第82話閑話 名もなき忍び3
しばらくタイガの後をついていく忍びと魔眼使い。すると、いきなりタイガが
「ガウガウガウガウ!!」
と吠え出した。あくまでも忍びに教えるために小さく吠えたものだったためそれなりに人がいたが注目を浴びることは無かった。
「…ここだな。この中に今回の一連の事件の犯人がいるな。」
「ここが。」
忍びがそういうと魔眼使いはゴクリと緊張をしたように生唾を飲み込んだ。
「緊張しなくても大丈夫だ。俺たちの任務はあくまで偵察。別に今から中にいるやつら全員倒す訳じゃないんだ。」
そう忍びが言ったが
「それは分かってる。けど自分は戦闘用の術は使えないから緊張してしまうんだ。」
と返された。
「でもアジト内には入らないから大丈夫だぞ。」
「じゃあどうやって偵察するんだ?」
偵察も任務なのにアジト内に入らないという忍びに魔眼使いが聞くと忍びは、
「コイツに侵入して貰う。」
「チューー。」
そう言いながら腰につけている袋から鼠をだした。
「コイツは忍びが育てた侵入用の鼠だ。コイツには特別な述を仕込んであってな。視界の共有化ができるんだ。」
そういうと鼠をアジトに放った忍び。
「視界を共有化してると俺は鼠の視界しか使えないからタイガと一緒に周りを見といてもらっていいか?」
「わかった。」
魔眼使いとタイガに周りの監視を頼むと鼠に視界を切り替えた忍びだった。
ーアジト内ー
排水からアジト内へ侵入した鼠はまずアジトの一階から順に上の階へ上がっていったが特に術に関係するものは見つけられなかった。
(おかしい。何も怪しいものがないな。タイガが間違えたか?いや、タイガは訓練も受けているからそんなはずは無いはずだが相手が一枚上手だったか?…ん?なんだこの壁少しおかしいな。)
何も異常を感じなかった忍びは組織の罠に掛かったのかと思い鼠を帰そうと一階に戻した所ある壁で違和感を感じた。
(何故か一瞬この壁が柔らかかったような?なんだこれは…んな!)
忍びは違和感を感じた壁を鼠に調べさせると鼠が壁を触った瞬間壁に飲み込まれてしまった。
(!!!一体なんだったんだ。こんな術は聞いたことないぞ。ここをアジトにしてる組織は「死の衣」とかの有名組織じゃないのか?ってこれは!)
飲み込まれた壁の先には地下へ続く階段があったので鼠に降りるよう指示をしながら愚痴っていると階段を降りた先にはなんと培養液につけられている何匹もの妖怪がいた。
(これは…二口女か!こっちはぬりかべ!見たこと無い妖怪もたくさんいる!)
培養液につけられている妖怪達はその世界に詳しい忍びであってもすぐには気付かないぐらいに改造されていた。
二口女は後頭部の口を糸で結ばれておりより飢餓がひどくなり目が血走っていた。
ぬりかべは身体が土壁ではなくコンクリートや鉄で出来た個体がいた。
他にも頭が三つある鬼や背中の翼がもがれ腕があるはずの場所から翼が生えている天狗、更には海外のモンスターであり日本にはいないはずのデュラハンが頭を身体に縫い付けられた状態であった。
しかも妖怪達は皆意識があり逃げようとしていたが出来ていなかった。
(これはもしかして最近協会を悩ませてる妖怪の異常の原因か!)
思わぬところで最近の悩みの種を見付けたことに驚きながら奥にどんどんいくとある部屋についた。
(なんだこの汚い部屋は。ん?「研究室」…か。何か重要なものが見つかるかもしれないな。)
そう思いながら資料を探していると
(これは…【強化妖怪売買契約書】なるほどコイツらは妖怪を売ってるんだな。この契約書と顧客リストは貰っていこう。…ん?【日本転覆計画書】?…なんだこれは!急いでこれを協会に持っていかなくては!)
とかなりヤバイ物を見付けた忍びは急いで鼠に回収の指示を出した。すると鼠は資料をひとつに集めるとなんと飲み込んでしまった。
そして鼠が忍びのもとに戻ると急いでアジトを後にする忍び。あまりの慌てように魔眼使いが
「どうした!」
と聞くと
「ヤバイ資料があったから急ぎ協会の指示を仰ぐ!」
と言われた。
「資料?そんな無いぞ!」
「鼠の腹の中だ!この鼠は特殊でな。なんでも腹の中に入るんだよ!」
そう解説しながらも協会に向かう忍び達だった。
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