第66話呪いのおババ
ー自宅ー
「犯罪者ってことですか…。」
呪いのなおしかたを聞いたはずが思わぬ騒動の予感がし頭を抱えそうになった月兎だったが、梨沙ちゃんの呪いを直すために一旦呪いをかけた犯人を置いておき、呪いのなおしかたを聞くことにした。
「と、とにかく呪いってどうやってなおすんですか?」
『あぁ。呪いって少し特殊でね?誰でもなおせるって訳じゃなくてね。分かったわ私の知り合いにいる呪いの専門家に聞いてみましょう。』
「そんな人がいるんですか?」
『えぇ。じゃあ明日来てくれる?会いに行きましょう。』
「分かりました。では明日会社休みなんでお昼過ぎに協会に行きますね。」
『えぇ。じゃ。』
ピ
明日協会に行く約束を鈴華とした月兎は家に持ち帰った仕事をすることにした。
ー協会ー
カランカラン
「こんにちは。」
「ああ。月兎君、どうぞ。」
昨日の電話通りに支部にやってきた月兎はマスターにあいさつをすると早速支部長室に向かった。
コンコン
「月兎です。来ました。」
『入ってちょうだい。』
ガチャ
「失礼します。」
「いらっしゃい。」
支部長室に入るとそこには出かける準備をしている鈴華がいた。
「じゃあ呪いの専門家に会いに行きましょう。」
「はい。」
こうして二人は支部から出掛けていった。
「そういえば鈴華さん支部にいなくても良いんですか?」
「えぇ。私にも気分転換は必要よ。」
そして二人で世間話をしながら支部から二駅電車に乗り、しばらく歩いたところにある今にも潰れそうな【畑中薬膳】と書かれた店にやって来た。
「ここは…大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。ここは一般の客が来ないようにこうしてるだけだから。腕は良いわよ。」
そう店前で二人が話していると
『いいから店前で喋ってないでとっとと入ってきな!』
と店の中から声が聞こえた。
「さ、早く入るわよ。じゃないと機嫌が悪くなっちゃうから。」
「わ、わかりました。」
こうして店に入ると薬膳の香りがしてきた。店の中をみると乾燥された高麗人参のようなものやとかげを干したものが天井から吊るされていた。
すると奥からギコギコと何かを挽いている音が聞こえて来た。
「奥にいるみたいね。行きましょう月兎くん。」
「はい。」
奥に行くと薬を作っている老婆がいた。
「麻椰ばぁ。久しぶりね。」
「あぁ。そうだね私は会いたく無かったよ。」
「そんなこと言わないで。ほら自己紹介して。」
「はい。はじめまして。自分は中村 月兎と申します。」
鈴華にそう促されたので自己紹介をすると
「ふん。そうかい。」
と特に興味がなさそうに返された。
「で?なんで来たんだい?」
「この月兎君が呪われている一般人を見つけたのよ。その対処を頼みたくて。」
「ふん。一般人に手を出すなんて野蛮だね。で?どんな呪いなんだい?」
鈴華が呪いの話をすると先程とは打って変わって興味を引かれた様に話を始める麻椰。
「顔のようなアザが出来てとても臭いニオイもしてます。あと体力が落ちるようです。」
「顔のようなアザは生き霊系の呪いだね。臭いニオイは大体色恋系の呪いだよ。体力がなくなっていくのは呪い殺す為の呪いだね。」
「そんなに呪われているんですか?」
「その一般人相当恨まれてるね。どんなヤツなんだい?」
「ごく普通の女の子です。ただ部活で活躍してるらしいですけど。」
「そうかい。しかしこんなに呪いが重なってるとなおすのも大変だよ。」
「その子はどうやって知ったんだい?」
「僕は製薬会社に勤めてまして営業先の病気に来たんですよ。」
「なるほどねぇ。それだったら何とかなるねぇ。」
「え!本当ですか!?」
「まぁね。そうと決まったら二人共出ていきな。今から薬を作るからね。」
「え…ッ…ちょ…ッ僕はどうすればッ…。」
「あんたはあとで病院を電話してきな。その病院で私が直に呪いをなおすよ。」
「電話ってどうやって。」
「ほらよ。」
いきなり動き出した麻椰に慌てながら電話番号を聞くと麻椰は月兎に名刺を投げつけるとそのまま月兎と鈴華を店から追い出した。
「えぇ。…いきなりすぎませんか?」
「アレで腕は良いわ。それより良かったわね。ここの名刺を貰うなんて相当気に入られたわよ。」
「そうなんですか?」
麻椰ばぁに圧倒された月兎だった。
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