第36話修行パート8


 ー夢の中ー


 さっきまで真二と戦闘訓練をしていた月兎だったが気づいたら真っ暗な空間にいた。


「ここは夢の中か?てことは破月がどっかに居るのか?」


 そういいながら周りを見渡したがどこにも破月は居なかった。


 どうしたものかと思っているといきなり声をかけられた。


『あるじ様?なぜここにいるのですか?』


 そういわれて声のした方を見ると三猿の観月・葉月・鬼月の三匹がいた。


「あれ?いつもは破月がいるけど今日は観月達が居るんだね。」

『いえ。この場所にはいつも私達がいます。おそらくあるじ様はいつも破月さんの方向にいっていて今回はこちらにきたのでしょう。』


 と観月にいわれた。


「じゃあせっかくだし観月達三猿について教えてよ。」


 そう月兎が三猿達はお互い見つめあった。


『…分かりました。まず私からいきますね。私は三猿の見ざるである観月です。普段から目を隠していてものを見ることができません。しかしそのお陰でかくれている気配を察知する事や話し声を聞けばその人の話していることの真偽が分かります。』

「なる程ね。じゃあこれから初めて会う人だったり警戒しなきゃいけない場所だったりで観月に頼ることにするよ。」

『任せてください。次は三猿の言わざるである葉月です。葉月は普段から口を塞いでいて喋るができません。そのお陰で会話ができない代わりに相手の思っていることを知る事が出来ます。なので言葉が通じない相手のいいたいことも分かります。』

「動物とかの気持ちも分かるの?」

『分かりますよ。』

「それは凄いね。探しものがあるときに頼らせてもらうよ。」

『…葉月も分かったと言っています。』

「?話せるの?」

『あぁ。私達三猿は自分達間だけですが念話できるんです。』

「そうなんだ。」

『はい…そして三猿の最後が聞かざるの鬼月です。鬼月は普段から耳を塞いでいるので音を聞くことができません。そのお陰で音を聞けない代わりに嗅覚が発達しているので毒や薬が仕込まれていていてもすぐ気付く事が出来ます。』

「観月と合わせたら不意打ちが完璧に防げそうだね。」

『そうですね。まぁあるじ様は毒を使うので毒耐性があるでしょうからどこまで役に立つか分からないですけどね。』

「あるだけありがたいよ。それに薬には耐性がないからありがたいよ。」

『そうですね。』


 と三猿の特徴を知り、そこまで三猿のことをあまり詳しく知らなかったなと反省した月兎だった。


『ところでなぜあるじ様は今日きたんですか?』

「そういえば真二さんに気絶させられたんだった!」

『なぜ気絶させられたんですか?』

「戦闘訓練をしてたんだよ。それで気絶しちゃったんだよ。」

『それは大変でしたね。なにか対処法は考えたんですか?』

「それがないんだよね。相手が早すぎてさ。観月達のデバフをかけるスキすらなかったよ。」

『早い敵ですか…確かに難しいかも知れないですけどそういう敵は感覚が機敏になっている場合が多いので私達のデバフがかかれば一気に崩せる可能性がありますよ。』

「なるほどな。でもデバフかけるとその部分が自分も使えなくなるのがな~。」

『そうですね。でしたらいつもは眼を隠していますが耳を隠してみるのはどうですか?』

「耳を?」

『はい。急になにも聞こえなくなるのもかなり驚きますよ。』

「そうなのか。…わかった。じゃあ明日耳塞いでみるよ。」

『はい。任せてください。』

「それじゃあそろそろ行くよ。ありがとうね。」

『はい。それでは、また。』


 そういうと意識が覚醒していった月兎だった。


 ー部屋ー


「う~ん…ここは部屋?もしかして真二さんが運んでくれたのかな?」


 意識を戻すと月兎は部屋の中で寝ていた。


「もう夕飯の時間か。早くいかないと待たせちゃうな。明日の訓練どのタイミングで鬼月のデバフを真二さんにかけるのかちゃんと考えないとな。」


 そういうと夕飯に向かいながら真二にデバフをかけるタイミングやどういう攻撃に繋げていくかを考えている月兎だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る