第39話修行パート11


 ー修練場ー


「ん…ここは?…そういえばやられてしまったんでしたよね。」

「起きましたか?」


 真二を倒してから起きるのを待っていた月兎だったが真二が起きたので休憩を終えて真二に近づいた。


「一応毒は中和させましたけど初めてでなかなか勝手が分からなかったんですけど大丈夫ですか?」

「そうですね。多少は頭が痛いですが大丈夫です。」


 と顔をしかめながら答える真二。


「それ大丈夫ですか?」

「まぁ大丈夫でしょう。それよりどうやって自分を倒したのか教えていただいても良いですか?毒を受けたのは分かるんですけど、どのタイミングで受けたのかわからないんですよね。」

「分かりやすくした攻撃は毒針だかけですもんね。実は今日の訓練が始まってすぐから攻撃をしてたんですよ。」

「すぐ?してましたか?」

「はい。訓練が始まってすぐから無色透明で無臭の幻覚毒を修練場にばらまいてました。」

「…気付きませんでした。睡眠毒ではないんですか?」

「そうですね。まずは幻覚毒で真二さんの感覚を惑わせるのが目的というのと、術として毒を無色透明で無臭にするとなると睡眠毒はできなくて幻覚毒だったらできそうだったのでまず幻覚毒を修練場にばらまいてました。」


 と術の仕様上幻覚毒からかける必要があったのでその説明をした。


「そうだったんですね。因みに自分は何時から幻覚を見ていたんですか?」

「毒霧をだして視界が一瞬きれた瞬間ですね。そこからずっと真二さんは何もない空間を攻撃してましたよ。」

「そんなに前からですか!?…そういえば毒針はどうだったんですか?」

「あれも幻覚です。」

「…後で幻覚毒もいただいても良いですか?…話し合いの時に使えるようなので。」


 多分話し合いじゃなくて拷問とか尋問に使うんだろうなとおもいながらも


「分かりました。良いですよ。」


 というと月兎。


「そして自分は何時睡眠毒を受けたんですか?」

「そこからはもう簡単でした。普通に近付いて顔に向かって睡眠毒を浴びせるだけでしたから。」

「?自分はかなり動いていたと思うんですが。」

「棒立ちでしたよ。そうなるように毒を調節しましたから。」

「凄い毒ですが調節とは?」

「幻覚毒は調節の仕方で毒を受けた相手が真二さんのように棒立ちになったりその場で暴れだしたり敵味方を誤認したり自ら命をたたせることも可能です。」

「恐ろしい毒ですね。これが訓練で良かったです。もし月兎さんが自分と敵対していたらもっとひどいかかりかたをしていたんですよね。」

「まぁそうなるともっと強く毒をかけなければいけないですけどね。」

「恐ろしいことは変わりないですよ。…ではちょうど良い時間ですし夕飯にいきましょうか。」

「そうですね。」


 そうして2人は修練場を後にした。


 ー食卓ー


「ほぅ。では月兎君は真二を倒せたんだね?」

「といってももうこの手は通用しませんよ。」

「しかし本当の戦闘では本番は一回です。自分は負けた。それが結果ですよ。」

「それを言うなら俺何回も真二さんに負けてますけどね。」

「それはしょうがないだろう。しかしある意味ちょうど良かったかもしれないね。」


 と今日の訓練について当主の圭に報告をしていたら圭に意味深なことを言われた。


「?ちょうど良いですか?」

「あぁ。今日君の変わりに会社にいる忍びから連絡があってね会社がピンチになったから急いで東京に帰ってきて欲しいそうだよ。」

「ピンチですか?」

「なんでも他の会社に嫌がらせを受けているらしいよ。しかも業界トップの会社からね。」

「それは帰らないと!」

「明日の朝イチの新幹線を取っておいたよ。」

「ありがとうございます!」

「え~もっといれば良いじゃんかよ。」

「剛。大人は忙しいんだ無理を言うな。」

「ごめんね剛君。」

「いや、別に…また来いよ!」

「そうだね。また何時でも来てくれて良いからね?」

「分かりました!」


 そうして夕飯を食べた後は帰りの支度をしてすぐに寝た。


 ー朝ー


 朝月兎は行きと同じように真二に駅まで送ってもらうことになった。


「ありがとうございます真二さん。」

「いえ。昨日も御当主様から言われてましたが是非また来てくださいね。」

「はい。是非。」


 そう言いながら2人で屋敷を出ると雲居家のみんながいた。


「月兎君頑張ってきなさい。」

「はい!」

「月兎さんまた会いましょう。」

「涼太君ありがとう。」

「今度は俺が鍛えてやるからな!」

「お願いね剛君。」

「…良い夢をみてね。」

「里美ちゃんも。」


 そう話していると当主の嫁である和子が近付いて来た。


「月兎さん。余りしゃべらなかったけど月兎さんがきてから久しぶりに屋敷が元気になったわ。ありがとう。」

「いえ。そう言っていただけてうれしいです。」

「だからね。これはそのお礼…お願いね?みっちゃん。」


 と和子が言うと何処からか和傘を差して着物を着た子供が何処からか現れた。


「この子は私に宿っている座敷童子のみっちゃんよ。この子と握手すると幸運に恵まれるのよ。握手していきなさい。会社の為にもなるわよ。」

「ありがとうございます!」


 そうして座敷童子のみっちゃんと握手をして雲居家を後にした。


 ー駅ー


「ではありがとうございました。また来ますね。」

「はい。月兎さん頑張ってくださいね。」


 そうして月兎は会社の危機を救うために東京への帰路につくのであった。

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