第73話おっきい人
ー海野家ー
秀人によって空気が軽くなったところで今日は解散することになった。
「ではせっかくだから梨沙は我らが送るよ。学校に万が一の時の為に護衛を送りたいからね。そういった話もしたいし。」
「分かりました。じゃあし…月兎さん!また会いましょう!」
「うん。じゃあ梨沙ちゃんも秀人さんもまた会いましょう。」
「では。」
バタン
海野家の前で秀人と梨沙と分かれると二人は足立家から来た運転手付きのクルマで帰っていった。
「はぇ~。運転手付きなんてはじめて見たよ。」
『終ったか。』
「ん?終ったよ。」
『では妖怪を狩って帰るぞ。』
「まぁそうだな。少し狩っていくか。」
そのまま帰るつもりだった月兎だったが破月にいわれ少し妖怪を狩っていく事にした。
ー帰り道ー
『なかなかおらんな。』
あれから妖怪を探しながらしばらく歩いていたが妖怪は見つかっていなかった。
「そりゃあ海野家が近いからでしょ。なんかいてもすぐ祓われてるよ。」
『そんなものかね。』
「そんなもんだよ。まぁ結構歩いてきたからそろそろ出てくるんじゃない?」
『だと良いんだがな。…ん?』
「どうし…た…の…。」
妖怪がなかなか現れないことにイライラしていた破月だったがいきなり喋らなくなったのでどうしたのかと前を見ると、街頭のライトに頭が届きそうなぐらい背が大きく、手が異様に長いコートと帽子を被った人間のような生き物がいた。
「なんだアイツ?」
『分からんが人ではなかろう。!手を見ろ!』
そう破月に急かされた月兎は巨人の手にいつの間にか斧を持っている事に気づいた。
「これってもしかして不味い?」
『あぁ。不味いかもな。』
月兎と破月が話しているとどんどん巨人は近付いて来ており近付きながら斧を振りかぶって襲ってきた。
「!おいどうするよ!」
『とにかく逃げろ!』
そう破月に言われると走って逃げ出す月兎。
すると巨人は斧を振りかぶったまま追いかけてきた。
「おい!これどうすんだ!お前の毒でどうにかならない?」
『あの巨体だと毒を効かすにも時間が掛かる。難しいな。』
「うそだろ!?なら…毒三日月!」
破月に毒を効かすには時間が掛かると言われた月兎はなら斬撃を食らわせようと毒三日月を放ったが巨人はその身体には見合わないような身体の反りを見せて毒三日月を躱した。
「は!そんな柔らかいの!?」
『見事だな。』
毒三日月を躱された月兎だったが巨人も躱すために足を止めため月兎と巨人の間が開いた。
それを見た巨人は慌ててまた追いかけてきたため月兎は
「だったらこれはどうだ!毒針地獄!」
と月兎と巨人の間にあった地面に毒の針を何本も生やした。
「よしこれでしばらくは時間稼ぎに…はぁ?」
今のうちにまた距離を稼ごうとした月兎だったが
巨人はそのままの勢いではしりいきなりジャンプをした。
「なんでいきなりジャンプなんか…まずい!」
ジャンプをした巨人は毒の針地獄だけでなく月兎をも超えて月兎の逃げる先をふさいだ。
「おい。破月どうする?もう逃げ道がないぞ。」
そういいながら背後にあった毒針をひっこぬき槍のようにし巨人に向けた。
『もしかしたらの仮説でよければやりようはある。』
そう言いながら月兎の左腕から破月が現れた。
「なんだよ仮説って!」
『なんだ?相手が二体だから出てきてやったのにそんな態度はないだろう?』
「二体っとどう言うことだよ!」
そう毒の槍で巨人を威嚇しながら月兎が聞くと
『なに簡単なことだその巨人のような妖怪は巨人ではなく二体の妖怪が協力している姿なのだよ。』
と衝撃的な事を言う破月。
「!本当なんだろうな?俺から見ると完璧な巨人だけどな!」
『さっきピット器官でも見たから間違いない。』
「で?結局こいつはなんて妖怪なんだ!?」
そう月兎が聞くと
『うむ。こやつらは二体でいつもいる妖怪。手長・脚長だ。』
と破月が答えた。
それを聞いていた巨人から笑った口が見えていたのだった。
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