第54話VS木野山3


 ー宝樹院製薬社長室ー


 月兎が植田と離れると木野山も毒霧を払い終わり月兎を睨んだ。


「お前いったい何の目的でこんなことしやがった。」

「…さあ?」


 そういいながら月兎は観月の力を使うために右手で目を隠した。


「!?何だ!?おい目が見えないぞ!何をしやがった!」

「目を塞がせてもらいました。これで目が見えないでしょ?」

「セコい術ばかり使いやがって。どこにいる!」


 月兎の術で目が見えなくなった木野山は月兎を探すようにてを振り回していた。


「どこにいやがる!」


 そう探している木野山の足元に毒びしをまく月兎、


「ッ。痛ぇな。割れたガラスでも踏んだか?てか、どこだ!中村ぁ!」

「いうわけないでしょ?次の罠ももそろそろにいてくる頃だろうしね。」

「あ?そんなの破っ…て…やる。」

 ドサッ

 月兎が木野山に罠の存在を教えたタイミングで木野山がまた倒れた。


「また術の後遺症か。術の改良にもっと力を入れないとな。」


 そう言いながら立ち上がろうとする木野山だったが何故か立ち上がることができなかった。


「罠っていったい何しやがった。」

「やっとはっきり聞いて来ましたか。答えはカンタンですよ。ただ貴方と植田さんが戦っている間から今までずっと無味無臭で透明な毒をまいていたんですよ。それがやっと効いてくれました。」

「俺の今の身体は毒耐性もあるハズだぞ!」


 そういいながら月兎をにむかって這ってくる木野山。


「確かに代謝は上がっているので耐性は上がっていますが、貴方は術を使うため呼吸を頻繁にしてましたし、その身体を維持するためにも呼吸を沢山してました。そのためこの術にも掛かったんですよ。」

「なるほどな身体が大きくなればそれは酸素を欲するから毒も沢山吸ってしまうのか。」

「えぇ。他にも貴方に浴びせた煙や貴方が踏んだマキビシにも毒を付着させてましたからそれも早く効く要因でしょうね。では毒を足していきますよ。」


 そうして木野山に向かって左手を向けた月兎は


「毒蛇。」


 と唱えると左手から固まった毒が蛇を象りながら出てきて木野山に噛みついた。


「グ!もう倒れている人間に追い打ちとは酷い人間だな。」

「…どうせ強化した代謝で毒を直そうとしてるんでしょう?だったら常に毒を浴びせるしかないでしょ?」

「バレてたか。」


 と月兎と木野山が喋っていると回復力した植田がきた。


「植田さん。大丈夫ですか?」

「ええ。迷惑をかけてしまいすいませんでした。中村さんの手をお借りしてしまうとは情けない。」

「取り敢えず木野山を捕縛してしまいましょう。」

「そうですね。」

「自分も毒で動きを止めますね。」

「…お願いします。」


 そう月兎の提案に植田が答えると月兎は木野山に噛みついている蛇を触りながら麻痺毒と凝固毒が混ざったものをイメージした。すると、


「ガ!」


 と木野山がいいながら固まった。


「何をしたんですか?」

「麻痺毒と凝固毒を混ぜたものを木野山に打ち込みました。」

「凝固毒って大丈夫なんですか?」

「大丈夫ですよ。麻痺毒はそのままからだが麻痺する効果ですし、凝固毒は自然界の毒とは違って身体を固定する効果にいじりましたから。」

「それは良い術ですね。では今度は自分がいきますね。まずは捕縛根。」


 今度は植田が木野山を拘束するためにまず、先ほども使った捕縛根を使い、更に


「今度はこれも使いましょうか。寄生花。」


 と小さな花を木野山の肩にのせた。すると花はどんどん木野山に根付いていった。


「植田さんこれは?」

「これは寄生花です。寄生した人間の生命力や妖力を吸い取る花です。」

「スゴい強くないですか?」

「でも寄生相手がある程度弱ってないといけないので条件が厳しいんですよね。」

「なるほど。」

「とにかく木野山を宝樹院に送る準備をしますね。」

「分かりました。」


 こうして植田は宝樹院へ連絡をしに行き月兎は眠っている社長の調子を見に行くのだった。

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