第132話襲撃19


 -皇居ー


 改造された餓鬼による襲撃によって始めはかなりの死傷者を出したが打撃が有効だと分かると順調に餓鬼の処理が進んだ。


「こっちは終わったぞ。」

「こっちもだ。」

「向こうの方ももうすぐ終わりそうだな。」


 そう術士同士で話していると門の向こう側から塀に向かって


 ガシャ!

 ガシャ!


 と何かが立て掛けられた。


「な、なんだ!?」

「これは…梯子です!」

「なんだと!?」

「こっちが餓鬼の対処にてこずってる間に準備しやがったんだ!」


 そう術士達が話している間にも猿鬼がスルスルと梯子を登り沢山皇居に入ってきた。


「くそ!猿鬼どもだ!いくぞ!」

「「「「「「「おう!」」」」」」」


「「「「ウギャーーーーーー!!!」」」」


 こうして術士達と猿鬼達の戦いが始まった。



「猿鬼は身軽さを使った格闘が得意だ!気を付けろよ!」

「分かってるよ!」

「集中しろ!」


 術士達は三人一組になり一体の猿鬼を相手にしていたがその身体の大きさに見合わない身軽さをもつためかなり猿鬼に苦戦し更に、


「クソッ!引っ掻かれちまった。まぁ傷は浅いから構わないか…ガハッ!」

「おい!どうした!?」

「見せてみろ…これは毒だそ!?お前ら気を付け…ガッ!」

「大鬼まで塀を登って来やがった!!」


 猿鬼の爪に毒が仕込まれている事と大鬼まで塀を越えたことによりかなり劣勢になる術士達。敗走も頭をよぎったがその時、


「押されてるじゃないか、やはり最近の術士は質が下がって来てるな。死ぬことに恐怖を感じる。」

「まぁまぁ。死を恐れるのは人として当たり前ですよ。」


 と言いながら特級である源兄と協会幹部の神父がやってきた。


「源様!神父様!ご助力してくださるのですか!?」

「これほどまで敵が攻めてきたんだ助太刀せざるを得ないだろ。」


 そう源兄は言うと気付けば手に刀を持っていた。そして、


 バババババババババ


 源兄の近くにいた猿鬼と大鬼が皆斬られていた。


「ふん。歯応えがないな。」

「戦いに歯応えは要りませんよ。皆さん!怪我人をこちらに!……大丈夫ですね、では。」


 物足りなさを感じている源兄を尻目に神父は怪我人を1ヵ所に集めると膝をつき、


「おぉ神よ、この場にいる怪我人達をお癒しください。」


 と唱えた。すると光が空から降りてきて怪我人達に当たった。光が怪我人に当たるとスゥ…と光が怪我人に吸い込まれていきしばらくすると怪我人達が目を覚ましていった。


「ウッ。ここは?」

「おい!大丈夫か!??おまえ猿鬼の毒にやられてか寝込んで頃だ」

「夢を見てたんた。影みたいに真っ暗な手が何本も俺を捕まえて離さなくてな。しばらくして光が差し込んできてやっと動けるようになって目が覚めたんだ。」

「そうかッ!しかし無事で良かった!」


 目を覚ました術士達は直ぐにでもまた戦えるぐらい元気だった。


「これなら直ぐ戦線復帰できるな。」


 怪我をした術士達が目を覚ます前に皇居に入り込んだ猿鬼と大鬼をすべて切り刻んだ源兄が次々と目を覚ました術士達をみて神父にそう言うと


「えぇ。精神的な疲労は取れないので全力で、と言うのは難しいですが肉体的には全快です。」


 と神父が返した。


「そうか。なら…おい!仲間が回復して嬉しいのは分かるがまだ鬼は攻めてくるぞ!早く戦闘準備しろ!」


 源兄がそう術士達に言うと術士達も皆、


「「「「「「ハッ!!」」」」」」


 と返事をし戦闘準備をし始めた。そんな術士達を眺めている源兄に神父が近づき


「しかし猿鬼に大鬼、やはり酒呑童子はこの場に来るようですね。」

「まぁ。これだけ鬼が来てこの門を攻めてるのは酒呑童子じゃありませんってことは無いでしょ。」


 そう二人が話していると門の向こう側から


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 と雄叫びが聞こえた。


「来ますか?」

「来るみたいだね。」


 雄叫びが聞こえた二人はいつ酒呑童子が来ても良いように準備を始めるのだった。


 ー鬼サイドー


「なぁなぁなぁ??やつら出てきたぞ?特級だ!じゃあ俺もう出て良いよな?」


 源兄と神父が出てきて猿鬼と大鬼を片付けたのを遠くから見ていた酒呑童子は特級が出たから自分の出番だと???に迫った。


「本当はまだ様子を見たいですが…貴方は待てないだろうからもう戦いに行っても良いですよ。」


 と???が酒呑童子に言うと、


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 と叫びながら皇居へ走っていく酒呑童子。

 それを見た???は思わず、


「ハァ。」


 とため息を吐きながらゆっくりとついていくのだった。

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