第70話来てしまいました海野家
ー海野家ー
あの電話をしてから数日後、月兎は梨沙をつれて海野家にやってきた。
「でかい家ですね!」
「そうだね。でも術士の家は皆名家だからそれなりにでかいみたいだよ。」
「師匠もですか?」
「いや俺は一般人からの出だから家は普通だよ。」
「師匠みたいに一般人からの出の人ってどれぐらい居るんですか?」
「いや、俺みたいな一般人から出た術士は何年もいないらしいよ。」
「じゃあ師匠ってめちゃめちゃエリートなんですね!」
「そんなんじゃないよ俺はただ運が良かった…良かった?…まぁ良かっただけだよ。」
そう梨沙と話したあと海野家のチャイムを鳴らす月兎。
ピンポーン
ガチャ
『はい。』
「中村 月兎です。今到着しました。」
『どうぞ。』
ガチャ
海野家に梨沙と月兎が入って行くと重蔵がいた。
「月兎様お久しぶりです。」
「久しぶりです。」
「はい。月兎様には天海家へのお招きのはずが海野家になってしまって申し訳ありません。」
「いえいえ。事情があったのでしょうがないですよ。」
実は元々天海家に招待されていたつれてだったが梨沙の件があり足立家を呼ぶことになったため天海家ではなく海野家に行くことになったのだった。
「今回足立家の人も来るんですよね?」
「えぇ。こちらから連絡をした際、あちらも家系図等で確認をしたら可能性が高いとのそうで是非会いたいそうです。」
「師匠。その足立家ってもしかして私の親族かもしれない人達のことですか?」
「そうだよ。あとさっきからずっと言ってて流してたけど師匠じゃないからね。」
そう話ながらとある部屋に通された月兎と梨沙。中にはいると雫と一人の老人がいた。
「おじいさま皆様がいらっしゃいました。」
「そうか。はじめまして。雫の祖父であり現海野家当主の海野 一【うみの はじめ】です。」
「はじめまして中村 月兎です。」
「は、はじめまして足立 梨沙です。」
月兎と梨沙が部屋にはいると雫と一緒にいた老人が自己紹介をするとどうやら海野家の当主であったらしく月兎と梨沙も慌てて挨拶をした。
「貴方が月兎さんですか。ぜひお会いしたかった。」
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。」
「いえいえ。月兎さんは忙しいですから。でそちらが足立家の者かもしれない梨沙さんですね。」
「は、はい!」
「これから足立のものが血縁を証明できる人間をつれてやってきます。もし正式に血縁を認められれば足立家で修行が始まるでしょう。」
「あの~し、月兎さんに学ぶことは出来ないんでしょうか?」
「難しいですね。血縁同士で鍛えた方が効率が良いですし、大体が血縁者と同じ術を使えるようになるので足立家で修行した方が良いでしょう。」
「そうですか…。」
しばらく四人で待っていると重蔵がやってきた。
「足立家の方がいらっしゃいました。」
「お連れしなさい。」
「かしこまりました。」
そうして重蔵が二人の男性をつれてきた。
「遅れてしまい申し訳ない。」
そういいながら四人の前に出てきたのは細目に長髪の優しい雰囲気を醸し出した男性だった。
「はじめまして足立 秀人【あだち しゅうと】ともうします。」
「はじめまして中村 月兎です。」
「足立 梨沙です。」
梨沙が自己紹介をするとそちらを見ながら
「おぉ。君が我ら足立家の新しい家族か!よろしく頼むよ。」
と言った。
「足立殿。まだ家族とは決まってませんよ。」
「一殿!その通りです。すいません。では早速確かめましょう。」
それを聞いていたフードを深く被り顔が見えないもう一人の男が前に出てきた。
「では確かめさせて貰います。」
そう言うと梨沙と秀人の事を見つめだした。
(雫ちゃん。今なにしてるの?)
(彼は眼を使った術を得意とする一族の者です。)
(どうしてそんな人が?)
(おそらく人のオーラを見ているのかと。)
(オーラ?)
(はい。もし同じ一族だった場合同じいろのオーラをしているはずです。)
(へー。)
そう月兎が雫に術の説明を受けていると、二人を見つめていた男が
「ふー。分かりました。」
と言ったのだった。
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