第38話修行パート10


 ー修練場ー


 真二との戦闘訓練を始めてはや二週間いまだに月兎は真二に攻撃を当てられないでいた。


「クッ!また当たらなかった!」

「そんなに簡単に当たったら意味がないですからね。」

「葉月のデバフも効かなかったですしね。」

「いえいえいまだに驚きますよ。ただ戦場では実際に四肢の感覚を奪われたり視覚を奪われたりすることもありますからね。慣れですね。」

「怖いですね。」

「そういったモノと戦うのは3等級からなので月兎さんが今すぐ戦う訳ではないですから大丈夫ですよ。」


 そう月兎の上の等級の話をしながらこの日の修行は終わった。


 ー縁側ー


「ふー。どうしてものかな~。」


 夜縁側にて一人で真二への対処法を考えている月兎だったが良い方法が思い付かずどうしたものかと思っていると、背後からいきなり声をかけられた。


「…悩んでるの?」

「うわっ!里美ちゃんか。びっくりした。」

「…びっくりさせた?」

「考え事してて気付かなかったよ。ごめん。」

「…大丈夫。…何を考えてたの?」

「いや、どうやったら真二さんに攻撃を当てられるかなと思って考えてたんだよ。」


 そういうと里美は月兎の横に座って一緒に考えだした。


「…真二は早いから攻撃を当てるの大変だもんね。」

「そうなんだよね。だから感覚を奪う術を使って混乱させたいんだけどうまくいかないんだよ。」

「…ならブラフが必要。」

「ブラフ?」

「…そう。…例えばある仕掛けを仕掛けてるとわからせて避けるように仕向けて避けた先に別の罠がある。…みたいな感じ。」

「なるほど…う~んでもそんなの引っ掛かるかな?」

「…ブラフを見分けるのは大変だよ。…失敗したとしても今度から攻撃が罠である可能性を考えなきゃいけなくなる。…だから行動が少し遅れる。」

「なるほどね。少しでも遅くなってくれるのは助かるよ。」

「…弱い妖怪はブラフとかは考えないから意味はないけど、強い妖怪だったり悪い人間とかと戦う時はブラフが重要になってくる。」

「ブラフって結構使えるんだね。」


 そう月兎が納得していると


「…じゃあブラフをするのが良いと思うよ。」


 と里美に言われた。


「そうだね。良し!やってみるよ。ありがとうね!」

「…どういたしまして。」

「じゃあ寝るよ。おやすみ。」

「…おやすみ。」


 そして月兎は里美とわかれて部屋に帰っていった。


「里美が家族以外にそんなに喋るのは珍しいね。」

「…涼太兄さん。…彼の夢の中はきれいだったから。…喋れる。」

「そうか。なら良かったよ。じゃあ僕らも寝ようか。」

「…うん。」


 こうしてみんなの夜が更けていく。


 ー修練場ー


「このままだと昨日のようにただただやられてしまいますよ!」

「クッ!」


 昨日里美から受けたアドバイスを活用するためにどうにかしようとしている月兎だったがうまくいってなかった。


「ほらほらこのままだとすぐ終わりますよ!」

「っ!毒三日月!」

「!おっと。」


 真二の飛び蹴りをかわした姿勢のまま少し無理やり術を放つと想定外だったの少しは離れた場所に真二が避けたのでブラフを発動させることにした月兎。


「毒霧!」

「目眩ましですか?効きませんよ?満ちる前にこうげ…っ!!」

「っし!どうですか?毒針の威力は?」

「ほう?毒霧で自分が攻撃する場所を限定してその場所にあらかじめ毒針を仕込ませていたんですね?やっと傷をつけられましたね。」

「ハァハァ。はい。やっとです。…かすり傷ですけどね。」


 そう息を整えながら会話をする月兎。


「でも畳み掛けなくては意味がありません…よ!」


 そう真二が言いながら月兎にかかと落としをすると月兎は何の抵抗もせずに真二の攻撃をくらった。


「!?なぜ避けないのですか!?下手すれば死んでしまうんですよ!?」

「「大丈夫ですよ。効きませんから。」」

「!?声がおかしい?…いつ毒を食らったんだ?毒針か?だがそれは一瞬だった。人を見間違えるほど毒を受けてはいないはず!」

「じゃあ答え合わせは真二さんが起きてからにしますね?」

「…答え合わせ楽しみにしてます。それにしても…強く…なりま…し…た…ね。」


 そう言いながら眠る真二をみておもわず


「イよっし!!!!!」


 とガッツポーズしてしまう月兎だった。









前の話修行パート8ではなく9でした。すいませんでした。🙏

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