第72話黒幕はだれぞ。
ー食事会場ー
皆で話ながらの食事を終えると一が話し出した。
「じゃあ梨沙ちゃんの血縁の確認も終ったし次は一体誰が梨沙ちゃんに呪いをかけたかだな。」
「そうだわおじいさま。今回の事で梨沙さんは術士の世界にはいることになるのですがそうなると一般人への術の行使の罪はなくなるのでは?」
「呪いを受けた時は一般人だから一般人への術の行使も罪に換算されるぞ。」
「そうなんですね。」
「あぁ。で、梨沙ちゃん。どんなことをしてから調子が悪くなったかわかるかな?」
そう一が聞くと梨沙は少し考えると
「そうですね。調子が悪くなった日もいつもと変わらないような…あ!そういわれれば後輩からプロテインを貰いました。」
と答えた。その梨沙回答を聞いた一は
「じゃあそれが原因かもしれんな。」
といった。
「愛理ちゃんがですか?仲が良い後輩ですけど…。」
と一の推理に疑問を抱いた梨沙だが、
「梨沙。人とは案外裏では何を考えているかわからないものだよ。それにその子が巻き込まれている可能性もあるんだ。その子が悪いかはまだわからないよ。」
「そうですよね。」
そう秀人に諭されてとりあえずは落ち着いた。
すると雫が、
「そうなると一体どの組織が梨沙さんに呪いを掛けたのでしょう。」
と言うと一が
「うむ。普通に考えると〈羅刹〉か〈死の衣〉だが梨沙ちゃんの後輩はお金持ちかい?」
「いえ…。聞いたことはありませんが普通の家庭だと思います。」
「うむ。では〈羅刹〉ではないか…。となると〈死の衣〉だが奴等はこんな遠回しなことはせずにするとしたらその後輩を呪うだろうからな。」
「ということは大きくない中小の組織でしょうか?」
雫と一の話を聞いていた秀人が
「足立に喧嘩を売るとはその組織は消される覚悟があるということだな。」
と言い出した。
「まぁ慌てるのは早いだろう。それこそ中小の組織なぞ無数にあるんだ。特定は難しいだろう。…梨沙ちゃん。その後輩と我らは会えるかな?」
「いやぁどうでしょう?実はその後輩私が呪いから解放された次の日から休んでるんですよ。」
「!?それは何故か分かるかね。」
「いえ分かりません。」
一が梨沙がいっていた後輩と会えるか聞くと梨沙が会えないといったが一は会えないということではなく会えない理由に驚いていた。
「あ、あの~。すいません。なんで休んでいることにそんなに驚いているんですか?」
先ほどから分からないことばかりで空気となっていた月兎が一に質問をした。
「そうだね。月兎は呪いについてどれだけ知っているかな?」
「色々な悪いことが起こる事ぐらいしか分かりません。」
「うむ。呪いについては種類が沢山あるからそういう理解で良いが、実際呪いを使える術士であっても簡単には呪いを使わない。ではなぜ呪いを頻繁に行わないか分かるかい?」
「すいません、分かりません。」
「呪いは解呪されると呪いをした人間に帰って来るからだよ。」
「帰って来るんですか?」
「あぁ。例えば、目が見えない呪いを掛けても、掛けた相手が解呪すると、呪いを掛けた人間の目が見えなくなってしまうんだ。しかも解呪もしずらくなってな。」
「それはリスキーですね。」
「…。つまり梨沙ちゃんの呪いを解呪したあとから後輩が体調不良と言うことは…。」
「まさか後輩が呪いを掛けたってことですか!」
「だから我は驚いているのだよ。」
そう一は月兎に解説をした。
「もしかしたら我らの知らないところでなにか大変な事でも起こっているのでは?」
と秀人が言うと
「うむ。私から天海家に報告をしておこう。」
と一が今回の件を上に上げる事にした。
「私も足立家の中で広めておきます。身体強化の術士は情報交換が盛んに行われていますから直ぐに広まるでしょうから皆気を配ってくれると思いますよ。」
と秀人も続けると
「我ら遠距離系の術士達は仲が悪いと言いたいのかね?」
「あや、これは参りました。そのような意味で言ったわけではないのですがね。」
一に話の隙をつつかれてしまいタジタジになっていた。
少し重い空気になっていたがそんな秀人をみて空気も軽くなっていったのだった。
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