第55話戦闘後の処理
ー宝樹院製薬ー
結局あのあと寄生花の力により色々と吸い取られた木野山は気を失ったので証拠を集め、それが終わると宝樹院に電話を掛けた。
『宝樹院です。お名前と用件をお願いします。』
「分家の植田です。例の件終わりました。宝樹院製薬へ処理班をお願いします。」
『…分かりました。ビルの下にもう待機させているのですぐ来ます。』
「かなり派手にやりましたので記憶の処理と協力者も眠らせたのでバイタルチェックもしたいです。」
『伝えておきます。』
「では。」
ピ
電話を掛け終わった植田は電話の内容を月兎に伝えた。
「今からここに宝樹院の処理班が来ます。彼らはこのビルにいる人間の中で我々術士を知らない人達の記憶の操作とそちらの社長のバイタルチェックをしますね。」
「分かりました。」
そうしてしばらくすると続々と人がやってきた。
「お疲れ様です。」
「お疲れ様です。記憶操作の方はどうですか?」
「順調です。今からこの社長室の修復作業に入りたいと思うので場所を移しましょう。」
「そうですね。」
すると処理班の人が、
「そちらの眠らされている人は一旦我々が預かってよろしいですか?」
「お願いします。」
と、月兎から社長を受け取り連れていった。
「ではこちらに。」
残った処理班のうちの一人に案内され会議室に案内された月兎と植田。
「ではこちらでお待ち下さい。作業が終わったら報告に来ますね。」
「分かりました。」
そうして処理班の人は作業に戻っていった。
「しかし木野山おもったより強かったですね。」
「そうですね。しかし中村さん。木野山と戦わせてしまってすいませんでした。」
「いえいえ。全然大丈夫ですよ。植田さんもケガ大丈夫ですか?処理班の人に診てもらった方が良いんじゃないですか?」
「中村さんからもらった薬があるので今のところは大丈夫です。後々宝樹院の本家で治療するので心配ありませんよ。」
「なら良かったです。」
「それから中村さん。」
「はい?」
「もしかしたら宝樹院の本家に呼ばれる可能性があるのというのを承知しておいて下さい。」
「何で呼ばれるんですか?」
と少し警戒しながら聞くと
「まずは謝罪ですね。本当は会社のトップである社長を呼ぶべきですが社長は今回の件全てを把握しているわけではないですからね。もちろん謝罪はしますが中村さんは木野山捕獲にも尽力してくれたのでまず呼ばれて会長から謝罪があるでしょう。」
「そうなんですか?」
「ええ。今日すぐというわけではなく後日ではありますがね。」
「分かりました。覚悟しておきます。」
そう二人で話ていると処理班の人が戻ってきた。
「修復作業が終わりました。記憶操作と社長のメディカルチェックも終わりましたので木野山を連行しようと思います。」
「了解です。では我らも行きましょうか。」
「そうですね。」
「社長はこのまま宝樹院系列の病院に連れていきますね。宝樹院製薬からの帰りに倒れたことにしますので。」
「お願いします。」
こうして宝樹院製薬を後にした月兎は植田と連絡先を交換すると家に帰った。
ー宝樹院本家ー
「ーーというわけで中村さんの能力の把握及び宝樹院本家への招待をさりげなくおこなって参りました。」
「ご苦労だった。しかし木野山はおもったより手強かったようだな。」
「はい。中村さんを参戦させるためとはいえまさか傷を負わされるとはおもいませんでした。」
「うむ。これからはしっかり分家の術を見ていかんとな。木野山の術を本家で使えていたらもっと宝樹院は強くなっていた。」
「分かりました。分家の調査をしておきます。ところで中村さんはいつ呼びましょうか。」
「彼は会社員だからな。週末に呼ぼう。」
「分かりました。連絡をしておきます。」
そう植田と当主が話しているとそこに与助がやってきた。
「二人ともおるな。」
「どうされました?」
いきなり与助がきたため当主が用件を聞いた。
「中村君を週末に呼ぶとのことだがみどりも呼んで食事会もしよう。」
「なぜですか?」
「宝樹院に取り込むためだ。みどりとの婚約も視野に入れるぞ。」
「…そこまでですか?」
「何せ特級候補だからな。植田もその事を頭に入れておいてくれ。」
「かしこまりました。」
知らないところで人生初の彼女ができそうな月兎だった。
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