第61話協会にて
ー協会ー
久しぶりに妖怪を倒した次の日、月兎は仕事を終えると協会にやってきた。
カランカラン
「おや?月兎さん。お久しぶりです。」
「久しぶりですマスター。奥行けます?」
「はい。どうぞ。」
協会のカモフラージュになっている喫茶店にいくといつものようにマスターがおり、挨拶を済ますと協会へと降りて行く月兎。
協会に入った月兎は支部長室の前にやってきた。
コンコンコン
「支部長。お久しぶりです。中村 月兎です。」
『あぁ。月兎君か入ってちょうだい。』
「失礼します。」
ガチャ
鈴華に入室の許可を貰った月兎は支部長室に入った。
「久しぶりね月兎君。」
「はい。やっと色々なゴタゴタも片付いたのでこれました。」
「宝樹院の話しは聞いたわよ。大変だったわね。」
「はい。お陰でなかなか妖怪退治ができなくて大変でした。昨日やっと久しぶりにいけましたよ。」
「最近やけに妖怪が増えてるからこれからも妖怪退治してくれるとありがたいわ。」
「増えてるんですか?」
「ええ。あなたがこの支部に加わる少し前から増えてきてるのよ。」
「そうなんですか?そういえば昨日もかなり餓鬼やらネズミの怨霊やらやたらと多かったですね。餓鬼が小鬼になりかけてましたし。」
「それほんと?はぁ…。またそんなことがあったのね。」
「また?てことは他にもあったんですか?」
「ええ。何件かね。ちなみにあなたが見たことがある改造された妖怪も見つかっているわ。」
「あれって珍しかったはずですよね?」
「そのハズなんだけどね。そんなわけで今どの支部もピリピリしてるのよ。」
そう喋っている鈴華は確かに少し疲れている様に見えた。
「疲れているみたいですね。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。それよりさっき言っていた成長しかけの餓鬼なんだけど変な事は無かった?」
「変な事ですか?なにもありませんでしたけど。」
「そう。実は本部の人達はどうやら妖怪の異常発生や妖怪の成長、それから妖怪の改造。これらは何らかの繋がりがあると見ているわ。」
「何か根拠はあるんですか?」
「実はどの現場でも人がいた痕跡があったのよ。勿論隠されてはいたけどね。」
「それ俺なんかに言って良いんですか?」
「知ってる人は知ってる情報だから大丈夫よ。」
「今度から気を配ってみますね。」
「お願いね。そういえばあなた雫ちゃんに宝樹院家の件片付いたって連絡した?」
「いえ。してないですけどなんでですか?」
と今まで話していた内容と違う話が始まったので疑問に思っていると、
「何でってあなた雫ちゃんに宝樹院家の事聞いたんでしょ?術士界隈ではあなたの事は海野家と雲居家が面倒見ることになってるんだからもしかしたら宝樹院と争うことになってたんだから雫ちゃんも気が気じゃなかったでしょうからね。」
と言われた。
「それは申し訳ないですね。帰ったらすぐ電話します。」
「そうしてあげて。だってもし宝樹院と争いなんてなったら下手したら特級が一人いなくなったかもしれなかったしね。」
「?海野ってそんなに強いんですか?」
「知らないの?海野家って特級がいる家の分家なのよ。だからもし宝樹院と海野家が争うとなると特級がいる本家も出てくるだろうから下手したら特級が死ぬかもって話。」
と始めて知る事実に驚きながらも
「でも特級って不老不死なんじゃ?」
「基本的には不老不死よ、ただ絶対じゃないのよね。実際過去に自らの命を引き換えに大妖怪を封印した特級もいるわ。」
「へ~。」
「良いから帰ったら直ぐに雫ちゃんに電話するのよ。」
「そうします。」
その後も少し鈴華と世間話をした後家に帰ることにした月兎だったが
「じゃあもう帰りますね雫ちゃんに電話しなきゃいけないので。」
「ええ。じゃあ今日話した事頭に入れといてね。」
「はい。色々目をくばっておきますね。では。」
「えぇ。また。」
こうして協会を後にした月兎
「にしても電話したら怒られそうだな。でも電話しない手は無いか。」
これから何歳も年下の少女に怒られるとはかなり情けないなと感じるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます