第69話とりあえず


 ー自宅ー


 テンションがあがっている梨沙をどうにか引き剥がしとりあえず連絡先を交換した月兎は自宅に帰ってきた。


『どうするのだ?』

「?何を?」

『あの娘だ。弟子にするのか?』

「いやぁ。弟子にするのか?って言われても…俺まだ弱いしなぁ。」

『そうなのか。』

「うん。ただ雫ちゃんには相談しようと思ってるよ。」

『そうか。』

「うん。今から早速電話してみるよ。」


 そうして電話をしてみる月兎。


 ピピピピピーピピピピピー


 ガチャ


『はい。どうしました月兎さん。』

「雫ちゃんに相談したいことがあってね。」

『なんですか?』

「いや、実は最近一般人が呪われていてね。呪いは解呪したんですけどその呪われていた一般人が術士の才能があったらしくて、弟子にしてほしいって言われたんですけどどうすればいいですかね?」

『えぇっと情報量が多すぎるわね。…まず一般人が呪われていたのですか?』

「はい。まだ誰が呪ったのかは分からないんですが。」

『まぁそれは術士の犯罪組織がやったことでしょうね。』

「限られた人しかいないのに犯罪組織なんて出来るんですか?」

『完璧な人間なんていないということですよ。しかし呪いですか…。』

「もしかして心当たりでも?」

『そうですね。人を誘拐し鬼に食べさせる〈鬼面衆〉(きめんしゅう)や人体を科学と術で改造する〈奇機改改〉(ききかいかい)では無さそうですし。だとしたら術を使った傭兵や暗殺・護衛を行う〈羅刹〉(らせつ)か呪いを得意として殺戮目的で動く〈死の衣〉(しのころも)ですかね。』

「そんなにあるんですか?」

『これは大きな組織です。小さな組織は無数にありますよ。』


 そう言われた月兎は今聞いた組織の中に今回の件に関係がありそうな組織を見つけた。


「でも〈死の衣〉って組織が今回のケースだと怪しいですね。」

『私もそう思います。まぁそれは簡単に解決しないので一端置いておいてその術士の才能を目覚めさせた一般人の扱いです。』

「それでしたら僕の弟子になりたいと言ってましたがもしかしたら足立家からでた術士の才の無い人の子孫の可能性があるらしいのでもしそうだったら足立家で引き取って貰った方が言いかもしれません。」

『そうね。余り新しい術士を海野家が引き入れたら要らぬ嫉妬を買いそうですし足立家は身体強化を使う家である特性上術士の入れ替りが激しいので新しい術士の加入は喜ばれると思います。』

「まぁそれは足立家の親族だったと確定してからにしましょう。」

『そうね。しかし貴方は本当に騒動に巻き込まれますね。』


 と一連の話を終えると雫に呆れながらそう言われた。


「そんなつもりはないんですけどね…。」

『まぁ確かに好き好んでこんな騒動に巻き込まれに行く人もいないですよね。』


 と談笑をしていると


『そういえば例の件どうしました?』

「例の件?」

『忘れたとは言わせませんよ。家に来る約束です。』

「…ッスー。忘れてました。」

『まぁ今回は色々あったので許します。』

「ありがとうございます。」

『その代わり我が家にくるまでにその…「梨沙ちゃんです。足立 梨沙。」足立 梨沙さんを連れてきて下さい。足立家の親族の可能性が高いのかの確認もした状態で。出来ますよね?』

「はい。させていただきます。」

『では今日はもう遅いので切りますね。では。』

「はい。また。」


 ピ


 こうして雫との電話を終わらせた月兎は寝る前に梨沙にメールを送ることにした。


【梨沙ちゃんへ

 梨沙ちゃんの親族に両親が分からない人居ませんか?どうやら足立という家があるらしく、もしかしたらその家から出た術を使えない人が安全のため養子にだされた可能性があります。もしかしたら梨沙ちゃんがその人の子孫で隔世遺伝のため術が使えるようになったのかもしれません。なので確認をしておいてください。】


 そう送りお風呂に入った月兎だったがお風呂から出るともう既に梨沙から返事のメールがきていた。


【師匠中村 月兎さんへ

 家族に聞いて回った所どうやら祖父の父であるひい祖父様がどうやらそうだったらしいです。恩ある人から預かったとある日両親からいわれ元の名前であった足立を名乗るようになったらしいです。なんで知ってるのか聞かれて誤魔化すのが大変でした。】


 と返ってきていた。


「ということはやっぱ梨沙ちゃんは足立家の親族なのか。」


 そう思いながら梨沙ちゃんを海野家に一緒に行く為に誘う月兎だった。

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