け流していくが酒呑童子のパンチの威力は受け流しきれず腕の感覚が失くなりつつあった。
(いくら再生するとはいえ酒呑童子相手に悠長に再生なんかできないからな。できれば一旦休みたいが俺以外は神父ですら相手にならないから休むのは無理か…。)
源兄がそんなことを考えながら戦っていると自分との戦いに集中していないことに気がついた酒呑童子が、
「なんだぁ?さっきから心ここにあらずって感じだなぁ。そんなに集中できないなら出来るようにしてやるよ!」
というと源兄の目の前から消え餓鬼達を倒し治療等のために動いていた周りの術士達の元で現れた。
「ほら?これでやる気がでるだろ?」
「え?」
「不味い!」
バコォォォォォォォン!!!!!
酒呑童子は術士達のなかに現れると無差別に四つある拳を振っていった。
酒呑童子の拳が振るわれる度に何人もの術士が余波で吹き飛ばされていき、直撃した術士達は当たった部分が消し飛び、運が良い人は片手・片足で済んだが大体の術士は上半身が吹き飛んだり、身体が抉れたりして亡くなっていった。
「クソッ!」
自身も腕がかなり動かないがこれ以上術士から犠牲をだすわけにはいかないと再び酒呑童子に飛びかかろうとした源兄の元に神父が走って現れ、
「今からできる限りの強化をします!」
と言い源兄へ強化を施し始めた。
そんな中暴れまわっていた酒呑童子は遂に神父の部隊でありこの場所での切り札ともなった聖歌隊の前にやってきた。
「コイツらのせいで俺らは力がだしきれなかったのか。まぁちょうど良い負荷だったぞ。ワハハハハハ!」
いきなり敵である酒呑童子に褒められ驚いた聖歌隊だったがもう目の前に酒呑童子がきたこともあり強化・弱体化の歌から守護の歌に切り替えた。これにより聖歌隊は薄い幕のようなものに囲われることになった。
「なんだこれは?うーむ、結界のようなものか…良し!お前らと俺の拳どちらが強いか勝負だ!」
ガン!
膜を見ていた酒呑童子はいきなりそう宣言をするといきなりグーで膜を殴った。しかし膜にヒビなどは一切ついておらずそれを見た酒呑童子は満足そうに笑いながら
「壊れてないじゃないか!これは珍しいぞ!」
というと
ガン!…ガンガンガンガンガンガン
何回も膜を殴り始めた。
しばらくすると膜に
ピシリ!
とヒビが出来た。それを見た酒呑童子は
「中々に硬く楽しかったぞ!では終わりにしよう!」
そう話すと遂に聖歌隊の守護を破りきった。
「ふぅ。では死んでもらおう!」
酒呑童子が聖歌隊に向け拳を振るい聖歌隊の人達を吹き飛ばそうとしたのだが、
キン!
「休憩は終わったのか?」
「あぁ。こっからが本気だ。絶対に貴様を斬ってやる。」
「それは楽しみだな。ワハハハハハ!!」
ぎりぎりで源兄が聖歌隊へ振り下ろされていた酒呑童子の拳を止めたのだった。
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