第76話手長・脚長3
ー帰り道ー
「なんで俺が捕まってるんだ!」
沈んでいる身体を出そうともがく手長だが抜け出すことが出来ない。
「やっとうまいこと効く攻撃が出来たよ。」
「貴様!何をしやがった!」
「簡単だよ。脚長を倒した瞬間にお前の視界を奪うことで念話をさせなかっただけだよ。」
「クッ!そんなことでヤられるとはな…。しかし、貴様は毒使いなのだろう?なぜ土をいじれる?」
「溶解毒で溶かしただけだよ。ほら。」
そういいながら手長の下半身を指差す月兎。それを見て手長が自身の下半身を見ると少しずつ溶けていっていた。
「!?おかしいだろ!普通痛くて気づくだろ!」
「麻痺毒を混ぜているからね。もう今さら逃げることは無理だよ。さしずめ毒沼だね。」
「…貴様どれだけ凶悪なんだ。チッ!」
「そんなこと言われてもな。」
手長はもう大丈夫だと脚長を見た月兎だったが脚長は身体に破月が巻き付いていて身体の所々が紫に変色していた。
「向こうももう終わったみたいだね。」
「ん?…あぁそうだな。はぁせっかく一度見逃されたのに死んでしまうとはな。」
「ん?見逃されたって?」
「…数日まえにフードを被ったヤツに殺されかけてな。結局殺されずにすんでこの斧ももらったんだ。」
「…へぇー。」
手長からされた謎のフードを被ったヤツの話しを聞いた月兎はまた支部長に話さなきゃいけないことが出来たので思わずため息をつきそうになった。
『何で俺ばっかこんな面倒事に巻き込まれるかな。』
そう思っているとついに手長が死んだ。するとすかさず脚長も破月にヤられた。
『しかし今回のヤツは面倒だったな。』
「二体同時に倒すのがな。つかれたから早く帰ろう。血も流しすぎた。」
疲れた様子の月兎に破月が合流し月兎の左腕にもどったので帰ろうとした月兎だったが、ふと手長を倒した場所を見ると手長が使っていた斧が落ちていた。
「あれってどうすれば良いかな?」
『戦利品だ。もらってしまえ。』
「えー。でも妖怪がもってたやつだよ?しかも良く分からんヤツからもらった。持ったら呪われないかな?」
『大丈夫だろう。どうだ観月よ。』
『完璧には分かりませんが何か悪い気配はありませんので呪われることはないでしょう。』
「じゃあもってくか。どうせ支部にもってかなきゃいけないだろうし。」
破月や観月に言われてしぶしぶ斧を回収した月兎は支部長である鈴華に電話をした。
プルプルプルプルプル
ガチャ
『はい。鈴華です。月兎君?こんな遅くに電話ってことは何かトラブル?』
「はい。いま海野家にお邪魔させてもらった帰り道なんですけど途中でちょっと妖怪を倒そうとして結果倒せたんですがその妖怪にどうやら武器を提供した者がいるみたいなんですよ。」
『ハァ…。分かったわ。でも海野家があるのは私の管轄外よ。その管轄の支部に連絡して人員を送るからそっちで対応してもらって。』
「分かりました。」
『…あなたも大変ね色々巻き込まれて。』
「ぶっちゃけそうですね。あ、後怪我をしたので回復が出来る人も読んでもらって良いですか?」
『手配しとくわ。じゃあ。』
「では。」
電話を切ると血の流しすぎで少しフラフラしながらもこの場所の担当である人がくるのを待つ月兎。
三十分後
「すいません。もしかして中村 月兎さんですか?」
とバーコード禿げで汗をかいた太ったおじさんが話しかけてきた。
「はい…。貴方は…?」
と警戒しながら聞くと
「私はここの地域の支部長である物部 卓【ものべ すぐる】です。で、こちらが。」
と物部が指を指すと今まで誰もいなかったはずである空間に小さい女の子が現れ、
「私の名前は物部 直美【ものべ なおみ】ですよろしく。」
と自己紹介をされた。
「初めまして。中村 月兎です。すいませんこんな夜遅くに支部長みずから。お子さんまで連れて。」
月兎は支部長が娘をつれてまで来てくれたことに感謝すると、
「娘…?あ~!直美のこですか!直美は私の妻です。」
と言われた。
「え?…け、警察に通報を…!」
「ちょ、ちょっと待ってください!違うんです!な、直美はちゃんと成人してますから!なんなら私と同い年です!」
急いで警察に通報しようとした月兎だったが卓から衝撃の事実を知り思わず動きが止まってしまうのだった。
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