第128話襲撃16
-皇居ー
ズバ!
スッ
ドカ!
スパッ!
スッ
ズルズル!
スパパパパ
「す、すげぇ。宝樹院様や将軍様はともかく隠神刑部もめっちゃ強い。」
宝樹院から出された指示通りにタヌキ達を捕獲あるいは退治をした術士達が宝樹院達の戦闘を見ると隠神刑部の攻撃をうまく防いだり躱している宝樹院と将軍であったが、ふたりの攻撃も隠神刑部が躱したり幻術で惑わしたり刀で受け止めたりしておりお互いに一歩も譲らぬ攻防を繰り広げていた。
「お主のタヌキ達は皆捕まるか倒されたようじゃぞ。どうだ?この辺りでしまいにするのは。」
「確かにそうかもな。しかし九尾達と約束したのでな。最後までやらせて貰うぞ。そぉら!」
さりげなく投降を呼び掛けた宝樹院だったが隠神刑部に断られてしまった。
更に隠神刑部は断ったと同時にどんどんと大きくなっていった。
「なんじゃこりゃ?」
「分かりませんな。」
異変を感じた宝樹院と将軍はすぐに刑部から離れたが刑部は想像より大きくなり遂には周りにいた術士を巻き込み始めた。
「な、なんだこれ!」
「おい!助けてくれ!」
「大丈夫か!…畜生!助け出せねぇ!」
術士達もなにか異変を感じ逃げようとしたが逃げ遅れた術士や、逃げるために解放されたタヌキに邪魔をされた術士が巨大化した刑部に吸収されてしまった。こうして巨大化しつつ術士を吸収していた刑部だったが、急にピタリと巨大化が止まると今度は元の大きさに戻っていった。
元に戻った刑部だったがなんと若返っていた。
「久しぶりにこの姿になったがやっぱ若い身体ってのは良いな。動きやすいぜ。」
そう言うと
スッ
と将軍の目の前にいきなり現れ刀を振るうと
ズバッ!
とかわそうとする将軍の片腕を斬り飛ばした。
「ぐっ。」
斬られた腕を押さえる将軍に
「とりあえず死んでね。」
と止めを刺そうとする刑部だったがそんな将軍を
「ほれほれ。大丈夫かの。」
と言いながら宝樹院が枝で斬られた腕ごとつつみ刑部に対しても地面から木を生やし攻撃した。
「よもや若返るとは思わんかったぞ。」
そう宝樹院が話しかけると
「そりゃそうだろ。おれでも分からんわな。ハッハッハ。」
と笑う刑部。
「で?どうする。今の今まで二人で戦っていたのに一人になったぞ。それで俺に勝てるかな?」
そう言うがいなや切りかかる刑部。
次の瞬間
パカッ
と将軍を守っていた宝樹院の術が開き身体に植物を巻き付けた将軍が現れた。
「助かりましたぞ宝樹院どの。このように腕も治りました。」
そう言いながら将軍の斬られた腕を見ると斬られた跡はあるもののつながっていた。
「おいおい。そんなのありかよ。」
切りかかっていた刑部だったが嫌な予感がして一旦下がっていた。
「お前腕がつながっただけじゃないな。」
そう話す刑部に一瞬で将軍が近づくといきなり切りかかった。
「いきなりかよ!しかも早さ力共に上がってやがるな。」
「この植物の鎧のお陰ですな!動きやすくてたまりません!」
そう言いながら刑部に切りかかる将軍だが、さっきまでは毛すらも斬ることが出来ずにいたが今は刑部の毛を斬れていた。
「良い散髪にはなりそうだな。」
「クッ。馬鹿にしやがって。」
確かに刑部の毛を斬ることができるようにはなったが傷をつけることはできなかった。
「ではまた部下を増やすか。ほれ!」
というと斬られた毛が動きだしタヌキに変化した。
「な!?」
と将軍が驚いているとタヌキ達が皇居内に走っていった。
「宝樹院さま!」
「タヌキはなかにいる術士に任せよう!ワシらに今余裕は無い!」
そう言いながら次々と木をだし刑部へ攻撃をするが次々に斬られてしまう。
将軍も隙を見て攻撃するが今度は毛を斬らせて貰えない。
「くそ!余裕こきやがって!」
と思わずいつもの口調ではなくなる将軍。すると宝樹院が
「では今回のために特別に仕入れた木を使うかの。」
と言うと刑部の元に実を生やした木が現れた。
「なんだこれ?今までよりなんなら斬りやすいぞ。」
そう言いながら宝樹院が生やした木を斬り飛ばした刑部は落ちた実を
「何かあるといけないからな。」
と粉々に切り裂いた。すると
クラッ
「な、なんだこれは?」
と膝をつくのだった。
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