たまにはまったり…?
第59話一段落
ー会社ー
木野山との騒動を片付けた月兎は特に大きな事件に巻き込まれることもなく生活をしていた。
「いや~。しかし宝樹院製薬に詰められた時はこの会社も潰れちゃうかなと思いましたけど何とかなって良かったですね。」
「確かに会社が潰れたら路頭に迷ってただろうな。」
そう後輩のまどかと話していると会議から課長が帰ってきた。
「これでやっと全部の会議が終わったよ。明日からは通常業務だよ。」
「今日で宝樹院製薬とのゴタゴタもおわりですね。」
「あぁ。早速だけど今からちょっと営業に行ってきてくれるかな。」
「分かりました。まどか、行くぞ。」
「はい!分かりました。」
こうして月兎とまどかは営業に向かった。
ー個人病院ー
「ほんっっっっとうに済まなかった!」
「いやいや、財前さん。大きい病院でも宝樹院からの圧力に折れたんですから財前さんのように個人経営の病院が圧力に耐えられないのは分かります。しかも財前さんはある程度抗ってくれたじゃないですか。」
月兎とまどかが所属する第三営業課は、行政が建てた市立の病院などを担当する第一営業課や、大学病院のような大きな病院などを担当する第二営業課とは違い、いま月兎達の目の前にいる財前のような個人経営の病院や小さい調剤薬局が担当である。
「しかしうちとお宅は長い付き合いだったのに悪かったな。」
「でもこうしてまた取引ができるじゃないですか。」
「…そういともらうと助かるよ。まどかちゃんも悪かったな。」
「いえいえ!全然大丈夫です!」
と平謝りを続ける財前を何とかなだめると月兎は
「財前さん。また何かありましたら連絡ください。」
といった。すると
「分かったよ。また何かあったら今度はすぐ相談するよ。」
そう財前も返した。それを聞いた月兎とまどかはまた来ますと言い財前内科を後にした。
今日の周る営業先を全て周った続けるとまどかは社用車で会社の帰路に向かっていた。
「ここで六件目ですか。しかし皆さんすごい謝ってましたね。」
「そりゃそうだよ。皆やりたくてウチをはぶいてた訳じゃないからな。罪悪感があるんだろう。」
「そういった意味じゃ財前さんのようなお医者さん達や薬剤師さん達も今回の被害者なんですよね。」
「だな。実際世間のウケも悪くて宝樹院グループの株価だいぶ落ちたらしいぞ。」
「そうなんですね。」
「俺は少し株買ったもん。」
「え!敵ですよ!敵!なんで買うんですか!」
「だって絶対株価もとに戻るもん。買った方が得だろ?」
「私も買った方がいいですかね?」
「それは自分で判断してくれよ。」
「えー。てか先輩!今日で一段落って課長も言ってましたし久しぶりに飲みに行きましょうよ。」
「んー。まぁいいぞ。今日は車返して退社の手続きしたらそのまま帰っていいって言われてたしな。」
「やったー!」
そんな会話を車の中でしていたら会社についた。
「じゃあとっとと退社の手続きするか。」
「はい!」
そういうとすっと退社の手続きを終える二人だった。
ー居酒屋ー
「「カンパーイ。」」
会話から出た二人は会社から最寄りの駅からほど近い居酒屋に入った。
「ングングングングングッハー!」
「一気に飲むなよ。酔うぞ。」
「良いじゃないですか先輩!」
良い飲みっぷりの後輩をみて悪酔いしないか心配していた月兎にみどりが聞いてきた。
「そういえば先輩。あの噂聞きました?」
「どんな噂だ?」
「宝樹院製薬の社長だった木野山。宝樹院グループに消されたんじゃないかって噂ですよ。」
「なんだその噂。」
「だってあんな一瞬で社長がクビになったのに全然宝樹院グループに動揺がなかったじゃないですか。しかもあんなワイドショーとか朝の情報番組で話題になったのに全然木野山が逮捕とかならないじゃないですか。」
「だから?」
「だから裏で宝樹院家の人間が木野山を始末したんじゃないかってもっぱらの噂ですよ。」
そんな余り見当違いとも言えない噂に、噂もバカに出来ないなと思いつつ
「そんな馬鹿なことがあるわけ無いだろ。てかもし本当だったらその噂をしてるお前も消されたりしてな。」
というと
「ちょ!先輩怖いこと言わないでくださいよ~!」
とまどかが返した。
こんな風に二人で楽しく二時間ほど飲んだ後
「じゃあ先輩また明日ーー!」
「早く寝ろよ。」
駅で解散することにした。
ちゃんとまどかが駅にはいるのを確認すると、
「っとじゃあ久しぶりの妖怪退治と行こうか、皆。」
『やっとか。』
『久しぶりに腕が鳴りますね。』
『『ーーーーー!』』
と妖怪を探し始める月兎だった。
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