第134話襲撃21
-皇居ー
「行くぞ!【火球】!」
「【土壁】!大丈夫か!?」
「俺の剣術を食らえ!」
「ギャーーー!」
「ウギャーーーーーー!!!」
「グオーーーー!!」
茨木童子と神父の両者が戦いの指示をだしたため鬼サイドと術士サイドのぶつかり合いが始まった。
「神父様!こちらが徐々にですが押され始めています!どうしましょう!?」
鬼のサイドは大半が餓鬼や小鬼であり大概の術士であれば片手間でも倒せるほどの力しかないが数が多い事と対処法は分かったとはいえ改造されたことによる教会によって少しずつ術士サイドが押されて来た。
「安心して下さい。手はうってあります。アレク!」
「ハッ。」
「歌の準備は?」
「出来ております。」
「では始めてください。」
「ハッ。では始めるぞ!」
「「「「「「「「ーーーーーーー♪ーーー♪ーーーーーーーー♪」」」」」」」」
押され始めた事で術士が神父に指示をあおぐと神父の元にいつの間にか数人の人が集まっており、神父の指示で歌い始めた。すると、
「???」
「グハッ!」
「ギーーー!!!」
「…ガクッ。」
鬼サイドにいる大鬼や猿鬼は違和感を感じ改造された鬼はからだが重くなっていた。
「?鬼のやつら様子がおかしいようです!何が起こっているんですか?」
「あれは【聖歌】が原因です。」
「【聖歌】ですか?」
「はい。彼らは私の秘蔵である聖歌隊です。聖歌は悪しき者達を弱体化させることが出来るので今回の戦いにも必要だと思い連れてきたのですが正解でした。」
鬼サイドに違和感を感じた術士が神父に聞くとどうやら神父の作戦によって鬼達が弱体していることが分かった。
「もっとも強ければ余り意味がないですけどね。」
そう謙遜する神父の目線の先には本来聖歌が聞こえているはずなのにもかかわらず弱体化したそぶりがまったく見えない酒呑童子がいた。
「…私もそろそろあちらに行かなくてはならないので後は任せました。」
神父は話し掛けてきた術士にそう言うと酒呑童子の元へ向かっていたが途中で鬼に行く手を阻まれた。
「貴方はたしか…。」
「どうも。外ツ国の者よ。茨木童子と言う者です。」
「そうですか。そこを退いて貰えますか?」
「申し訳ないがあそこに合流はさせられないんですよ。」
「ではやるしかないのですね。」
そう言うと神父は首に掛けていた十字架をはずし手に持った、すると十字架はするすると大きくなり両手で持たなければならないほどのサイズになった。
「なんですか?それ?」
「これは戦闘用の十字架です。人間には重いだけですが貴方が食らうと重いだけではなく聖なる力で弱体化していくでしょう!」
大きくなった十字架みて思わず質問をした茨木童子に十字架の下の部分を持つと襲いかかる神父。間一髪で避けた茨木童子はまず確認として神父がもっている十字架を殴りつけたが十字架はビクともしなかった。
「…いくらなんでも強すぎきません?」
「えぇまぁ。しかし恨まないでくださいよ。人類は基本貴方達より弱いんです。これくらい許してください。」
そういいながら再度十字架で殴りかかる神父とそれを必死にかわす茨木童子だった。
「おい!そんなにあっちが気になるのか?だったら行っても良いぞ!今のところはここから動く気無いしな。」
「ふん。やつらならそのうち集まってくる。大丈夫だ。」
神父の方をチラチラとみる源兄に酒呑童子がそう聞くが源兄は断ると酒呑童子に斬りかかった。
「おい。それじゃあ俺は傷つかねぇよ。」
と酒呑童子が言うが源兄は構わず斬り続けた。酒呑童子も
「んじゃあ飽きるまで切っていいぞ。」
と言うと寝転び他の戦いを見始めた。そんな酒呑童子を源兄は必死に切って切って斬り続けると、なんと酒呑童子のからだが斬られて出血をした。出血といっても人間の逆さむけを抜いた時程度であったが酒呑童子は驚いた。
「おいおい!すげえな!俺が傷つくなんざぁ封印された時以来だぞ!」
そう酒呑童子は笑いながら話した。それを尻目に源兄は疲れたように息を吐きながら
「貴様を斬るのに何回同じ場所を斬ったと思うんだ。それでその傷だと貴様を傷つけるのはかなり難しいだろうな。」
と言うと再び酒呑童子に斬りかかる源兄。そんな源兄を
「ハハハハ!そうか。まぁ全力でかかってこい!」
と笑いながら待ち受ける酒呑童子だった。
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