第75話手長・脚長2
ー帰り道ー
『あるじ様これがさっき言おうとしていたことです。複数体で一生物のものは大体が同時に倒さなければいけないのです。』
と恐ろしいことを観月に言われた月兎。
「ほんとか!?同時ってどうすれば…。」
『完璧に同時にする必要はありません。しかし五秒以内には倒す必要があります。』
「なるほどね。っと!」
手長・脚長について観月と話していた月兎だったが復活した脚長が月兎に襲いかかってきた。
「あぶな!」
脚長の飛び蹴りを躱した月兎だったがどうしたものかと攻められないでいると、
『我が戦っている手長とお主が戦っている脚長を交換するぞ!手長の斧のせいで我の毒が防がれる!』
と手長と戦っているが手長がもっている斧のせいでなかなか毒を活用出来ていない破月が月兎に言った。
「分かったけど何で毒が効かないの!腐食毒とかで溶かせないの?」
『無理だ!恐らく斧も名のある武器かなにかなのだろう。溶かしてもすぐ再生してしまう!』
「マジか!…分かったとりあえず入れ替わろう!」
そうして月兎と破月は戦っている相手を入れ換えた。
「といっても俺も倒せないんだよな、多分ん!」
月兎は牽制の意味も込めて小手調べの毒の玉を手長に打ったが手長は毒の玉を斧で弾いた。
シューシュー
毒を切った斧は少しの間煙をあげていたがしばらくするとなにもなかったかのように元に戻っていた。
「これか。厄介だな。…なら面で勝負か。毒霧!」
一点集中がダメならと毒霧を使い面での攻撃をした月兎だが、
「キシシ。」
手長は笑いながら斧を回転させると風の勢いで毒霧を吹き飛ばした。
「くそ…っぶな!」
毒霧を吹き飛ばした手長は今度はこちらだと言わんばかりに斧を振り回しながら月兎に襲いかかってきた。
「チッ!あぶないな!」
念話を使っているとはいえお互いが違う敵と戦っているため若干のタイムラグがあるのでそのお陰で観月の術を使いながらなんとか躱している月兎だったが少しずつ躱しきれなくなってきて軽く切られてしまった。
「っ!いってー。」
月兎を切つけたことでより一層笑っていた手長だが月兎が止血剤をつくり血を止めたため顔を歪めてイラついていた。
「さっさと死ねば良いものを。」
「喋った!?」
今まで笑っていただけだった手長がいきなり喋ったので驚いた月兎。
「ふん!喋るのがそんなに珍しいか。」
「今まで喋ったことあるやつとは中々会わなかったからな。」
「そうか…では死ね!」
手長が喋ったことで時間が稼げるかと思った月兎だったが手長は早々に話を切り上げるとまた襲いかかってきた。
「毒針!」
「効かんわ!人間な風情が!」
少しでも手長を足止めしようと毒針を何本も投げた月兎だがそんなのを気にも止めずに斧でなぎ払いながら襲いかかってくる手長。
「厄介すぎないか!」
「キシシシ。いくら出血をとめらるとはいえ切り続ければ死ぬだろうな。」
「厄介だな。どうするか…。」
『あるじ様ではこういうのはどうでしょうか?』
「どういうの?」
『はい。まずはーーーーーー。』
月兎が進退窮まっていると観月からある作戦を出されたのでその作戦に乗ることにした。
ー手長ー
「ほらほら。早くしないと死ぬぞ!」
(キシシ。このままいけばこちらは勝てる。脚長のやつは…相性の問題で何回か死んでいるがまぁしょうがない。もう少しすれば俺が合流出来るしな。)
何回か目の切り傷を月兎につけた手長が脚長を見るとボロボロになりながらも破月と戦っていた。
「くっ!」
手長が脚長を見ていると血を失いすぎたのか月兎が膝をついた。
「キシシ。やっとか。手間をかけさせるヤツだ。まあいい。死ね!」
膝をついた月兎に止めを刺そうと飛びかかった手長。しかし手長が飛びかかると月兎は観月の術で手長の視界を奪った。
「!何回視界を奪おうが効かんわ!」
一瞬驚いた手長だが直ぐに脚長に念話を送った。しかし、
『おい。脚長よ。どうなっている?』
『…。』
『おい。脚長?聞いているか?』
『…。』
『脚長?…脚長!』
何回脚長に聞いても脚長は答えなかった。
『おい!脚長!』
『…なんだ!』
『俺はどうなっている!』
『ちょっと待て!』
脚長が観月の術を破ったため手長の視界が開けた。すると…なんと手長は足を地面に埋められているのだった。
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